2014/09/06

保存食は防災訓練のタイミングで更新を!

9月1日の防災の日に、うちの職場でも防災訓練があったのだ。
毎年やってはいるけど、今回は訓練の一環として、備蓄倉庫にある乾パンとビスケットの配給も受けたのだ。
ま、これは訓練というより、単に配るだけだから、備蓄食料のリニューアルのために古いものを処分するという意味合いが強いような気もするけど(笑)

今回もらってきた乾パンもビスケットも実は中身は同じで、三立製菓という乾パン製造では主流メーカーのもの。
おやつ用に袋に入って売っているものよりは大型の乾パンがみっしりと5枚セットで袋詰めになっているもの。
長期保存するものだけあってかなりの乾燥度で、一口食べると口の中の水分がすべて持っていかれてしまう・・・。
水も貴重な災害時にこれを食べられるのかは少し疑問だなぁ。

乾パンは保存食としての堅パンの一種で、堅パン自体は欧州ではむかしから食べられていた保存食なのだ。
古代ローマでは兵糧として支給されていたらしいよ。
二度焼くなどの手法によって極限まで水分を除くことで、腐敗を防止して貯蔵性を高め、寒冷地での凍結にも強くなるのだ。
また、水分がない分だけ軽くなるので、携行も容易に。
まさに軍隊が戦地に持っていく食料としてはふさわしいものだったんだよね。
大航海時代にも活躍するのだ。

一方、我が国の伝統的な保存食は、乾燥させたお米。
伊勢物語にも旅の携行食として「干し飯」が出てくるよね。
「東下り」で三河国八つ橋まで来たところで、在原業平公が「かきつばた」の歌を詠んだとき、同行者はその歌に感動して「干飯(かれいい)」に涙をこぼし、ふやけた、というエピソードがあるのだ。
鎌倉時代以降は「糒(ほしい)」の字が当てられるようになって、代表的な携行食糧になるんだよね。
もちろん、兵糧としても使われていたよ。
水で戻してもいいし、そのままぱりぽり食べられるし。

江戸末期くらいに西洋から堅パンが導入され、やがて日本人の口に合うように日本式アレンジがなされ、今の乾パンができあがるのだ。
糖分を補うのと、唾液を出やすくして食べやすくする目的で、氷砂糖や金平糖が同梱されるようになるのだ。
試行錯誤の結果、陸軍が仕様を決めて郡民協働で開発して今の形になったようだよ。
たまに食べると、絶妙な甘さも合ってなかなかおいしいよね。
でも、これだけだとつらいけど・・・。

一方で、日本人としてはお米も食べたい、という欲求があるので、伝統的な糒も改良が重ねられ、「アルファ化米」として携行食糧となって軍に採用されるのだ。
お米の中のデンプンがアルファ化されるともっちりとおいしい食感になるんだけど、それには蒸したり、炊いたりして熱をかける必要があるし、一度アルファ化しても、時間がたつと劣化してきて堅くぼそぼそになるんだよね。
アルファ化米は、もっちりした状態のまま乾燥させることで、水やお湯でもどすともちもちしたお米が食べられる、というものなんだけど、いかんせん、戦時中のものはおいしくなかったようなのだ。
それでかなり否定的なイメージが国民の間に広がって、戦後は災害用の備蓄食料としてはおやつとして食べてもおいしい乾パンが主流になっていったんだ。
登山やキャンプ用の携行食糧としてはアルファ化米も生き続けるんだけどね。

ところが、阪神大震災の時にまた流れが変わるのだ。
実際に災害が起きて、毎日のように乾パンを食べることになると、とにかく飽きる。
そして、お米が食べたい、というニーズが高まったんだそうだよ。
そのころにはアルファ化米の技術も格段に進歩していて、おいしく戻せるものができあがっていたのだ。
で、アウトドア用品として売られていたアルファ化米を配ったところ、これが大好評。
また伝統的な糒が備蓄食料として復権したのだ。
もちろん、「サトウのごはん」のような加熱調理するものの方がおいしいのだけど、アルファ化米はお湯や水で戻すだけという簡便性があるし、何より、真空パック+乾燥技術で保存期間もかなり長期にできるのだ、やっぱり備蓄にはアルファ化米が便利なんだよね。

うちの職場にはアルファ化米はあるのかな?
防災訓練でもらった後、お昼に乾パンを食べたんだけど、最初はおいしいものの、やっぱり飽きるし、何より大量の水分がないと食べられないんだよね(>o<)
本当の災害時にはこれはけっこうきついかも、と思ったよ。
水で戻せるアルファ化米(しかも、今は五目ごはんやおこわ、赤飯など、それだけで食べられるものもあるよ!)があるといいんだけどなぁ。
ボクはどちらかというとごはん党だし(笑)

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