2008/10/11

学術の殿堂

まだ最後の経済学賞が残っているけど、今年は日本人受賞者が4人も出てすごかったねぇ(物理学賞の南部先生は米国籍だけどね。)。
それにしても、物理学賞・化学賞のダブル受賞は平成14年の小柴先生・田中耕一さん以来!
受賞自体もそれ以降出ていなかったからめでたいことなのだ。
新聞なんかでもわりと特集されているけど、ボクもちょっとノーベル賞について調べてみたよ。

ノーベル賞はダイナマイトを発明し、巨万の富を築いたアルフレッド・ノーベルさんの遺言に基づいて創設された賞で、20世紀が始まった1901年から続いているのだ。
ノーベルさんは、自分が発明したダイナマイトが後に平気などの軍事利用につながったことを憂え、科学などの分野で平和に貢献した人を顕彰したかったわけ。
で、創設されたのがノーベル賞で、最初は、物理学、化学、医学・生理学、文学、平和の5部門なのだ。
米国人が主に取ることで知られている経済学賞は後から設けられたもので、正確には「アルフレッド・ノーベル記念経済学スウェーで銀行賞」という別物。
1968年に創設され、1969年に第1回受賞者が出ているのだ。
自然科学の物理学、化学、医学・生理学賞は学術分野の世界最高の栄誉と言われているよね。
でも、なぜかここには数学が含まれていないのだ。
遺言になかったからみたいだけど、理由はよくわからないんだよね。
一説には、ノーベルさんが数学者を嫌っていたから、なんて言われているみたいだよ(笑)

ノーベルさんの遺産はノーベル財団によって管理されていて、その資産運用益から職員の給与などの財団の運営経費、受賞者への賞金、授賞式の経費などのノーベル賞の制度運用経費が出されているのだ。
受賞者への賞金は、現在は1,000万スウェーデンクローナらしいけど、今回の金融ショックで財団もかなりのダメージを受けているので来年から減らされるかも、と言われているのだ(>_<)
でもでも、経済学賞は別の賞なので、このノーベル財団の基金ではなく、スウェーデン中央銀行の基金でまかなわれているんだって。

受賞者の選考は、自然科学3部門と経済学賞はスウェーデン王立科学アカデミーが、医学・生理学賞はスウェーデンのカロリンスカ研究所が、文学賞はスウェーデンの学士院のスウェーデン・アカデミーが、平和賞は隣国のノルウェーの国会が選考しているんだ。
特に、ノルウェー国会が平和賞の受賞に当たるのにはノーベルさんの平和にかけた思いの表れなんだよ。
選考過程には謎の部分も多いんだけど、事前に著名な科学者・文学者に推薦を募り、ある程度絞り込みをしてからアカデミーなどで5人といわれる選考委員が決めていくのだ。
でも、その選考過程は50年後じゃないと明らかにされていないことになっていて、今の時点ではやっと湯川秀樹博士が選ばれた理由がわかったり、北里柴三郎博士がなんどか候補者にあがっていたことがわかっているくらいなのだ。

例年発表は10月、授賞式は12月なんだけど、ノーベル賞は発表の時点で生存者であることがひとつの条件というのも特徴なんだよ。
すごい業績があってもその時点で生存していないとダメなのだ(授賞式までになくなっても取消にはならないんだって。)。
複数人の受賞も文学賞以外では可能で、3名以内。
受賞内容と貢献度で償金は均等に分けたり、一人だけ多くなったりするのだ。
今回の物理学賞だと、南部先生が1/2、小林先生と益川先生は1/4で、化学賞の場合は下村先生と他の二人もそれぞれ1/3ずつなのだ。
平和賞だけは団体による受賞も可能で、過去には国境なき医師団が取っているし、昨年は国連の気候変動に関する政府間パネルとアル・ゴア元米国副大統領が受賞したよね。
ノーベル賞の選考にはむかしから欧米の人が多いという批判があるんだけど、それもあって最近では特に地域バランスも強く考慮されていて、それで受賞年度が前後するようなこともあるみたい。
でも、経済学賞だけはどうしても研究者が米国に偏っているから難しいんだよね。
これからはきっと文学賞も含めてアジアの受賞が増えると考えられているよ。

このノーベル賞をパロディしているのが一部では有名なイグノーベル(Ig Nobel)賞。
「ignoble」には「あさましい」なんて意味もあって、それも引っかけているのだ。
1991年の創設で、風変わりな研究、おもしろい研究などに与えられる賞で、時には社会風刺や皮肉も込めて与えられるんだ)仲でも「平和賞」は皮肉なのが多いよ。)。
ノーベル賞と違って固定の部門はなくて、その時々に応じて「○○賞」が名付けられるのだ。
基本的には、本人はいたってまじめにやっているのに笑わせてくれるような内容の研究、ほほえましい研究などに与えられるのだ。

日本人の受賞者としては、たまごっち、バウリンガル、ドクター中松の頭脳パン、カラオケなどで、本家のノーベル賞よりもはるかに多く受賞しているよ(笑)
日本人のセンスが理解されているの、欧米の人からばかげた研究に見えるのか、判断に困るよね(笑)
多くの人は怒って授賞式に出ないんだけど、授賞式は毎年10月にハーバード大学で行われているのだ。
受賞者の滞在費・旅費などは自己負担で本家とは全然待遇が違うし、受賞スピーチでも笑いをとらないと行けないという高いハードルがあるんだって。
ノーベル賞の授賞式の後の記念講演とはえらい違いだね。
今年はノーベル賞でも躍進したので、こっちでもぜひぜひ日本人のセンスを光らせたいものなのだ。

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