2016/03/12

花粉にもいろいろとありまして

花粉症の季節到来!
ボクは際うぃあにも発症していないので平気なのだけど、つらそうにしている人が多いね・・・。
薬で反応を抑えると眠くなるというし。
ただただ、我慢して時が過ぎるのを待つばかりなのだ。
花粉症の黒焼きだとか、花粉症と似た成分を持つものを食べるだとかの「脱感作療法」というのもあるにはあるんだけど、そんなに広がっていかないところをみると、まだまだ難しいんだろうなぁ。
でも、花粉は別に悪さをするだけじゃないんだよ!

地上の植物が他家受粉(別の個体に花粉を届け、受粉させること)をするには、大きく分けて二通りの方法があるのだ。
ひとつは蜜や臭いで昆虫などをおびき寄せ、花粉を運ばせるという戦略。
動物媒というんだけど、ミツバチなどの昆虫に花粉を運んでもらう虫媒が有名だよね。
メジロなどの鳥がくちばしで花粉を運ぶ、鳥媒というのもあるよ。
この場合、昆虫や鳥を引き寄せ、花粉のあるところまで誘引する必要があるのだ。
なので、蜜を作ったり、虫や鳥が好む臭いを出したり、花を大きく色鮮やかにしたり、というコストが必要なのだ。
ただし、その昆虫なり鳥は、花から花へと渡ってくれるので、そんなに多くの花粉を作らなくてもいいというメリットもあるんだ。
被子植物の場合は基本的にこの方法をとっているよ。

中には、花粉自体を食べさせるものもあるんだよ。
実際、ミツバチは体についた花粉を集めて団子状にまとめ、花蜜と混ぜたりしてから巣の中に貯めるらしいのだ。
これは保存食になっていて、ミツバチの巣から取り出して人間も伝統薬として使っていたらしいよ。
花粉は生殖細胞でもあるので、アミノ酸やミネラルが豊富で、なかなか滋養に富んでいるようなのだ。
たとえほとんどの花粉が食べられても、少しでもめしべに届けばいいので、それもまたあり、ということみたい。

もう一つの方法が風媒。
風に乗せて花粉を遠くまで運ぶのだ。
この場合は風任せなので、基本的には大量の花粉をまき散らすことになるよ!
なので、花粉症の原因になったりするのだ。
花も花粉を飛ばせればいいので派手なものは少なく、一見して「花」とはわからないようなものも多いんだ。
実際に、マツとかイチョウとかの花は、花粉の入った袋が大量に枝についているようにしか見えない・・・。
裸子植物は基本的にこの戦略で、進化の上では、風媒がより古い戦略と考えられているよ。
他の生物が存在していなくても、風さえ吹けばなんとかなるというメリットはあるけど、大量の花粉をまき散らさないといけないので効率は悪く、熱帯雨林のような生物種が多く住む安定的な環境では、必ずしもよい戦略ではないんだよね。

そして、風で大量散布するにしても、工夫はあるのだ。
例えば、花粉を受けるめしべは大きくて、外に張り出しているんだよね。
虫媒花の場合は、花の中に隠れていて、花粉をつけた昆虫が中に入ってきたときにちょうど花粉を受けられるような構造になっているけど、風媒花の場合、とにかくどこから来るかわからない花粉をキャッチできるよう万全の体勢を整えているのだ(笑)

それと、花粉の形状・構造も少し違うんだ。
虫媒の場合、昆虫にひっついてくれないと困るので、電子顕微鏡などで見ると表面がとげとげになっていることが多いよ。
これが粘着力を産むのだ。
オナモミの「ひっつきむし」みたいなものだよね。
一方、風媒花の花粉はさらさら。
風でよく飛ぶように、かつ、広範囲に広がるように、むしろその方がいいのだ。
マツに至っては、袋状の構造があって、そこで風を受けてより遠くに飛べるようになっているようだよ。

というわけで、スギやらヒノキやらは、基本的に風で大量に花粉をまき散らして増えてきた植物なので、花粉を飛ばすのは仕方のないこと。
問題は、比較的早く生育するとか、木材としての価値が高いとかで、自然の植生から大きくはずれるくらいまで、大量にスギやヒノキを植林したことなんだよね。
スギやヒノキは食べられる木の実もつけないので、森の中で他の動物を支えることもないのだ。
やっぱり生態系を大きく崩すと、ゆがみが出てくるってことなんだろうなぁ。

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