2009/11/07

冬の花

今日は立冬。
寒さも徐々に厳しくなっていっていよいよ紅葉も本番に近づこうという季節だよ。
で、そんな寒さが増す季節に咲き始めるのが冬を代表する花のサザンカ。
歌でも有名だよね。
大川栄策さんの「さざんかの宿」じゃなくて、もちろん童謡「たきび」だよ。
2番で「♪さざんか、さざんか、咲いた道。たき火だ、たき火だ、落ち葉たき。」と歌われているとおり、たき火の季節に咲くんだよね。

このサザンカ、漢字で書くと「山茶花」で、もともとは「さんさか」と呼ばれていたのが「さざんか」になったんだとか。
「山茶」というのはツバキのことで、「茶」の字が入っているとおり、飲むお茶の葉のとれるチャノキもツバキの仲間だよ。
特徴はその葉っぱで、ギザギザで楕円形の厚みがあって、深い緑色で表面に独特の照りがあるのだ。
照葉樹とも言われるよね。
ツバキの仲間は熱帯から亜熱帯にかけて自生しているんだけど、サザンカは比較的寒さに強くて、日本では山口県、四国、九州以南で自生していて、ここが北限。
ツバキやチャノキも温帯でも栽培できるけど、霜とかには弱いのだ。
茶畑にある下向きのプロペラ(?)は風を送って根元に霜がつかないようにするものなんだよ。

自生しているサザンカは白い花に淡い桃色が入っているもの。
でも、園芸品種が数多く作られていて、赤から白までいろんな濃さの花があり、かつ、花弁の数も普通のものや八重のものなど様々だよ。
サザンカとツバキは一見似ているけど、いくつか違いがあって、ツバキは花が落ちるときにガクから(根元から)落ちるのに対してサザンカは花びらが1枚1枚落ちていくのだ。
ツバキは縁起が悪いと武士に嫌われたけど、その点サザンカなら大丈夫というわけ。
それに、ツバキは花びらが完全に平面状まで開かずにカップ状にとどまるんだけど、サザンカは完全に開ききるんだって。

ツバキというと化粧品などに使われる椿油が有名だけど、この椿油はヤブツバキの実を圧搾してとるのが一般的なのだ。
でも、サザンカの実からもとれるみたいで、なんと、お茶の実からもとれるんだって!
英語で椿油はcamellia oilというのが普通だけど、tea oilという言い方もあるそうなのだ。
ツバキ類の実は照りのある、卵形で、伊豆大島なんかに行くと実自体を使った細工物がおみやげで売っていたりするよ。
この実をつぶしつつ砕きながら油を絞っていくんだけど、そのまましぼるのが向かしながらの圧搾。
砕いたものを一度溶媒でといて液状成分を取り出し、後で溶剤を飛ばすのが溶剤抽出という方法なのだ。
圧搾の方が自然の風味が残っていて質のよい油がとれるというんだけど、効率がよいのは溶剤抽出。
圧搾の場合だと、余計な不純成分が入りづらい分、収量も少ないということなのだ。

この椿油の特徴は、オレイン酸が非常に多く、リノール酸が少ないということ。
椿油やオリーブ油は不乾性油と呼ばれ、薄くのばしておいてもまったく乾燥しないのだ。
で、用途の広さともあいまって、東洋のオリーブ油とも呼ばれるんだって。
逆に、食用油といしてよく使われる大豆油やサンフラワー油は乾性油というすぐに乾いてしまう油、ごま油やひまわり油はその中間で少し乾燥する半乾性油というやつなのだ。

椿油はオレイン酸含有量が高いんだけど、そのおかげで抗酸化作用が強いのだ。
空気中に放置しておいてもあまり参加が進まず、油が劣化しないんだよね。
これと、不乾性油という特徴から、化粧品から食用、装飾用まで幅広い用途に使われるんだよね。
刀や櫛の手入れに使われるのは、劣化せず、乾かないからこそなのだ。
かつては髪にもぬっていたというから、西洋のオリーブ油と同じだよね。

そんなわけで、サザンカやツバキは見て楽しむだけでなく、実用面でもむかしからかなり活躍してきたんだよね。
お茶なんかは日本を代表するソフトドリンクだし、なかなかあなどれない植物種なのだ。
今度からはもう少し尊敬のまなざしを持って花を見ないと!

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