2017/05/20

過保護に育てればやわらかい

フランスでは、ちょうどアスパラガスが旬を迎えているのだ!
日本だとどんな野菜も通年見かけるけど、フランスではけっこう野菜の旬を大事にしているみたいなんだよね。
で、この時期のフランスの名物と言えば、ホワイトアスパラガス。
日本ではついこの間まで缶詰がメジャーだったけど、もちろんフランスでは生。
ゆでただけでほんのりとあまくておいしいのだ♪
ゆで汁にもうまみが溶け出すので、それを料理に使うんだって。

そんなホワイトアスパラガスも、ものとしてはグリーンアスパラガスと同じもの。
育て方が違うだけ。
普通に日光に当ててt育てるとグリーンアスパラガスになるんだ。
放っておくとどんどん太く、固くなっていくので、ある程度のところで収穫するのだ。
一方、ホワイトアスパラガスは、芽が出てきたところで土をかぶせたり、最初からトンネルの中で栽培されたりして、日光を遮って育てられたものなのだ。
すると、葉緑素が作られず、皮もあまり固くならず、苦みも少ないホワイトアスパラガスになるんだよ。
苦みがない分だけ甘みを感じるんだよね。
ちなみに、ビタミンなどの栄養面としては、やっぱり日に当てたものの方がよいみたい。

この栽培方法は「軟白栽培」と呼ばれる手法なのだ。
実はアスパラガスだけではなく、いろんな野菜に使われている手法だよ。
同じくフランスでよく見かけるのはチコリー。
イタリアで言うラディッキオ。
白菜のように葉がかたまっているけど、野生のものは普通に伸びて行くみたい。
これを軟白栽培することで、スーパーで見かけるあの形の野菜になるのだ。
苦みもあるけど、やわらかく、甘みもあるよね(熱を通すとより甘みを感じるのだ。)。

もちろん、これは欧州だけの栽培文化じゃないよ!
日本でもおなじみなのは、ウド。
酢の物にしたり、きんぴらにしたりするあの白いウドは、室の中で日光を遮って育てられたものなのだ。
山菜としての山ウドというのがあるけど、これは普通に日光を受け手育ったもの。
うどの大木じゃないけど、放っておくと太く固くなるので、若いうちに摘むのだ。
白ウドに比べると、苦みもあるし、あくが強いんだよね。
これは日光が当たっている結果。
でも、天ぷらなんかにすると山ウドもおいしいのだ。

もっとよく見かけるもので言えば、もやし。
大戦中は海軍が潜水艦の中で栽培していたなんて話もあるけど、豆を暗闇の中で発芽させて育てたのがもやしだよ。
普通に畑にまいたら双葉が出て育っていくけど、日光がないからひょろひょろと伸びていくのだ。
もともと豆に蓄えられている栄養だけで伸びるんだよね。
ビタミンが豊富だし、暗く、かつ、狭いところで育てられるので海軍にとっては帰朝だったみたい。

そして、根三つ葉。
ひょろっと白く長く太い茎を持つ三つ葉。
これはある程度成長した後に「根寄せ」と言って茎の周りに盛り土をして、そこに日光が当たらないようにして育てるのだ。
そうすると、土に覆われている部分が白く、やわらかくなるわけ。
長ネギの白い部分もそうだよ。
九条ネギのような全体が青いものが本来のもので、白ネギは根寄せしてその部分を軟白栽培しているのだ。

さらに、中華料理などで見かけるようになった黄ニラ。
これも日光を遮って育てられたニラで、柔らかく、臭みも少ないのだ。
ニラは鮮やかな緑色だけど、葉緑素が抜けるとちょと黄色っぽいってことだね。
普通のニラより少し高いのは、栽培に手間がかかっているからなのだ。

というわけで、そのまま育てると固くなったり、苦くなったりするものを、 日光を遮って育てることで柔らかく育てるというのはいろんな野菜で適用されている手法なのだ。
こういうのも人類の食へのあくなき追求だよね。
最初に考えた人はすごいと思うよ。
きっと、たまたま日陰で育ってものが柔らかかったり、苦みが少なかったりして、そういうのをヒントにしてやってみたんだろうね。
そして、植物の方も、日光を遮られてもなお育とうとするからこそできるわけで、その生命力もすごいのだ!

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