2015/06/06

金はカジノの回りもの

国会議員の間で統合型リゾート(IR)に関する議論が行われているのだ。
できれば2020年の東京五輪に間に合わせて、外国人観光客を呼び込んで、お金を落としていってもらいたいんだよね。
一方で、国内にそういう施設ができると治安が悪くなるとか、ギャンブルに入れ込みすぎて破滅する人が出てくるとかの負の側面も指摘されていて、全体としてはイケイケ派と慎重派が主張をぶつけ合っているんだよね。
確かに、おとなり韓国のカジノは原則外国人のみを対象としていたんだけど、一部で韓国人に開放したら、身を崩す人が続出したという悪事例もよく紹介されているのだ・・・。

で、テレビでその話を見ていたとき、ある慎重派の人が言ったことが気になったのだ。
それは、「カジノは所詮プレーヤーの金を集めて再配分しているだけで、そこからは胴元の取り分が引かれるんだから期待値としては損をするだけ」という話。
カジノと言われると胴元とプレーヤーの勝負のような気もするんだけど、どうなんだろう?
というわけで、少し調べてみたのだ。

このような主張がもっともよく当てはまるのは、国内でも認められている公営ギャンブル(競馬、競輪、競艇、オートレース)や宝くじ・totoくじ。
これは投票券・くじの売り上げをプールし、そこから胴元の取り分を引いたものを再配分するのだ。
これを控除率と言っていて、宝くじやサッカーくじではだいたい50%、公営ギャンブルでは25%くらいなのだ。
これらの場合はあらかじめ胴元の取り分をさっ引いて再配分するので、胴元は確実にもうけられるのだ。
逆に言うと、競馬の場合は馬券の総売上の25%は日本中央競馬会又は地方公共団体の収益になるのだ。
ただし、実際には事業実施コストも発生しているので、まるまるもうけというわけではないよ。
宝くじの場合は半分は収益になるんだけど、そのうちの一部は公益的な事業に使われることになっているんだよね。
最近では復興宝くじがまさにそうだけど、街中でも公園の遊具やベンチに宝くじの収益で買ったものだ、なんて書いてあるよね。

これこそが公的に認められた賭博である所以で、社会福祉の向上に資するから例外的に賭博行為が認められるし、その胴元は当然のことながら悪い儲け方をしない公的な主体に限られることとなるのだ!
日本でもむかしから富くじやら勧進相撲というのがあったけど、それと同じなんだよね。
寺社の建て替えや改修の費用を捻出するのにギャンブルの売り上げを利用するものだったわけだけど、それと同じようなものだよね。
江戸時代も勝手に富くじをするのはやはり禁止されていたのだ!

逆に、胴元の側も少しリスクを負うものがあるんだよね。
それがポーカーやパチンコ、丁半ばくちなど。
基本的には賭場への参加料として寺銭やらハウスエッジというものを胴元にとられるので、その分は確実に胴元のもうけになるんだけど、それ以外は原則としては偶然性に左右されるので、プレーヤーが勝ち続けて胴元が損することもあり得るんだよね。
でも、実際はそんなに損をしないからこそカジノや賭場の胴元は成り立つのだ。
何もいかさまをしているわけじゃないよ。

というのも、大勢の人が何度も何度もギャンブルに興じる場合、それこそ無限回に近い回数で行われることになるのだ。
すると、確率・統計論的には「大数の法則」が働いて、当たりの目もはずれの目も出る確率は限りなく期待値に近づいていくんだよね。
ルーレットの赤黒で言えば、多く回せば回すほど、赤と黒の出る確率は1/2に近づいていくんだ。
このため、適切に倍率が設定されている限りは、胴元が大きな損をする確率はゼロに近づくわけ。
とにかく数をこなすことが重要で、そのために海外のカジノでは太い客に特典をつけて、ホテルに無料で泊まれたり、レストランで無料に食事できたりするよう便宜を図ることもあるみたい。

さらに、カジノのギャンブルでも、ルーレットは先に紹介した公営ギャンブルや宝くじに近いところがあるのだ。
ルーレットでは、盤が赤と黒に分けて1~36の数字がふってあって、どの数字のタマが落ちるかを賭けるわけ。
で、一点がけなら36倍、赤黒なら2倍とかけ方によって倍率が変わっていて、これは当たる確率の逆数に設定されているのだ。
ところが、実はルーレットには0や00といった数字もあって、この場合は胴元の総取りなんだよね。
なので、本当は1/36で当たるんじゃなくて、1/38で当たるのだ。
この差の分だけ胴元が有利だし、プレーヤーが得られる報酬の期待値は下がっているというわけ。
プレーヤーから参加費用をとらずとも、ルーレットに参加してもらえれば胴元はもうけることが可能なんだ。

パチンコやスロットマシーンの場合は、そもそも当たりの出る確率を調節できるんだよね。
いわゆる「出玉調整」というやつ。
でも、あんまり当たらないとやる人がいなくなるので、適度にしておくことが大事なんだけど。
よくあるのは、大当たりは多少でやすくするけど、小当たりを抑えるというもの。
人間は不思議なもので、ちょろちょろ小当たりで稼ぐより、一発逆転の大当たりにかけたいものなのだ。
パチンコなんかはあまりにも射幸心を煽らないように、一定の制限があるみたいだけどね。
とは言え、これも確率の世界の話なので、やっぱり数をこなすことが重要で、まずはプレーヤーに魅力的に映るような設定が必要なのだ。

というわけで、調べてみると確かに期待値だけで見るとプレーヤーが損しているだけなんだよね。
胴元の取り分を除いて少なくなった分を取り合っているのだ・・・。
なんか、そう考えると悲しいね。
ま、ボクはもともとあんまりギャンブルには興味ないけど。

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