2024/12/28

現代の口入屋

 「闇バイト」関連で「スキマバイト」紹介業が注目を集めているのだ。
明かにやばいバイト求人が普通に載っていると・・・。
「闇バイト」に応募・従事しているひとたちは、なにもアンダーグラウンドな掲示板などにアクセスしているわけではなく、普通にスマホアプリで単発・短期間バイトを検索していただけ。
で、異様に好条件なものを見つけ、その裏にあるものなどあまり考えずに、ということのようなのだ。
そこまで割の良いバイトがそうそうあるわけじゃないんだけど。

そういうチェック機能が働いていないんじゃないか、という点に加え、このサービスは「雇いたい人」と「働きたい人」を結び付けるだけであって、それ以上でもそれ以下でもないので、雇用者・被雇用者間で何かもめごとがあっても責任を持たない=知らんぷりをする、という問題点があるのだ。
これは食品デリバリーでも同じような話があったけど、雇用者側から雇った人が〇〇みたいなクレームが来ても、今後気を付けますが最終的に選んだのはあなたですよね、こっちはサービスを提供しただけです、となるんだよね。
逆も然りで、バイトに行ったら相手がやばい業者だったんですけど!、っていうクレームについても、紹介しただけで雇用契約を結んだのはあなただから自己責任で、という話になるのだ。

これは、このサービスが職業安定法に基づく「有料職業紹介事業」というカテゴリで行われているものであるため。
無料の「職業紹介事業」は、国が提供している「職業安定所(ハロー枠)」や大学事務局による就職あっせんのようなサービス。
で、有料の方は、もともとは専門スキルは要するような職業であって、常時抱え込まなくてm日常業務は回せるような人材、例えば、エンジニアや法務や財務のエキスパート、通訳などを紹介するようなものだったのだ。
御大尽の生活をのぞき見しちゃう家政婦さんを紹介する「家政婦紹介所」もこれと同じ。
で、この制度を短時間・短期間の単発仕事のマッチングに使い始めたのが、タイミーやシェアフルのようなスキマバイト紹介サービスなんだよね。

俗に「派遣さん」と言われる労働者派遣法に基づく労働者派遣事業においては、派遣会社は派遣する労働者を有機又は向きで雇用していて直接の雇用関係があるんだよね。
なので、その労働者に対して一定の責任を持たなくてはならないのだ。
それは社会保険のような制度もそうだけど、派遣労働者が派遣先で損害を出した場合など、一義的には派遣会社がその責任を取る必要があるよ(ただし、その後、派遣会社からやらかした派遣労働者に求償をするだろうけど。)。
なので、ある程度の身元保証を派遣会社がしてくれる、というところが大きく違うのだ。
雇用を柔軟にしたいけど採用・罷免の自由度は制限されたくない、という雇用者側のわがままに応じるものなのだ。
ただし、派遣労働者の手取りは別として、派遣会社には一人当たり高コストな費用がかかっているわけで、その「マージン」こそがビジネスなのだ。

一方、職業紹介の場合は、マッチングさせるだけなので、派遣先についても、派遣される労働者についても、必要書類等で一定の確認はするけど、身元保証までするわけじゃないんだよね。
さすがに明らかに公序良俗に反するような仕事(ダイレクトに強盗してほしいなど)を掲載することはしないけど、強盗の実行犯を探す「闇バイト」のカモフラージュされた求人ははじけなかったりするみたいなのだ。
で、仮にそれが事後にわかったとしても、もともとマッチングさせることのみが提供すべきサービスなので、最後は知らぬ存ぜぬになってしまう、というわけ。

シフトに入っていたバイトが急病で来られなくなったけど、他のバイトはそのシフトを埋められない!、みたいな事態になったときには非常に便利なサービスではあるんだよね。
また、本当にその日だけ単発で手伝ってほしい、みたいな需要にも合っているのだ。
だからこそこのサービスも広がっていったんだと思うけど、世の中には悪い人もたくさんいるわけで・・・。
甘利にもきつい仕事でどのバイトも長続きしないようなものをこれで埋めたり、なんてもあるらしいし、「闇バイト」的な求人も入ってきたりと荒れてきているのだ。
また、雇用側からすると、働きに来た人に支払う賃金とは別にサービスの利用料がかかっているわけで(通常は給食している側は無料でサービスを使っているので)、他のバイトと比べて上乗せで雇ってこれか、という思いも出てきてしまうし、他のバイトからすれば何もわからないぽっと出の人がいきなりやってきて、という感じだから、通常バイトと混ざるような場合はぎすぎすしやすいのだ。

当たり前の話だけど、サービスは使いようとはいえ、トラブルが頻発するようなら変えていかなきゃいけないよね。
まずは「闇バイト」みたいな求人は載せないか、発覚したら即刻削除することをきちんと義務付ける、みたいな規制を入れるんだろうけど、その判断の線引きは難しいよね。
加えて、間をつなぐだけ、という業態に対して、どこまで雇用者・被雇用者間のトラブルの責任を求めるかも難しいんだよね。
正直、食品デリバリーの方もそこの改善はうまくいってないから、なかなかうまくいかないだろうなぁ、とは思う。

0 件のコメント: