2016/08/27

塩と日光はいつでも効果的

フランスやパリのガイドブックには、必ずと言っていいほど、赤ワインをこぼした場合はすぐに塩をつけるとしみにならない、的なことが書いてあるのだ。
それだけ赤ワインがポピュラーな飲み物なのは確かだよね。
スーパーで売っている割と安めのワインですらおいしいというし。
でも、実はこれ、ちょっとつければいいんじゃなくて、盛り塩のようにして、なおかつ上から圧力をかける必要があるのだ!

ボクもはじめは何かの化学的な作用で、赤ワインの色素が分解されるとか、水に溶けやすくなるとか、そういう効果があると思っていたんだ。
ところがどっこい、これは塩で赤ワインを吸い出す、ということのようなんだ。
塩の吸水性を使って、まだ繊維の奥深くにしみこむ前に、布地から引きはがすというわけ。
恐ろしく単純な原理だけど、それだけに効果はあるのかも。
化学的な作用だと、温度とかの条件がありそうだもんね。

塩の主成分である塩化ナトリウムはそもそもそんなに潮解性(まわりの水分を引き込んでまで溶けようとする性質)はないし、アルコール(エタノール)が入っていると少し溶けにくくなるんだけど、赤ワインを飲むような場ですぐに手に入る、というのが重要なのかも。
塩化マグネシウムだと潮解性もあるから、むしろ天然塩の方が効果があるかも。
粗塩の方がいい、なんていうのもそういうことかもね。

でも、これって、しょうゆをこぼしたときに口でちゅうちゅう吸うのと同じと言えば同じ。
一般に染み抜きで行われる、下に当て布をしてから濡れた布で上からたたく、というのも、新しい水分を上から入れて、ところてん方式にしみの元であるしょうゆなどを下の布地に移す、ということだから、狙っていることは同じ。
とにかく、布地の繊維は、もっと細い繊維状のタンパク質が撚られたものなので、その隙間に入り込んだら吸い出すことはできないから、その前に素早く対処することが大事なんだ。
赤ワインの場合も、服にこぼしたなら、できるだけすぐに脱いで盛り塩をして、上からぐいぐい押しつけて塩に赤ワインを吸わせるのが正解なのだ。
こう言われると、ガイドブックに書いてある文章は違和感があるなぁ(笑)
ちなみに、絨毯などにこぼした場合は、まずはさっと液体を拭き取って、その上で盛り塩をし、最後に掃除機で吸い取るとよいみたい。

一方で、カレーのしみについては、実は時間が経っても落とせるのだ。
なぜなら、カレーのしみは化学的な作用で色をぬくから。
カレーの黄色い色は主にターメリック(ウコン)由来のクルクミンというポリフェノールに由来するもの。
このクルクミンは、紫外線で退色(色が落ちていく)ことが知られているんだ。
紫外線が当たることで酸化され、無色の物質になってしまうのだ。
なので、カレーのしみがついたものは、天日干しをすると、どんどん色が抜けていくわけ。
なんどか洗って天日干しをすると、ほとんど見えなくなるよ。
こっちは繊維の奥までしみこもうが、紫外線が届く限り反応が起こるので、しみが落とせるんだよね。

それにしても、塩や日光は殺菌効果だけじゃなく、しみも落とせるのだ(笑)
 これでフランスに行っても、インドに行っても安心だ。
しょうゆはその場でちゅうちゅうするのが一番いいよ。

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