2018/07/14

水に始まり、水に終わる

朝、時間がないときに限って寝癖がひどかったりするよね(笑)
で、直そうとしてもなかなか直らず、焦ったりするのだ。
この間散髪に行って短くなったからここのところは気にしていないけど、散髪に行くまではけっこう伸びていたので、寝癖がついてたよ。
で、この寝癖というのがなんなのかをちょっと調べてみたのだ。

結論から言えば、髪の毛と髪の毛の間に「水素結合」というゆるい結合ができていて、くせがついた形で髪がかたまってしまう現象なのだ。
水素結合というのは、タンパク質の表面で、電荷が正に偏っている水素原子が、電荷が負に偏っている酸素原子、窒素原子、硫黄原子などと電気的に弱い結合をするもの。
それぞれの原子は分子の中で共有結合をしていて、分子全体としては電気的に中性なんだけど、それぞれの原子には電子を引きつける違いに差があるので、分子内で電気的な偏りができてしまうのだ。
水素原子なんかは電子を引きはがされやすいのでプラスになっていて、酸素原子なんかは電子を引きつけやすいのでマイナスになっているよ。

この水素結合は、タンパク質の高次構造を形成する上でも重要。
タンパク質はアミノ酸がたくさん鎖状につながったもので、そのままではひもみたいな長い分子だけど、丸まって一定の形になることで機能を発揮するのだ。
その形状を保つのに重要な役割を担っているのが水素結合。
体の中のタンパク質が機能しているのはこの水素結合のおかげ。
なので、それ自体が悪いやつではないんだよ(笑)

たかが電気的な弱い結合なんだけど、これがけっこう強力で、寝癖がなかなか直らないわけ。
電気的にくっついているので、物理的に櫛でとかすだけではどうしようもないのだ。
で、簡単な直し方と言えば、水に濡らすこと。
水中にはそれこそ無限の水分子があるわけだけど、この水分子の中でも電気的な偏りがあって、水素原子はプラスに、酸素原子はマイナスになっているのだ。
髪の毛の間で水素結合しているタンパク質は、まわりに他の電気的な偏りがないからわりと強くくっついてしまっているのでだけど、まわりに水分子が来ると、他にも電気的結合の相手がいるので、くっついたり離れたりするのだ。
数的には水分子の法が圧倒的に多いから、髪の毛同士の結合はほぼ切れてしまうわけ。
なので、面倒でも水で濡らしたり、水を主成分とした寝癖直し(他に香料や界面活性剤、多価アルコールなんかが入っているよ。)をつけたりするとなおるんだ。

濡れている状態の時にクセを直し、きちんと乾かせば、その後は水素結合で寝癖がつくことはないのだ。
つまり、寝癖がつくのは、髪の毛に湿り気がある状態で髪の毛に変な力がかかるから。
しっかり髪を乾かさずに寝たり、寝汗で頭が群れたりすると寝癖ができる原因になるよ。
逆に言うと、まずはお風呂の後にしっかりと髪を乾かしておけば寝癖はつきづらいのだ。
これは重要だね。

で、この寝癖と似ているようでまた違うのが「パーマネント」。
パーマの場合は、アミノ酸残基のうちチオール基(-SH)を持っているシステイン同士の間で共有結合を作ってしまうことで髪の形を固定する技術なのだ。
チオール基を二つを化学的に結合させてジスルフィド結合を作るんだけど、その化学反応のために、薬液を使い、熱をかけるんだよ。
水素結合と違って、共有結合ができてしまうので、薬剤か何かが化学的にジスルフィド結合を切らない限りはその「クセ(ウェーブ)」が持続するのだ。
これが「パーマネント(永続する)」の名前の由来。
水に濡れても大丈夫なので、髪を洗っても形状が保たれるよ。

というわけで、実は髪のクセは化学に支配されていたのだ!
これを踏まえれば、寝癖を直すにも、あれこれ試行錯誤せず、最初から水で濡らして直せるね。
ま、寝癖にならないようにする方がよいけど。

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