2008/07/12

宇宙旅行に行く前に

むかしは「ペプシを飲んで宇宙へ行こう」なんてキャンペーンもあったし、ホリエモンも捕まる前は宇宙旅行を企画する会社を立ち上げようとしていたけど、今では本当にお金を積めば宇宙へ行けるようになったんだよね。
数十億円かかるみたいだけど、ロシアのソユーズ宇宙船で国際宇宙ステーション(ISS)へ行った旅行者がいるのだ。
他にも、ヴァージン・ギャラクティック社のように、コストを抑えられる再使用型宇宙船を使った宇宙飛行を計画している会社もあるのだ。
日本でもJTBが宇宙旅行の窓口をはじめているよ。

でもでも、そんなのに申し込む前に知っておかないと行けないことがあるのだ!
それは、どこからが宇宙空間になるかは国際的なコンセンサスがないということ。
国連に置かれた宇宙空間平和利用委員会(COPUOS:Committee on the Peaceful Uses of Outer Space)で長いこと議論してきているんだけど、なかなか決まらないのだ。
というのも、下手に宇宙と空の境界を定めてしまうと、領空の範囲が決まってしまうので、ロケットの打上げのときとかに領空侵犯になるとかならないとかのめんどくさい問題が出てくるからなんだって。
どの国の上だろうと、宇宙空間は自由に飛行してよい、という慣習法ができているけど、それとの関係も整理しないといけないのだ。

そんなこと言っても、一応の定義はあるんだよね。
一般的に考えられているのは、高度100kmを越えたところから宇宙空間とするもの。
これは科学的な性質から来るもので、高度100kmより上空になると安定的に地球の周回軌道を回れるようになる、ということらしいのだ。
もちろん、まだまだ空気があって抵抗があるので、放っておくとすぐに速度が落ちて、そのせいで地上に落ちてきてしまうのだ。
でも、100kmっていうのは切りのいい数字というだけど、大気の密度は場所によって違うから、上空100kmならOKというわけでもないんだよね。
110km説を押す人もいるのだ。

でも、国際条約の1967年宇宙条約(月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約)では、国は、国補活動か民間の活動であるかを問わず、宇宙活動を行うに当たって許可と継続的な監督の義務を持つことになっているのだ。
なので、ロケットの打上げなんかを規制するために必要な法整備をする必要があるわけで、米国なんかは商業宇宙法の中で便宜的に宇宙空間の定義を決めていたりするのだ。
やっぱり世界一の宇宙先進国だね。
一方、日本は法律すらない状態。
というのも、日本でロケットの打上げを行ってきたのは、旧宇宙開発事業団(NASDA)と旧宇宙科学研究所(ISAS)の2つだけで、今ではさらに統合されて宇宙航空研究開発機構(JAXA)1つだけで、どれも公的な機関なのでそういう規制が特に必要とされなかったのだ。

一応日本放送協会(NHK)や電電公社(今のNTT)なんかは通信・放送衛星を打ち上げているんだけど、それは放送法や電波法の中の行政指導として対応してきているんだって。
というわけで、法整備をしなくてもすんできたわけだけど、遠い将来にはそうもいっていられないわけで、実際に北海道の大樹町では、民間団体が将来の民間打上げを目指してロケットの開発を進めたりしているから(HASTICという組織だよ、)、いずれそういう法規制が必要となるんだよ。
そうすると、宇宙空間の定義もきっと必要になるのだ。
ま、定義せずになんとなく「既知」のもののように扱うとか、宇宙空間を定義せずに高度100kmを越えて打ち上げるものを規制する、という形にするとか逃げる道はいろいろあるけどね。

ちなみに、当面問題となるのは一瞬宇宙空間に出た後にすぐに地上に戻ってくる弾道飛行というやつなのだ。
大陸間弾道弾(ICBM)のようにちょっと地球のまわりを周回してからもどってくるのが次のフェーズ。
月旅行や宇宙戦艦ヤマトのような世界はまだまだ先なんだよね。
なので、時間はたっぷりあるような気もするけど、ライト兄弟が初の有人動力飛行をしたのが1903年で、その66年後の1969年にはもうアポロ11号により人類は月面に立っているので、技術の進歩はとてつもなく早いというのも事実なのだ。
そう考えると、うかうかもしていられないんだよね。
ボクが定年になるころには、老後は宇宙で、なんてのもあったりして。

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