2018/11/17

今年のできばえは?

ボジョレー・ヌーヴォーが解禁されたのだ。
日本にいたころは、それこそすっごく盛り上がっていたし、スーパーやコンビニも含めて街中ボジョレー一色になるのでわかりやすかったけど、フランスではそんなに盛り上がらないんだよね。
スーパーなんかに売ってはいるけど。
ちなみに、毎年11月の第3木曜日が解禁日なんだって。

ボジョレー・ヌーヴォーは、ブルゴーニュワインの一種。
でも、普通のワインとは異なり、ブドウの収穫後すぐに急速醸造され(数週間でできあがり!)、その年のうちに出荷されるというものなのだ。
もともとは、その年のブドウのできを判断するために試飲用として作られたものが広がったもの、なんて言われているよ。
ブドウは日照時間や気温によって年ごとにかなりできにばらつきがあるので、さっとワインにしてみて確かめてみよう、ということみたい。
今年は当たり年でワインのできが良い、なんていうのがワインの出荷前から目星がつけられるのだ。

このため、当初はワイン業者向けの商品だったそうだよ。
ところが、初物が特定の時期に解禁される、っていう点に目をつけた日本の流通業界が日本でブームを巻き起こしたのだ。
もともと初鰹などの初物が大好き、バレンタインデーなどの特定の日の食べ物がらみのイベントが大好きな日本ではこれが大当たり!
かなり広く浸透したよね。
今では恵方巻きやら七夕そうめんやらいろいろあるけど、そういうのの走りでもあるね。
で、それを見て、フランスでも一般消費者向けに売られるようになったんだけど、もともとおいしいワインが好きなフランス人からしたら、急速醸造の若いワインであるボジョレー・ヌーヴォーにはそんなに興味がないようなのだ・・・。
売ってはいるから一定の需要はあるんだろうけど。

このボジョレー・ヌーヴォーに使われるブドウはガメ種というもの。
よく聞くのはピノ・ノワールだとかカルベネ・ソーヴィニヨン、シャルドネだけど、それらに比べて大粒なのが特徴。
ボジョレー地方以外ではワインに使われることはまれのようなのだ。
ワインにすると、色調は明るめで、タンニンが少なめ、酸味が強いので、さわやかな飲み口の良いものになるみたい。
ワインが好きな人は重めの深みのあるのが好きとかいうけど、いわゆるライト・ユーザー層には飲みやすくてよいのかも。
それが日本で成功したひとつの要因かもね。

当初は解禁日の設定はなかったようなんだけど、各ワイナリーが競って素早く仕上げて売ろうと競争した結果、きちんと醸造できていないような粗悪品まで出回るようになったので、解禁日が定められたそうだよ。
そうなると、ワイン業者向けとは言え、それなりに人気の商品ではあったんだね。
ま、ブドウのできを確かめる目的なら、ちゃんとワインになっていないと困るわけで、正しい判断ではあるね。
それが日本人の心をつかむとは思わなかっただろうけど(笑)
ちなみに、一般的なワインとは醸造方が違っていて、出荷時のタイミングでもうそれ以上熟成しないものとなっているので、セラーに寝かせても無駄なのだ。
原則としては年内に飲みきるもの。
なので、ヴィンテージなんてものも存在しないよ。
これは一期一会の精神だね。

そして、この解禁の時期になるとやはり話題になるのがキャッチコピー。
日本ではたいてい「最高の出来!」みたいなのが毎年踊るのだ。
100年に一度のでき、だとか、ここ10年で最高、だとか。
それだけ見ていると毎年右肩上がりにおいしくなっていりょうに錯覚するほど。
でも、そんなことあり得ないよね。
フランスの地元の評価というのもあって、そちらではもう少し謙虚な表現になっているのだとか。
ま、ワイン業者を主なターゲットにしている人の評価と、一般消費者向けのキャッチコピーじゃ違いがあって当然なんだけどね。
ちなみに、今年の地元の評価は「複雑かつなめらかで味わい深い。心地よい渋みもある」というものらしいんだけど、どうも2018年はブドウのできはよいらしく、全体的に2018年のワインはヴィンテージになる可能性が高い、と考えられているようだよ。
ということは、「乗るしかない、このビッグウェーブに」ってことかな?

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