2021/08/14

Bon 盆

 世間的にはお盆休み。
今年は山の日がオリンピックの閉会にあわせて前倒しになった関係で、早めに夏休みをとる人が多いのだ。
年末年始と並んで、この時期は休みを取る人が多いから、公共交通機関は混雑するし、高速道路は渋滞するしで、毎年大騒ぎだよね、
コロナ禍2年目となった今年はもう自粛につかれたのか、例年よりは少ないにしても、けっこうな人の移動があったようなのだ・・・。
休みを分散化しようとする動きもあるけど、けっきょくみんなが一斉に休んでいる時期の方が休みやすいんだよね(笑)

そんなお盆。
年末年始と違って、正式に休みに指定されたことはないのだ。
明治になってから、年末と年始は正式に太政官布告で連休になったのに対し、お盆はあくまでも実行上の連休だったようなのだ。
お盆の時期に仕事を休むのはすでに江戸時代には確立していた習俗のようなので不思議だけど、おそらく、国家神道政策と関係していると思うんだよね。
年末は、「年越しの大祓」として神道行事でも重要な位置づけ。
年始については、天皇が六合(天地と四方)の天神地祇(天津神と国津神、すなわちすべての神様)を廃して五穀豊穣を祈る「四方拝」というのが重要な宮中行事として行われていたのだ。
どちらも神道としては重要な行事なので、国家神道確立を目指す上ではプレイアップしたいのだ。
実際、「年越しの大祓」と並ぶ、6月末の「夏越の大祓」も連休になっているので、神道で重要な行事を休みにしているのだ。
紀元節(今の建国記念日)や新嘗祭(今の勤労感謝の日)なんかも同じだよね。

一方で、お盆は仏教とそれ進行が複合的に混ざったものなんだけど、あいにく神社はあんまり関係ないのだ・・・。
もともとは仏教の盂蘭盆会・施餓鬼会(釈迦の十大弟子の一人、神通第一の目連尊者が神通力により実母が餓鬼道に出していることを知り、釈尊に相談し、安吾の最後の日にすべての比丘に施しをすると救われると聞き、そのとおりにして実母を救った伝説に由来するもの)が、中国で祖先祭祀信仰と習合し、それが日本に渡ってきたもの。
日本でも中国から輸入したものそのものではなく、日本独自の民俗信仰や祖霊信仰とさらに混じり合って現在のような形になったのだ。
精霊馬(キュウリやナスに足をつけてウマや牛に見立てたもの)を作って送り火・迎え火で祖先の霊を送り迎えしたり、盆踊りを奉納して祖先の霊を慰めたり。
多くの人が旧暦七月半ばのこの時期に墓参りをし、祖先の霊を偲ぶ、という風習はあったし、近代化以降はこのタイミングで都会に出ていた人たちも帰省する、ということになっていて、みんなが休む時期にはなっていたのだ。

明治になってからも、正式な休みにはならなくとも、深く浸透している習俗だったのでそのまま続くかと思ったんだけど・・・。
ここで混乱が起きるのだ。
そのきっかけは太陽暦の採用。
春分・秋分を含む二十四節気は太陽と地球の位置関係で決まるものなので旧暦から新暦に移る際は新たな日付にすればよかったのだ。
ところが、もともと日付指定の日は問題が大ありなんだよね。
そもそも元日がずれる、七夕を含む五節句がずれる。
そのまま日付を固定してしまうと、約1ヶ月前倒しになるのだ。
このせいで新暦の七夕は梅雨が明けきらない時期になってしまった・・・。

お盆も同様で、旧暦の七月中旬であればさほど問題なかったんだけど、新暦の7月中旬はちょうど稲作の農繁期に当たるんだよね。
そうすると、お盆の諸行事をやっている場合ではないわけで。
太陽暦を採用した太政官布告ではお盆はそのまま新暦に移行することになっていたんだけど、それでは支障があるので、お盆は旧暦に近い時期で行われるようになたのだ。
これが旧盆。
別に旧暦の日付に合わせているわけではなくて、単純に1ヶ月遅らせて8月中旬にやるだけなんだよね。
で、現在のお盆休みはこの旧盆が基本なのだ。
というのも、k生と言うことを考えると、地方の予定が重視されるわけで、そうなるとどうしても旧盆にならざるを得なかったから。

というわけで、けっこう紆余曲折あって今の盆休みがあるのだ。
最近は8月11日が「山の日」になったから、曜日の並びによっては連休にできるので、盆休みの時期はちょっと前倒しになっていくかもね。
子供たちはずーっと夏休みだけど、大人はやっぱり休日かどうかに影響されやすいから。

0 件のコメント: