2013/07/13

命の水

関東でも梅雨が明けて夏の蒸し暑さが本格化してきた!
気温が30度を越える真夏日は当たり前で、35度を越える猛暑日なんてのも・・・。
で、テレビなどでは盛んに熱中症対策を訴えているのだ。
お年寄りや小さい子は特に危ないからね。
コンビニなんかでも、この時期には「塩○○」なんて塩分補給のためのお菓子が目立つのだ!

熱中症は、多量の発刊により体内の水分量が減りすぎたり、ナトリウムが少なくなってイオンバランスが崩れたり、水分と塩分も不足して脱水症状に陥ったりするもの。
けいれんや失神、意識障害などが出て、場合によっては死亡することも・・・。
体温のコントロールが不能になるから重度になるともうどうしようもなくて、助けてもらうしかないのだ。
なので予防が大事なわけで、日陰で休む、水分だけでなく、塩分も補給するなんてのが推奨されているんだ。

その中でも注目を受けているのが経口補水液。
大塚製薬のOS-1が有名だよね。
ボクはスポーツドリンクのポカリスエットとたいして変わらないものだろう、と勝手に思っていたんだけど、実はけっこう違うのだ。
ずばり、ポカリスエットでは脱水症状を起こしている状態では「薄すぎる」のだ。
ナトリウムが足りないんだって。
飲まないよりはいいような気もするけど、低ナトリウム血症になって水中毒になるおそれもあるので(特に乳幼児)、気をつけないといけないよ。
どうしてもスポーツドリンクしかないときは、さらにひとつかみ塩を加える必要があるのだ!

経口補水液の主要成分は、水とブドウ糖と塩化ナトリウム(食塩)。
発展途上国なんかだと、コレラなどの感染症による下痢や嘔吐による脱水症状に対して、沸騰させた水にひとつかみの塩と砂糖を入れたもので対応することもあるのだ。
水1Lに食塩小さじ1/2、砂糖大さじ4と1/2を加えると簡便に作れるそうな。
売られているものにはさらに塩化カリウムや(低カリウム血症もこわいので)、硫酸マグネシウム。
重炭酸イオンがあると水の吸収率がさらに高まるそうで、その前駆体になるクエン酸なんかが入っていることも。
OS-1の場合は乳酸が入っているね。

実は、これって日本の伝統の病食である重湯に近いものがあるのだ。
重湯はおかゆをかなり柔らかく炊いて上澄みをとったものだけど、ブドウ糖が重合したデンプンがのり状になっているのだ。
これに塩を加えて味を調えてやると、あら不思議、経口補水液と同じような成分に!
しかも、これにむかしながらの塩辛い梅干しを加えてやると、塩分が追加されるだけでなく、クエン酸も入ってくるのだ。
今でも術後の最初の流動食で重湯が使われたりするけど、優れものだったというわけだね。

人間は大腸で最後のの水分を吸収し、硬い便を作っているのだけど、大腸での水分吸収がうまくいかなくなると下痢になるのだ(>o<)
これは主に感染症による症状だったりするわけだけど、すでに脱水症状を起こしていても、大腸での水分吸収はうまくできなくなってしまうんだって。
そこで注目されたのが、小腸での吸収。
小腸は水分を吸収する役割を持つ器官ではないけど、ブドウ糖やナトリウムなどの塩を吸収する際に水分を一緒に吸収することが知られているのだ。
これは共輸送系と呼ばれるもので、浸透圧の関係で糖やイオンが移動すると水分子もついてくるということなのだ。
で、これをうまく使ってやろうというのが経口補水液で、水にブドウ糖と塩分を加えることで、象徴から水分をすばやく吸収させよう、という発想なわけ。
あまりにもひどい熱中症の時は欠陥に輸液を入れて無理矢理水分を補給するわけだけど、そこまで行かないような脱水症状に使える便利な方法なのだ!

けっこう甘く見ていたんだけど、経口補水液っていうのはよくできているんだねぇ。
これだけ暑いと過信は禁物だから、予防に努めるとともに、こういう知識を身につけておくとよいのだ。
その場に経口補水江木がなくても、砂糖と塩くらいならある場合があるからね。
お世話にならないに越したことはないけど(笑)

0 件のコメント: