2020/11/07

ファックスでもOK?

 米国大統領選が、予想どおり混乱しているのだ。
その主要な原因は、増えに増えまくった郵便投票。
一部不正の噂も出てきているけど、米国の場合は舟ごとにルールも違うので、選挙当日の消印が有効だったりしてすぐに開票できないのだ。
いつもならごく少数しかないから大きな問題にはならないのだけど、今回はコロナ禍の中で郵便投票が増えたので、当落を左右するものになってしまったんだよね。

で、実は、日本でも「郵便投票」というのは存在するようなのだ。
公職選挙法では、選挙日当日に指定された投票所で投票する以外の方法として、①期日前投票と②不在者投票の2つの制度があるんだ。
期日前投票は実は再起名始まったばかりのもので、平成15年12月から新設されたもの。
イメージ的には投票所にちょっと早く行ける、というものかな。
期日前投票所というのがもうけられて、そこに行って選挙日より前に投票できるのだけど、投票の仕方などは基本的には選挙当日の投票とほぼ同じ。
投票所で通知書と選挙人名簿を照合して投票用紙が交付され、立会人の前で投函するのだ。
この前の都知事選では人臣をさけるために利用した人が多かったみたいだね。
こちらは公職選挙法第48条の2に規定されている制度だよ。

一方、戦前から存在しているのが不在者投票制度。
こっちは公職選挙法第49条だよ。
住民票のある市区町村で投票する場合は期日前投票が利用されることが多くなったけど、長期の出張や旅行中に住民票のない市区町村で投票したい場合には使えるのだ。
何らかの理由で住民票を移していないで、現住所と住民票の住所が異なる場合、現住所のある市区町村で投票する場合にも使えるよ。
で、この不在者投票にはいろんな投票の仕方があって、その中に、極めて限定された場合に〒による投票が認められているのだ。

それは、身体障害者や戦傷病者(もはやかなり少なくなってきているだろうけど)、要介護者であって、障害の程度が重く投票所に行くことが極めて困難な場合は、あらかじめ選管に申請することで郵便による投票が認められるのだ。
そういう人が多くいる施設、例えば、病院や老人ホームの場合は、あらかじめ選管が「不在者投票指定施設」として指定することで、そこでの投票が可能になるので、郵便投票ではなくなるのだ。
在宅介護で寝たきり、みたいな場合が該当するということかな?
長期航行中の船員さんも船舶内で不在者投票ができるよ。

おそらく、米国の郵便投票もこれと同じように限定的な場合に認められていた制度だったんだろうけど、コロナ禍でその要件が緩和され、誰でも使えるようになったので増えたのだ。
ただし、郵便を介するのでタイムラグが発生する、集配・配達ミスのおそれがある、選管に届くまでに不正が行われるリスクがあるなどの問題もあるわけで。
米国の場合、けっこう信頼できるし、普通に小切手を郵便で送る習慣もあるからそこまで大きなリスクではないような気もするけど、でも、日本と比べると、ちょっと信用度は落ちるんだよね・・・。
仏国ほどじゃないにしても(笑)、やっぱり管理がずさんなところがあるから。
そこをもってトランプ大統領は「郵便投票は不正の温床」なんて言い方をしていたわけ。
極論ではあるけどね。

ちなみに、日本の不在者投票の場合、ファックスでも投票できるのだ。
それは、指定された船舶の乗組員や南極観測隊の隊員が投票する場合!
あくまでも衆議院議委員総選挙と参議院議員通常選挙に限定されるんだけど。
その際は、選管の委員長宛に「ファクシミリ装置を用いて送信する方法により」投票することができるんだって。
法律の中にこのカギ括弧の中の表現が入っているのも感慨深いけど、メールじゃダメで、あくまでもファックスなんだよね。
まだファックス文化が根強く残っている日本だけど、いずれファックスが消えた暁には、この条文も改正されるのだろうか?

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