2015/06/13

ダメ!ゼッタイ!!

厚生労働省が「改めて」豚レバーの生食を禁止して話題になっているけど、正直「えっ!?」って思ったんだよね。
だって、もともと豚肉は生食しないでしょ。
豚肉を食べるときはよく加熱して、っていうのは一般常識だよね。
飲食店が赤みが残るレアな状態で豚肉料理を出したらそれこそ問題になると思うけど・・・。
でも、どうも世間一般では、「レバー」は別扱いみたい(>o<)
特に牛のレバーの生食ができなくなってから需要が高まっていた(?)ようなので、駆け込み需要とか、嘆く声とか、よくわからないものが報道されているのだ。

豚肉(イノシシ肉)は古くから食肉として扱われてきていて、日本でも弥生時代の遺跡からイノシシと骨とおぼしきものが出土したりしているらしいのだ。
その後仏教政策で肉食が禁止されるので、しばらく豚肉食習慣は表に出てこなかったんだけど、江戸時代にはももんじ屋などで他の獣肉とともにイノシシが食されていたのだ。
全国的に広まったのは明治維新以降で、牛肉よりくせがなく、安価なことから、関東では「肉」と言えば一義的に豚肉を指すまでに広まっているのだ。

でも、この現代の豚肉食習慣では加熱調理が必須とされているよね。
これはブタが保有している病原体の関係なのだ。
トキソプラズマのような原虫もあるんだけど、特に問題と考えられているのはE型肝炎。
これはウイルス性肝炎を引き起こすもので、シカやトナカイの肉も同様なので、必ず加熱して食べる必要があるんだ。
また、屠畜流通段階で食中毒原因菌汚染の可能性も指摘されているのだ。
もともとは生食が可能とされている牛肉と違って、加熱調理を前提としている豚肉の場合は諸中毒原因菌フリーで流通させる仕組みがないのだ。

市場には特定病原菌に感染していない「SPFポーク」というのもあるけど、これは、日本SPFブタ境界が規制している5つの病気(マイコプラズマ肺炎、トキソプラズマ感染症、萎縮性鼻炎、豚赤痢 、オーエスキー病/ブタヘルペス)に感染していないということなので、E型肝炎は別なのだ。
なおかつ、流通経路としては一般の豚肉と基本は同じなので、食中毒のリスクは変わらないんだよね。
特に今般の生肉食規制は、O157をはじめとする食中毒病原菌汚染から来ているので、SPFポークだからいいということにはならないんだよね。
そして、E型肝炎のリスクがある以上、牛の生レバーよりたちが悪いのだ(>o<)

最近はSPFポークだからと、たたきにしたり、レアな焼き加減で出したりするような飲食店もあるようだけど、実はリスクは残っているんだね。
「SPF」という言葉を過信してはいけないということなのだ。
きっと生レバーとか、レアな豚肉にはそれなりの魅力があるんだろうけど、それこそ伝統的に豚肉を加熱しておいしく食べる調理法は山ほどあるわけで、正直リスクを冒してまで生食する必要はないんじゃないかと思うんだよね。
それもこれも全部承知で、オウンリスクで食べるんだというのなら仕方がないのかもしれないけど、あまりリスクを認識していないままに食べているのだけはやめた方がよいのだ。

ちなみに、実は豚肉の脂肪は馬肉と同じくらい融点が低いので、いわゆる「口の中でとろける」食感があるはずなんだよね。
牛刺しよりも馬刺しがメジャーなのは脂肪の融点の低さのおかげで、ちょうど体温で脂肪が融けるので口当たりがよいのだ。
牛肉の場合は若干融点が高いので、多少温めた状態がおいしく感じるんだよね。
その点しゃぶしゃぶはよい調理法ということになるのだ。
豚肉も性質的にはそうなんだけど、生食はやめた方がよいので、これが生かし切れていないのか、残念だなぁ、と思っていたら、そうでもないみたい。

そう、ハムやソーセージなどの加工食品にしたときに真価が発揮されるのだ!
ハムやソーセージは、塩蔵、乾燥、燻蒸などで加工しているわけだけど、これらは温めずに食べてもけっこうおいしいのだ!
特に生ハムなんかはそうだよね。
牛肉の生ハムがないのはもともと生で食べられるから、という以上に、脂肪の融点の関係で口の中でとろけないからなのだ!
むしろビーフジャーキーにしてしまうわけ。
なので、何も生食せずとも、生ハムという形で豚肉の底力は感じることができるのだ。

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