2022/08/20

1/4の議員の要求

シャムシェイドの代表曲と言えば「1/3の純情な感情」。
そして今回は1/4の議員の要求。
先日、野党が合同で衆参両議長宛に臨時国会開催の要求を出したのだ。
この要求を出すには、議院に属する議員の1/4以上の賛同が必要なんだよね。
ただ、封土を見ていても、出したと言うだけでどういうことがよくわからないので、ちょっと手続的な所を調べてみたのだ。

今回の要求は、日本国憲法第53条に基づくもの。
同条は前段で「内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。」としつつ、その後段で「いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。」と規定しているのだ。
つまり、衆参のどちらかの議院で1/4以上の賛同があれば、臨時国会の開催を内閣に迫れるというわけ。
衆議院の総選挙後や参議院の通常選挙後の臨時国会の場合だと、議員の任期が開始する火から30日以内に開催しないといけない、と国会法に規定されているんだけど、こっちはいつ開かなければいけないという規定はないんだよね・・・。
つまり、内閣は、臨時国会の開催の決定はしなくてはいけないけど、その開催時期は裁量を持って決めることができるのだ
今回の場合で言えば、通常秋の臨時国会は9月に入ってから開会されるけど、それを多少でも当初想定していた時期より前倒しにするのか、そのままの時期にするのかは、内閣の判断で決めることができるというわけ。
さすがに憲法に則った手続で要求されたものを軽視するわけにもいかないだろうから、なんらかの調整はするんだろうし、ちょっとは前倒しをするような気もするけど、衆参どちらでも与党が圧倒的に有利な状況だから、受け止めるだけ受け止めて実質何もしないというのはあるかもしれないのだ。

今回の「1/4の要求」の内訳だけど、詳細は報道に出ていないので不明ながら、衆参両院の党勢で見ると次のとおり。
【衆議院】
定数465で、うち与党293、野党167、無所属と欠員で5。
定数いっぱいの1/4とすると、117以上の賛同が必要。
で、野党の党勢として主要なものを見ると、立憲97、維新41、国民11、共産10、れいわ3。
今回代表戦中の維新は賛同していないそうなので、立憲・国民・共産・れいわの全議員が賛同すれば121になるので1/4を超えるのだ。
【参議院】
定数248で、うち与党145、野党94、無所属が9。
定数いっぱいの1/4とすると、62以上の賛同が必要。
で、野党の党勢として主要なものを見ると、立憲+社民39、維新21、国民12、共産11、れいわ5。
維新を抜いて立憲+社民・国民・共産・れいわの全議員が賛同すれば67になるので、1/4を超えるのだ。
野党会派にいる他の議員の賛否はよくわからないけど、両院で維新を除く主要会派が賛同すれば1/4を越える賛同は得られるってことだね。
過半数には届かないから、決議案や法案を通すのは厳しいけど、開催を迫るくらいはできるということか。

数はそろうので、その手続を進めるわけだけど、どうやって要求するかは国会法に規定されているのだ。
国会法第3条で、「臨時会の召集の決定を要求するには、いずれかの議院の総議員の四分の一以上の議員が連名で、議長を経由して内閣に要求書を提出しなければならない。」と規定されているものがそれ。
この条文のポイントは2つで、ひとつは、「総議員の四分の一以上」という部分。
つまり、定数の1/4ではないので、欠員がある場合は、それを除いてよいのだ。
今回衆議院には欠員1があるので、欠員を除いた464の1/4以上の賛同があればよいのだ。
ま、465だと端数が出るから117必要なんだけど、464だときれいに割り切れて116でよいのだ。
もう一つのポイントは「議長を経由して内閣に要求書を提出」というところ。
今回の報道でも、野党が衆参の両議長宛に要求書を提出した、と報道されているのはこのため。
議員が連名の要求書を直接官邸とかに持っていくわけではないのだ。

こうしてみてみると、今回の報道の背景が少しわかってきた気がするよね。
意外に少なくてびっくりするけど、1/4以上の賛同は両院でもクリアしている、なので、要求書を両院議長に提出した、というわけだ。
あとは、政府の側がこの要求を受け取ってどう対応するかだね。
国会の会期等については原則与党と政府が一体となって対応を検討するので、内閣総理大臣であり、自民党総裁でもある岸田さんがなんらかの政治判断をした上で、今後、与野党の国会対策委員会同士で調整が行われるはずのだ。

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