2013/10/05

発酵なしでもふわふわ

最近コンビニとかでよく蒸しパンを見かけるようになったのだ。
はやっているのかな?
焼成したパンよりふわふわで、食感も違うから、ずっとコンビニ食で飽きている身にはうれしいよね(笑)
しかも、かつてはもさもさしてあんまりおいしくない印象だったけど、このごとのものはしっとりふわふわだったり、もっちりだったり、おいしくできているのだ!

発酵させて焼くパンは古代エジプトで生まれ、西洋世界に広まるとともに、インド、中国まで広がったのだ。
インドでは発酵させないパンのロティみたいのもあるけど、日本人にはインドカレーに欠かせないものとして発酵させてからタンドールで焼くナンがおなじみだよね。
中国と言えば饅頭(マントウ)。
古くは三国志の時代に諸葛亮孔明が生み出したとか言う伝説もあるけど、発酵させた生地を役のではなくて蒸して作るんだよね。
ちなみに、中華まんのように具が中に入っているのが包子(パオズ)、具なしが饅頭なんだとか。
点心で出てくるマーラーカオも蒸しパンだよね、
さらに、中国では揚げパンもあって、中華粥と一緒に食べたりする油条なんかがそうなのだ。

日本には中国から朝鮮半島経由或いは琉球経由で伝わってきて、饅頭(マントウ)は禅とともにやってきて、小豆から作ったあんが入ったまんじゅうとなるのだ。
禅と一緒に入ってきたので、肉入りの包子のままではまずいと植物性の具に置き換わり、さらに、砂糖の普及に伴って甘いお菓子に変わったのだ。
日本でまんじゅうが普及する際、甘酒を生地に混ぜ込んで酒母で発酵させる酒まんじゅうとふくらし粉で発酵させずにふわふわにする「薬(やく)まんじゅう」にわかれるんだ。
その中間的なものとして、長野名物の「おやき」みたいな、発酵させないし、膨張剤も入れない生地に具を包んで焼くみたいな形態もあるのだけど。

この薬まんじゅうの延長線上に、日本の蒸しパンはあるのだ。
明治になると西洋文化礼賛で洋食がはやるんだけど、木村屋のあんぱんの発明なんかもあってパン食も増えてくるのだ。
その流れでまんじゅうのような「古い」小麦食文化はいったん廃れていくんだけど、このころには膨張剤としての重曹の入手が容易になったのもあって、発酵なしで蒸すだけで簡便に作れる蒸しパンは子供のおやつなどとして普及していくのだ。
パンの焼成にはオーブンや窯が必要なので家庭では厳しいけど、当時の日本だとどの家庭にも蒸籠(せいろ)はあったので、蒸しパンなら手軽に家庭で作れたというわけ。

戦後は「ロバのパン屋」の活躍などでやっぱり子供のおやつなどで人気だったんだけど、焼成していない蒸しパンは含水量が多く、そのためにあまり日持ちしないので、大手製パンが大量に作って流通に載せるには不向きだったのだ・・・。
なので、コンビニなんかの店頭では、焼成した菓子パンやカレーパンのような揚げパンが主流になり、いつしか蒸しパンはあまり見かけなくなっていったんだ(>o<)
ところが、流通革命でできたものをすぐに店舗に届け、店舗でも回転率は約売る、ということができるようになったので、再び表舞台に登場してきたわけ。
むかしながらの蒸しパンだけでなく、チーズとかフルーツとか新たなフレーバーも登場してきているよね。
黒糖蒸しパンとかだけじゃないのだ(笑)
米粉を加えることでもちもち感を出したり、大手製パンでも商品開発に四年がないみたいだよ。
蒸しパンは焼成したパンや揚げパンよりもちょっとだけカロリーが低いので、女性に人気のようなのだ。

蒸しパンの場合は発酵させないので、ふわふわ感を出すのに重要な役割を担うのが膨張剤。
一般にはベーキングパウダーを使うことが多いのかな。
ベーキングパウダーの主成分は重曹こと炭酸水素ナトリウムで、熱を加えると分解して二酸化炭素と水酸化ナトリウムになるのだ。
このとき発生する炭酸ガスが生地の中に空隙を作ってふわふわ感が出るのだ。
単純に膨張させるだけなら重曹だけでよいのだけど、炭酸ガスと同時に発生する水酸化ナトリウムのせいで、少し苦みが出たり、生地に黄色い色がついたり、独特ににおいが出たりするんだよね。

そこで開発されたのがベーキングパウダー。
重曹にクエン酸や酒石酸、リン酸二水素カルシウム(第一リン酸カルシウム)、焼きミョウバンなどの酸性の助剤が加えられているのだ。
重曹は酸性の助剤と反応すると、やっぱり炭酸ガスが発生するのだ。
熱分解だと水酸化ナトリウムが出てくるけど、助剤が存在していると中和反応が起こるので、水酸化ナトリウムによる苦み、におい、着色などの欠点が克服されるんだ。
保存状態で勝手に重曹と助剤が反応しないように、コーンスターチなどの分散剤も混ぜ込んであるよ。

ベーキングパウダーを使うと、生地を練っているうちから炭酸ガスが発生するので、生地を練ったらすぐに熱を通すのが原則。
逆に生地を休ませたい場合は重曹でないとダメなのだ。
ベーキングパウダーだと、中和反応と熱反応の二段階で炭酸ガスが発生するので、よりふっくらとなるんだよね。
その辺にも使い方に差が出てくるようなのだ。
それぞれ特徴があるので、自分で作るならレシピを見ながらちゃんと推奨されている方を使う方がよいかな。

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