2014/09/20

大英帝国崩壊の危機か

イギリスの正式な国名は、「グレートブリテン及び北部アイルランド連合王国」であることはわりと有名だけど、この枠組みが崩れかけたのだ!
今月18日にグレートブリテン島北部に位置するスコットランドが独立するかどうかの投票を行ったのだ。
むかしからくすぶっていて、ずっと徐々に独立賛成派が増えていたんだよね。
独立すれば、300年以上ぶりの独立となるんだ。
今回はけっきょく独立は見送られる形になったけど。

日本から見るとよくわからないけど、もともとイングランドとスコットランドは分化も民族も違う別の国。
同じお受けが君臨して「二重帝国」になっていたのだけど、1707年に連合法というのがイングランド、スコットランド双方の議会で成立し、連合王国であるグレートブリテン王国が誕生したのだ。
北部アイルランドがこれに加わるのは1800年の連合法だよ。
ちなみに、もうひとつのウェールズだけはちょっと位置づけが違って、13世紀中頃にウェールズ大公(Prince of Wales)をいただくウェールズ公国が誕生するんだけど、すぐにイングランドのエドワード1世王に侵略され、イングランドの統治下に入ってしますうのだ。
なので、連合王国の一角ではあるけど、イングランドの一地方という扱いなんだよね。
ちなみに、このとき、エドワード1世は長男のエドワード2世にウェールズ大公の地位を継がせたので、それ以来、イングランドの皇太子は「プリンス・オブ・ウェールズ」の称号を引き継ぐことになるのだ。
これが連合王国になった今でも続いているわけ。

こういう経緯があって、イングランド、ウェールズ、スコットランド及び北部アイルランドが一つの連合王国になったのだけど、スコットランドだけは独立心が強く、たびたびイングランド主導の連合王国統治に不平・不満を漏らすのだ。
それで独立騒動がずっとくすぶっているわけ。
それが噴出したのは今のエリザベス2世女王陛下の戴冠のとき。
イングランドには「処女王(Virgin Queen)」と呼ばれたエリザベス1世が君臨していたけど、スコットランドとしてはエリザベス女王の統治ははじめてだったのだ。
そこで、新たに君臨するエリザベス女王が「1世」なのか「2世」なのかでもめたんだって・・・。
最終的には、女王本人の意思で「2世」となったんだけど、そのとき、新基準として、「○世」が異なる場合は大きい方の数字をとる、と決めたんだそうだよ。
ただし、国王又は女王が自らなんと名乗るかはまわりが決めるのではなくて、「国王大権」として本人が決めることなので、次の王がこの新基準を採用するかどうかは未定なんだとか(>o<)

1998年にはスコットランド法というのが制定され、外交、軍事、財政・金融、麻薬取り締まり、移民政策などの連合王国が一体として取り組むべき政策課題(いわゆるウェストミンスター議会留保事項)を除き、スコットランドは独自に法令を作ることが認められたのだ。
これにより、福祉政策や、所得税率、禁煙政策など、スコットランドは独自の法制度を持っているのだ。
かなりの裁量が認められるようになっているわけ。
もともとスコットランド法は大陸法系で、英米法ではないというところも興味深いけど。
これでも足りないから独立、ということなんだけどね。

日本から見てイギリスというと、タータンチェック、キルト、バグパイプ、ウィスキー(スコッチ又はアイリッシュ)、ゴルフ発祥の地(セント・アンドルーズ)などが思い浮かぶけど、これも多くはスコットランドの文化。
産業革命を支えた石炭もウェールズとスコットランドのものだし、「国富論」のアダム・スミス、「シャーロック・ホームズ」のコナン・ドイル、電話の発明者のグラハム・ベル、蒸気機関を発明したジェームス・ワットなど、スコットランド出身者が多く活躍しているんだ。
英国首相のトニーブレアさんやゴードン・ブラウンさんもスコットランドの出身。
英国の産業や文化、政治を支える上で重要な位置を占めているので、今さら独立されるとかなりの影響が出るはずなんだよね・・・。

それでも独立を画策しているのは、北海油田の石油があるからなんだとか。
スコットランドにはまだ石炭もあるし、欧州随一の埋蔵量と言われている石油もあれば、かなりの経済力が見込めるからね。
イングランドと一緒でなくてもやっていけるぜ、ということみたい。
ただ、本当にそうなのか、とスコットランドの中でも思っている人がいるわけで、ずっと独立はしなかったんだけど。
実際どうなるかはよくわからないけど、仮にスコットランドが独立すると、英国の国旗のユニオンジャックは変更されるのだ。
もともとイングランド、スコットランド及びアイルランドのそれぞれの国旗を組み合わせたものなので、背景の青地と白の斜めクロスのスコットランド国旗分がはずれるんだよね。

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