2008/10/18

黒くて甘いやつ

今日、お散歩で靖国神社に行ったら、ひさびさに「純ちゃんの黒糖改革まんじゅう」をみかけたのだ。
それで思い出したんだけど、最近は沖縄健康食ブームで黒砂糖をよく見かけるし、黒糖・黒砂糖も身近になったのだ。
独特の風味があって苦手にする人もいるけど、そのまま塊をなめてもなかなかおいしいよね。
でも、砂糖とどう違うのかよくわからなかったので、少し調べてみたのだ。

砂糖の原料は大きく分けてふたつで、暑い地方でとれるサトウキビと、寒い地方でとれるサトウダイコン(テンサイ)なのだ。
テンサイはしぼることができないので、千切りにしたものを温水に浸して糖分を溶出させ、それを煮詰めた後に濾過して不純物を取り除いてから真空状態で濃縮するそうだよ。
温水に溶け出させているだけに糖分の量は少ないから、真空濃縮しないといけないようなのだ。
最後に出てきた結晶を集めて、さらに精製して白い砂糖にするのだ。

一方、サトウキビの場合はとりあえず絞り汁を取って、それを煮詰めていくのだ。
すると、ドロドロの茶色い液になるんだけど、そこに石灰を加えて不純物だけを沈殿させて取り除いてから固めたのが黒砂糖。
精製をまったくしていないので糖以外の成分が多く含まれているのが特徴。
鉄分やカルシウムなどのミネラルや、アミノ酸などのうま味成分もあって、これが健康食品たる由縁で、かつ、独特の風味・うま味のもとなのだ。
砂糖を精製するときに取り除く糖蜜(廃糖蜜)を除いていないので、細かく砕いてもすぐにくっついてしまうのも特徴なのだ。
ブロックで売られているのはこのためだよ。

で、そのまま固めるんじゃなくて、いったん糖を結晶化させてから遠心分離で廃糖蜜を取り除いたのが粗糖。
結晶の粒子の小さいものは赤ザラメと呼ばれるのだ。
ちなみに、ザラメは結晶化させた後にカラメルを加えることで茶色くしているものだよ。
精製度が全然違うのだ。
で、古典的な方法で粗糖を作るのが四国名物の和三盆。
糖液を煮詰めて不純物を取り除いた後、結晶化させるんだけど、この段階ではまだまだ多くの糖蜜を含んでいるのだ。
そこで、粗結晶を砕いて「研ぐ」という工程を入れ、それを麻の袋に詰めると黒い糖蜜がしみ出てくるんだって。
こうしてさらに糖蜜を抜いてうっすら黄色みがかった結晶にまで精製したものが和三盆で、これは江戸時代にはかなりの精製度の上等なお砂糖だったんだよ。
ちなみに、お盆の上で三度ほど粗結晶を「研ぐ」ので和三盆というそうだよ。

遠心分離で糖蜜を除いた粗糖をそのまま使うのがブラウンシュガーで、さらに粗糖を溶かして不純物を除き、濃縮・結晶化させて得られるのが最終形の上白糖。
上白糖を作る過程で取り除いた糖蜜を再利用し、さらにそこから糖分を結晶化させてとるのが三温糖。
結晶を得るまでに数度熱を加えるので三温糖というんだけど、その過程で一部の糖がカラメル化するので茶色いのだ。
カラメルがある分だけ甘みを強く感じ、風味もよいとされて煮物などに使われるのだ。

で、砂糖を取る際に出てきた廃糖蜜は捨てるものではなくて、そのまま甘味料として使ったり、発酵させてアミノ酸(特にうま味調味料として使うグルタミン酸)をとったり、工業用アルコールの原料にしたりするのに使われるのだ。
ちなみに、くず餅なんかにかける黒蜜はこの糖蜜じゃなくて、黒砂糖を水煮とかしてから煮付けてとろみをつけたものだよ。
で、さらに最近では、廃糖蜜を発酵させてバ作るアルコールをイオエタノールとして使う需要も増えていて、それで砂糖の価格も上昇しているといわれているのだ。これは、バイオエタノールにした方がもうかるので、そもそも廃糖蜜だけじゃなくて、サトウキビ自体をバイオエタノールの原料にするからなのだ!
トウモロコシも食糧として売るよりバイオエタノールにする方が商品価値が高まるということで同じような現象が起きているよね。

ということで、砂糖の精製に沿っていろんな砂糖を見てきたけど、これはなかなか興味深いねぇ。
塩も最近は電気分解で化学的に作るけど、むかしながらの塩田で作る天然塩の方がカリウムなどのミネラル分が豊富で人気があるよね。
確かに工業的に作った方が大量に作れるし、精製度も上がるわけだけど、黒砂糖や、せいぜい和三盆くらいのローテクの方がよい感じがするのだ。
でも、今ではその方がかえって高いんだけど(笑)

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