2010/02/13

回収して修理!

ここのところ「リコール」が話題になっているねぇ。
もちろん、地方自治体の首長の辞職を求める解職請求のリコールじゃないよ(笑)
今回話題になっているのは欠陥があったり、重大な問題がある製品を回収する仕組みの方なのだ。

このいわゆる「リコール」には2種類あって、法令に基づいて行われるものと、企業の自主的な判断で行われるものがあるのだ。
リコールした場合、欠陥や不具合、問題となる事項を公表した上で製品を回収し、修理や交換、返金をしなくちゃいけないので、企業側にはかなりの負担となるんだけど、企業イメージを悪化させないようにするために行われることが多いのだ。
早めに対応することで誠意をもって対応しているイメージができるし、被害の拡大も防げるわけ。
どのみち、製造物責任法(PL法)上の責務は生じているので、なんらかの対応は追って必要なのだ。
後手後手に回るとダメージも大きいし、ろくなことがないんだよね・・・。
なので、企業側にもそういう欠陥・不具合を隠そうとするインセンティブだけでなく、早めに対応してしまおうというインセンティブも働くのだ。

法令に基づくリコールにも2種類あって、ひとつは今回話題になっている自動車関係のものと、その他の一般のものがあるのだ。
自動車の方は、原動機付自転車なども含めて原動機(エンジン)のついた車両を対象とするもので、道路運送車両法第63条の3に基づく制度。
自動車はもともと保安基準に適合してものだけが公道を走ることができるんだけど、そのために車検の制度があって、ナンバープレートがないと公道を走れないし、定期的に車検の制度に出さないといけないのだ。
でも、その保安基準に適合していないことが発覚した場合や適合しなくなるそれがあることが判明した場合、事前に国土交通大臣に届出をした上で、無償で自動車を回収し、修理を行わなければならないのだ。
これが一番厳しいリコール。

保安基準は適合しているとしても、安全上や公害の防止上放置しておくのがよくない、と判断された場合、やっぱり国土交通大臣に届出をした上で、無償で回収・修理を行うこともあるのだ。
この場合は「改善措置」と呼ばれるんだけど、リコールほど重大でなくても看過できないような欠陥・不具合が判明した際にとられるよ。
さらに軽微な、品質の改善などの目的で無償で修理などを行うことがあって、これは「サービスキャンペーン」と呼ばれるんだ。
改善措置の場合は放っておいたとしてもその対象となる自動車は保安基準上は問題ないので走り続けることはできるんだけど、リコール対象の場合は保安基準適合に問題があるのでそうもいかず、まさに徹底的に回収・修理しないといけないんだよね。
これは企業的には経済的にも企業イメージ的にも相当のダメージになるので、「リコール隠し」が行われて、「改善措置」や「サービスキャンペーン」のフリをすることがあるんだ。

その他の製品の場合は消費生活用製品安全法第39条に基づいて回収されることがあるのだ。
過去に実際に行われたのはパナソニック(ナショナル)の石油ストーブとパロマの湯沸かし器の例だよ。
こちらは消費者保護の観点から、消費者の身体又は生命に危害が発生するのを防止する目的での措置。
自動車の場合、乗っている人(消費者)だけでなく、その周囲にいる人(他の自動車や歩行者などなど)のことも考慮されていて、これとは少し考え方が違うのだ。
交通全体の安全を見ているので、もう少し幅広いんだよね。
で、こっちの制度の場合、所管の経済産業大臣が回収命令を出し、その旨を公表するというスキームになっていて、企業側が公表して行うという自動車の制度とまた異なっているんだよね。
むしろ、企業側が自主的にやらない場合に強制的に回収を命じることになるので、適用例は少ないのだ。

自動車もそうなんだけど、これらのリコール制度の対象は国内で製造されたものだけでなく、輸入されたものも同じ。
輸入品の場合は輸入し、販売した代理店がこのリコールの責務を負うことになるよ。
自動車の場合はまだよいんだけど、一般商品の場合は海外製とかだとそもそも海外の製造企業側から情報が得られなかったりして、手こずることが多いのだ。
ある国の場合、製造過程には問題ない、流通過程の問題だ、なんて主張するしね。

このほか、医薬品や食料品の回収もあるよね。
あまりリコールとは呼ばないけど。
医薬品の場合は薬事法、食料品の場合は食品衛生法で規制の枠組みがあるけど、入っていてはいけないものが入っていたりした場合に回収されるのだ。
つい最近も冷凍食品に農薬が混入していたりとかの事件があったよね。
こんにゃくゼリーのように食べる際の安全上に問題がある場合に回収される場合はむしろPL法の世界で、事前にそういうリスクがあることを言っておかないことが悪い、ということになるんだよね。

というわけで、にわかにクローズアップされているリコールの問題だけど、実はいろんなところで同じような枠組みがあるんだねぇ。
自分の身を守ることにもなるので、ある程度は知っておいた方がよさそうなのだ!
この頃は安かろう悪かろうの商品がはびこっているようだからね・・・(>_<)

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