2015/04/18

ぷっちんでないプリン

春は歓迎会やお花見で宴席が多くなるよね。
で、ある程度年齢が高くなると、「痛風の気があるので、ビールじゃなくて焼酎」なんてことを発言する男性が増えてくるのだ・・・。
この人たちが気にしているのが食品中に含まれている「プリン体」なんだよね。
アルコール飲料の中ではビールはダントツでプリン体を多く含んでいて、まさに痛風の敵なのだ。
逆に、見た目はビールに似ていても、ホッピーの場合はプリン体がほとんど含まれていないので、痛風持ちの人に好まれているよ。

まず、痛風というのは、血液中の尿酸の量が増え(高尿酸血症)、その結果として関節に尿酸の結晶が析出してしまうことにより生じる炎症のことなのだ。
結晶は分子ごとにいろんな形をとるけど、尿酸の場合は針状結晶といって、細長い針のような形の結晶になるんだよね。
これが文字どおり関節の内側から刺さるわけで、「風が吹いただけで痛い」というような症状になるのだ。
尿酸はプリン体が代謝されてできるもので、実は水に溶けにくい性質があるんだよね。
本来であれば、これがより水に溶けやすくて無害なアラントインという物質に分解されるんだけど、その手前で詰まって血中の尿酸濃度が高まると、高尿酸血症となるのだ。
ちなみに、アラントインは排泄直前にアンモニアになって尿中に排出されるんだけど、これがおしっこのにおいのもと。

でも、血液中に尿酸が多いからといってただちに痛風になるわけではなく、個人差があることでも知られているんだよね。
遺伝的要因、環境要因(食生活やストレスの有無、アルコール接種の頻度・量など)が様々にからまっているみたい。
「みたい」というのは、けっきょくのところ何が引き金になって高尿酸血症から痛風を発症するかがわかっていないからなんだよね。
とは言え、血液検査で尿酸値が高い場合はすでに「予備軍」ではあるので、医者から気をつけるように言われるのだ。
多くの場合、プリン体の多い食品は控える、アルコールはおさえる、塩分も控えめに、三食規則正しく、なんてところ。

ここで出てくる「プリン体」というのは、プリン骨格を持つ有機化合物の集合のこと。
プリン骨格というのは、窒素が入った「亀の子構造」でそれぞれ窒素が2つ入った6員環とと5員環がくっついたものなのだ。
これはDNAを構成する4つの核酸塩基ACGTのうち、A(アデニン)とG(グアニン)がこの構造を持っているのだ。
C(シトシン)とT(チミン)はピリミジン骨格で、6員環のみで5員環がないんだよね。
で、この核酸は実はうまみ成分でもあるので、かつお出汁や鶏ガラスープなんかにも大量に含まれているのだ・・・。
プリン体の摂取を控えるには、コンブ出汁に切り替える必要があるよ(笑)

プリン体が多く含まれる食品として有名なのはなんと言ってもレバー。
魚卵も避けられるけど、量的にはそんなに多くはないみたい。
でも、肉や赤身の魚にはけっこうプリン体が含まれているので、それらも摂取を控えるように指導されることが多いよ。
ビールについてはアルコール飲料の中では多いもので、絶対量としてはそんなに多くないんだ。
でも、アルコール摂取によって血液中の尿酸量は増えることが知られているので、アルコールの効果+プリン体のダブルパンチできいてくるビールはダメなのだ。
逆に、焼酎などの蒸留酒はプリン体フリーだから飲んで大丈夫、と思われているけど、アルコールによる効果はあるので、飲酒量自体は減らす必要があるんだよね。

痛風予備軍の人たちがプリン体とアルコールの摂取以外に指導されるのは、まずなんと言っても水を飲むこと。
そもそも水を大量に飲んでどんどん尿酸を体外に出そうということなのだ。
欧州で喫茶文化が発展した理由の一つには痛風の予防・緩和に茶やコーヒーによる利尿効果があったみたい。
継ぐに、野菜を多くとることも推奨されるんだよね。
尿酸は中性~アルカリ性のときによく溶けるので、野菜を摂取することで血液のpHを上げることに効果があるのだ。
逆に、果物に含まれる果糖を多く摂取すると血液が酸性に傾くため、尿酸が溶けづらくなるのだ・・・。
なので、野菜の代わりに果物を多く、っていうのはダメみたい。

多くの生活習慣病は同じ結論に達するんだけど、三食規則正しく、野菜は多めに、塩分は少なく、アルコールも適度に、ってことなんだよね。
正直おもしろみのない食事だけど、それが健康的なのだ。
若いときはいいんだけど、ある程度年齢を重ねるとこういうのにも気をつけていかないといけないんだよねぇ・・・。

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