2016/08/20

硬い水への抵抗

生活してみて実感しているけど、フランスの水道水は硬水なのだ(>o<)
思った以上にカルシウムが多いみたい。
だって、水滴がそのまま乾くと、白い粉の輪郭が残るんだよ・・・。
これがまさに溶けていたカルシウム。
ここまでとは。

硬水だと、石けんの泡立ちも悪いので、洗剤の洗浄力も落ちるんだよね。
なので、フランスでは、洗濯は温水でやるのだ。
ドラム式の洗濯機が主流だけど、まず「温度」を選ぶんだよ。
通常は30~40度みたいだけど、90度とかも選べるのだ。
って、熱水で洗濯するんだ!
これはびっくり。

これには二つの理由があって、ひとつは、熱をかけることで布地についた汚れを溶け出しやすくすること。
お湯で洗った方が落ちがいいから、日本でも染み抜きなんかの時は温水を使うよね。
でも、もう一つの理由の方が大きいのだ。
それは、カルシウムを沈殿させるため!
水道水の中では、主に炭酸水素ナトリウムとして溶けているので、熱をかけてやることで二酸化炭素の溶解度を低下させ、水に溶けにくい炭酸カルシウムとして沈殿させる、という原理なのだ。
 それだけじゃなく、フランスの場合は、カルシウムを沈殿させる薬剤(カルゴンなど)を洗剤と一緒に入れることも。

でもでも、これをやると、沈殿した炭酸カルシウムがどこかにたまるわけで・・・。
洗濯槽にこびりついたり、配管の内側にこびりついたりするのだ。
なので、定期的をそれをとってやるどろっとした洗剤を使うんだよ。
って、どれだけ使いづらい水だ(>o<)
 日本の基準から考えると、めんどくさいことこの上ないね。

でも、すごく簡便な方法で、そこまでしなくてもいい、というのがフランスの生活の知恵。
それは、洗濯するときに少しお酢を入れるというもの。
お酢の酸っぱさの正体は酢酸やクエン酸だけど、これは両方とも炭酸カルシウムを溶かす作用があるんだよね。
酢酸カルシウムは非常に水に溶けやすい塩だし、クエン酸はカルシウムイオンと錯体を形成して水に溶かすのだ。
なので、お酢を入れるとあら不思議、カルシウムは沈殿せずに、排水とともに下水へと流れていくのだ。
ちなみに、洗い上がりまでにはきちんとすすがれるのでにおいは残らないよ。

これと同じ原理で、フランスでは水回りの掃除にお酢を使うんだよね。
お酢を水で薄めたものをスプレーで吹きかけたり、そのままふきんにつけてこすったりするのだ。
すると、カルシウムでできた白い水垢はきれいに落ちる!
フランスでは電気ケトルが主流だけど、どうしても内側にカルシウムがたまるんだよね・・・。
これも、お酢を薄めたものを何度か沸騰させるととれるのだ。
ただし、こっちの場合はにおいが取れるまでなんとも洗わないとだめだよ。

というわけで、フランスはただの水道水でも扱いが面倒なんだよね。
でも、暮らしの知恵でなんとかしてきたのだ。
なんでスーパーで工業用っぽいお酢がリッター単位で売られているのかと思ったら、こんなわけがあったんだよね。

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