2011/04/29

ご利用は、間接的に

まだそんな気分じゃないという人もいるだろうけど、いよいよゴールデンウィークに突入。
今年は2日と6日さえ休めば超大型連休!
逆に、その平日二日を普通に来ると、断続的な連休なのだ・・・。
この時勢だとなかなか大型連休にするのはつらいよね(>o<)
そんな連休のさなか、いよいよ天皇皇后両陛下は被災3県に行幸啓されるのだ♪
芸能人が来たり、スポーツ選手が来たりするのもうれしいだろうけど、やっぱり皇室の方々が来るとなると違うよね。
変な政治家だったらむしろ来なくていいだろうし(笑)

で、ここで気になったのは敬称。
日本語だと、皇室や各国の王室に対しては、君主及びその配偶者に「陛下」、それ以外の皇族・王族に「殿下」を使うのが通例。
大統領とか大臣だと「閣下」。
偉いお坊さんや司教などの宗教家に対しては「猊下」
珍しいところでは、ローマ法王(教皇)に対して使う「台下」(或いは「聖下」)なんてのもあるよ。

これは、もともと偉い人を直接名指しするのが失礼だ、とする考え方があったからで、天皇のことを「帝=御門(みかど)」や「内裏(だいり)」と呼んだり、将軍の正室を「御台所(みだいどころ)」と呼んだりするのも同じ考え方。
本人を直接指すのではなく、その人がいる場所で表そうとするものなのだ。
「陛下」という敬称も同じような発想で中国で生まれたもので、「玉座、高御座(たかみくら)の陛(階段)の下においでのお取り次ぎの方にまで申し上げます。」といった意味で使われ始めたんだって。
これは直接話しかけるのが失礼なので、ワンクッションおいて間接的に話しかける、という発想。
殿下や閣下なんていうのも同じ発想で使われるのだ。

実はこれ、西洋でも同じ発想なんだよね。
例えば、米国の大統領が日本の天皇に話しかけるときは、気軽に「You」なんて言ってはいけないのだ。
そういう呼びかけのときは、「Your Majesty」と使い、第三者として言及するときは「His Majesty」と使うんだよ。
これはその他の敬称でも同じような感じで、ローマ法王に使うHolinessの「台下・聖下」、王族などに使うHighness(殿下)、大統領や大臣に使うExcellency(閣下)など。
市長や裁判官、国会議員などに使うLordshipやWorshipなんてのもあるけど、逆にこっちは対応する日本の敬称はないかもね。
洋の東西を問わず、偉い人に対しては直接指すことなく、間接的にその人であることをほのめかすということをするのだ。
けっこうおもしろい現象だよね。

ちなみに、これらは「~さん」という意味で使うMr.やMs.、「~博士」のDr.、「~卿」という意味で使うSirやLordとはまた違うんだよね。
その場合の敬称(というか役職みたいなもの)は名前の前につけるのだ。
エリザベス女王ならQueen Elizabeth、明仁天皇ならEmperor Akihito。
爵位を表すDuke(公爵)、Marquess(侯爵)、Count(伯爵)、Viscount(子爵)、Baron(男爵)や、「~王子」という時に使うPrinceも名前の前だよね)例えば、今度結婚するウィリアム王子はPrince William。)。
一方、日本語の訳からだとまぎたわしいのが大使や偉い軍人などに使う「Honorable」。
訳語は「閣下」になってしまいがちだけど、これも名前の前につけるのだ。
ちなみに、Sirだけはファーストネームの前につけるんだよね。
アイザック・ニュートンはドクター・ニュートンだけど、サー・アイザック・ニュートンとするのが一般的だよ。

で、こうやって間接的に呼びかけられる人々は自分を指すときも独特の言い回しがあったりするのだ。
中国や日本では、皇帝や王は「朕」という一人称を使うよね。
日本でも戦前までは詔勅で天皇が自分をさすときは「朕」だったのだ(昭和天皇は口語では「私」、普段は「僕」とおっしゃっていたようだけど。)。
いわゆる「玉音放送」の「大東亜戦争終結ノ詔書」も「朕深ク世界ノ大勢ト帝国ノ現状トニ鑑ミ・・・」となっているのだ。
西欧語でもそういう独特の言い回しがあって、偉い人は自分個人でも一人称複数を使う、という習慣(?)があったのだ。
これを「尊厳の複数(Royal We)」と呼んでいるそうなんだけど、すべての一人称を複数形にするんだよね。
ローマ法王も同じだったんだけど、先々代のヨハネ・パウロI世からそれを廃止して、一人称で「I」を使うようになったんだそうだよ。
日本では天皇に対してのみ使う敬語なんていう特殊な表現まで生まれたけど、西洋でもいろんな婉曲表現で「尊敬の念」を表したようなのだ。

というわけで、偉い人の持ち上げ方は意外と洋の東西を問わず同じだったのだ(笑)
こういうのって、たまに接する機会があるから、注意してみているとおもしろいかも。
例えば、NHKの英語ニュースで海外から偉い人とかが来たときにどう表現されているかなどで調べられるのだ!
一番直近では、英国のウィリアム王子の結婚式かな?

0 件のコメント: