2009/12/19

しょうがのパン

いよいよ年末が近づいてきて、寒さがきびしくなってきたねぇ(>_<)
こういう季節には体が温まるものが恋しいのだ。
鍋物がなんと言っても恋しいけど、この時期同じ恋しくなるのがしょうがの味。
さわやかな辛みと風味を与えてくれるとともに、体がぽかぽかとするのだ。

日本だと甘酒に入れたり、葛湯に入れて飲むなどの飲料系、煮物・鍋物に入れるなどのスープ系などで使われることが多いよね。
欧米だと、ジンジャーエールのようにしょうがを砂糖で煮て作ったシロップを使う飲料もあるけど、
香辛料のひとつとしてクッキーなどの焼き菓子やパンにも使うんだよね。
で、その代表格が、クリスマスの時期になると見かけるジンジャーブレッドやジンジャークッキー。
ともにしょうがをすり下ろしたもの(またはその絞り汁)や粉状にしたジンジャーパウダーを練り込むのだ。

ジンジャーブレッドは十字軍の時代に中東から欧州に持ち込まれたもののようで、しょうがを入れ込んだパンなのだ。
通常はドライフルーツやナッツも入れて、菓子パンにすることが多いみたい。
甘みをつけるのにサトウキビの絞り汁を煮詰めて遠心分離で粗糖を分離した後に残る糖蜜を使うんだけど、そのせいで黒いことが多いのだ。
糖蜜は言わば砂糖をのぞいた後のカスみたいなイメージだけど、もともとサトウキビに含まれるアミノ酸などの成分が凝縮されているので、栄養も満点。
さらに、煮詰める過程で中でカラメルができていて風味もよいのだ。
なので、素朴な甘さとうまみ、独特の風味をつけるものとして、欧米ではけっこうお菓子なんかに使われるんだよね。
ジンジャーブレッドみたいに甘さを抑えつつ、しょうがの風味と合わせようとするときには最適なのだ。

これと似たようなものがジンジャークッキー。
こっちはしょうがを練り込んだクッキーだけど、甘みをつけるには砂糖ではなくて黒砂糖やハチミツが使われるんだって。
やっぱりしょうがの風味は単純な砂糖の甘さではなく、アミノ酸などのうま味成分や風味成分が合った方が合うということなんだろうね。
日本では特にジンジャーブレッドとよく混同されるけど、どうも実はそんなに明確な差があるわけでもなさそうで、固くて乾いていればジンジャークッキーという程度みたい。
でも、米国だとしけたようなサクサクタイプのクッキーもあるから、そうなるとますます境界はあいまいかも。

混同する原因のひとつは、クリスマスの時期にかざりにも使う人型にしたジンジャークッキーをジンジャーブレッドマンと呼ぶことがあげられるよね。
さらに、ジンジャークッキーで作ったお菓子の家はジンジャーブレッドハウスで、こっちもずれているのだ。
でも、日本で触れるのはこのふたつが圧倒的に多いから、どうしても誤解してしまうよね。
おそらく、もともとは固めに焼いたジンジャーブレッドで作っていたものが、より日持ちがするクッキーで作るようになったんじゃないかと思うんだよね。
欧州のクリスマスケーキである、英国のクリスマス・プディング、フランスのブッシュ・ド・ノエル、ドイツのシュトーレンなどはどれも日本のお節料理と一緒で保存食としての面を持っているので(これは休みの期間中に料理をしなくてすむようにだよ。)、おそらくこのジンジャーブレッドもそうなのだ。
クッキーにすればクリスマスツリーに飾った後も食べられるというわけ。

しょうがの辛みと風味はジンゲロールやショウガオールと呼ばれる成分で、これが体をぽかぽかさせるのだ。
漢方薬でしょうががショウキョウとして使われるときの薬効成分でもあるんだよ。
免疫力を高める効果もあると言われていて、風邪の予防にもよいのだ。
クリスマスはもともと冬至のお祭りであると言われているけど、これは寒さが厳しくなる季節。
そんな時期に体の温まるしょうがを使ったものを食べるという習慣はよくわかるのだ。
日本ではカボチャを食べたり、ゆず湯に入ったりするけど、カボチャは冬に不足しがちなビタミン類の補給ゆず湯は体をより温める効果があるので、発想は似ているんだよね。

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