2009/12/12

膜と肉の間

昨日、忘年会で焼肉を食べに行ったんだけど、そこの名物はハラミだったのだ。
これがやわらかくっておいしかったんだよねぇ。
で、そのハラミと言えば横隔膜。
というわけで、横隔膜についてちょっと調べたのだ。

横隔膜というのはほ乳類だけに存在するもので、心臓や肺のある胸腔と、胃や腸、肝臓のある腹腔の間にあるのだ。
横隔膜はドーム状になっていて、胸腔の方にふくらんでいるのだ。
それで肺は下の方が少しえぐれた形になっているんだよね。
心臓のある方の左側が二葉、ない方の右側が三葉で全部で5つのパートに分かれていて、それがすっぽりと肋骨・肋間膜と横隔膜の間におさまっているわけ。
でも、完全にパーティションになっているわけではなくて、食堂と下大動脈(心臓からの血液を下半身に運ぶ)と上大静脈(下半身から心臓に血液を運ぶ)の3つの太い管が通れるように穴が空いているんだよ。

このドーム状の横隔膜は随意筋と呼ばれる自分の意思で自由に動かせる筋肉で、ドームをべこっと凹ませるようにするとそれに引っ張られて胸腔が広がり、それで肺がふくらむのだ。
そうすると気道から空気が流入するわけ。
これが深呼吸した状態だけど、通常は意識せずにその動きをしているんだ。
肋骨で囲まれた胸郭を開くことでも胸部はふくらむので、通常の呼吸のサイクルではそこも動いているんだけど、あえて胸郭を動かさないように行うのが腹式呼吸。
これは横隔膜の動きだけで呼吸を仕様とするものなんだけど、全身の筋肉が弛緩し、声帯もよく開くので、声が大きくきれいに出るようになるそうなのだ。

鳥類も地上で生活しているけど、高空を飛ぶ必要があるので呼吸の仕組みはかなり違うようで、より効率的に酸素を取り込めるようになっているんだって。
肺の他に気のうと呼ばれる部位があって、そこに一度空気をため込んでから肺に空気を送るそうなのだ。
気のうから肺に、肺から気のうにと空気を送り込む際に血液中のガス交換をして酸素を取り込み二酸化炭素を排出するんだけど、この仕組みを使うと、より少ない体積で多くの酸素を取り込めるようになるそうなのだ。
鳥類は重量や体積に制限があるから、うまいこと進化しているんだよね。

話は横隔膜にもどって、この横隔膜がけいれんすると起こるのがしゃっくり。
原因や対処法はそんなに解明されていないんだけど、不随意に、つまり、自分の意思とは関係なく横隔膜が細かく動いて起きているのがしゃくりなのだ。
このとき、声帯が開いたり閉じたりして独特の「ひっく」という音が出るんだ。
民間療法ではいろんな治し方が知られているけど、科学的にはよくわからないのが正直なところみたい(笑)
気の持ちようのところもあるので、自分が信じていれば治るという面もあるかも。
しゃっくり自体はそんなに人体に悪影響を与えるものでもなくて、ちょっと呼吸がしづらい、食べ物を飲み込みづらいといったことはあるけど、それだけで命に危険が及ぶようなものではないのだ。
よく何回しゃっくりをすると死ぬとか言うのは根拠がないんだよ。
でも、しゃっくりが長期間止まらない場合は、尿毒症や脳腫瘍などの重大な病気の可能性があるので注意が必要なんだって。

最後に、焼肉の話にもどって(笑)、ハラミの話。
ハラミはカルビより脂が少なくよりさっぱり食べられるから最近人気なんだよね。
むかしは「ホルモン」というとイメージが悪いこともあって、「ソフトカルビ」なんて言われていたこともあったのだ。
横隔膜はよく動く筋肉なので脂肪がつきづらく、それだけやわらかいんだよね。
実は、背中側のうすい部位がハラミ、腹側の厚いところはサガリというらしいのだ。
ハラミも一般には内臓系のホルモン扱いだけど、肝臓のレバーや腸のモツ(狭義のホルモン)、心臓のハツ、第一胃のミノ・・・といった内臓系の不随意筋(自分の意思では自由に動かせない筋肉)は違って、普通のカルビやロースト同じ随意筋なので、風味はそちらに近いのだ。
まさに、胸と腹の間、骨格筋と内臓筋の間の、どっちつかずのにくいやつ、なんだよ。

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