2017/02/04

日本では顧みられない乳

フランスは乳製品大国なのだ!
チーズやヨーグルトの種類が豊富でおいしい♪
そして、バターも手作りのものが売ってたりする。
で、我が家でも、手作りバターを買ってみたのだ。
こういうバターは、伝統的な製法で作られているんだって。

バターは、革袋に入れていた牛乳が揺られて自然に脂肪分が固まったのを取り出したのが最初と言われるけど、原理的にはまさにこれなのだ。
伝統的な作り方としては、生乳を温めて低温殺菌し、しばらく静置するのだ。
すると、乳脂肪分を多く含んだ「クリーム」が浮いてくるんだよね。
このクリームをすくい取って、密閉できる容器に入れ、よく振って攪拌すると、中の脂肪分がかたまり出すんだ。
これをい絞ってあげて固形分だけを取り出したのがバター。
有塩バターの場合は、固形分を取り出した後に塩を混ぜるのだけど、そうすることで、保存性が高まり、バターの風味もよくなるんだって。

で、このクリームの中から脂肪分を取り出す過程で、あらかじめクリームを発酵させてから取り出したのが発酵バター。
ヨーグルトと同じで木の枝でかき回したりするとそこから自然に乳酸菌が入って、冷ましながら半日くらい置いておくと中で発酵が進み、乳糖が分解されて乳酸になるのだ。
すると、クリームの液中のpHが下がって弱酸性になるんだけど、そうなるとカゼインなどの乳タンパクが凝集して核ができて、乳脂肪がまとまりやすくなるみたい。
ちなみに、ホモジナイズドされた牛乳だと脂肪分が均質化されて固まらないようになっているので、バターの原料にはできないよ。
で、発効クリームから固形分(=発酵バター)を取り出した後に残るのが、伝統的なバターミルク。
脂肪分が少なく、発酵過程を経ているので乳糖が少なめで乳酸があるのでさわやかな酸味があるものだよ。
脱脂乳との違いは、脂肪分が少しは残っているのと、乳糖が少なく、乳酸由来の酸味があること。

欧米ではかなりポピュラーな乳製品だそうで、さわやかな酸味があるので製菓材料などにも使われるみたい。
ただし、伝統的な製法があまり行われなくなってきているので、この伝統的バターミルクはあまり見られなくなっているみたい。
現在の工業的製造法では、あらかじめクリームを発酵させずに脂肪分を取り出すので(無発酵バター)、ここからできる液性残渣は限りなく脱脂乳に近い存在になるんだよね。
でも、わざわざそこに乳酸菌を足し、「培養バターミルク」なるものが欧米では製造されているようなのだ。
これが欧米でよく売られているバターミルクらしいよ。
ビタミンやミネラルが豊富でカロリーが低く、乳酸が多いので消化にもよい、というすぐれた乳製品で、日本人のように乳糖不耐症がある人にも安心して食べられるのだ。
ところが、このバターミルクはほとんど日本では流通していないんだ!
バターミルクから水分を除いたバターミルクパウダーはあるみたいなんだけど。

その理由はネットで調べるといろいろと出てくるんだけど、ひとつの要因となっていそうなのは、「加工原料乳生産者補給金等暫定措置法(昭和40年法律第112号)に基づく、「加工原料乳生産者補給金制度」というもの。
チーズやバターの原料となる加工原料乳というのは、いわゆる牛乳に加工される生乳より取引価格が安いので、これらの製品の安定供給のため、独立行政法人農畜産業振興機構が加工原料乳の生産者に補給金を出す、というものなのだ。
で、この補給金が出る対象は「指定乳製品」として決まっていて、脱脂粉乳やバター、チーズは入っているんだけど、バターミルクは入っていないんだ。
だからバターミルクが製造できないというわけじゃないんだけど、バターミルクは生産しても補給金が出ないので、生産するインセンティブが低くなるわけ。
バターの副産物とはいえ、製品として流通させるにはそれなりの設備が必要だけど、日本でもともとなじみもないものなので、そこまでの投資は割に合わない、ということなんだと思われるのだ。

今の健康ブームの流れでは、売れそうな気がするんだけどなぁ。
バターミルクという名称だと、むしろ普通の牛乳より脂肪分が多くて、カロリーが高いようなイメージではあるんだけど(笑)
チーズの副産物である乳清(ホエー)は見直されているから、バターミルクもいつか日の目を見る機会が来るんじゃないかな。
とりあえず、フランスでは売っているので、一度買ってみよう。

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