2018/05/05

フランス人はなぜ傘を持たないのか

パリに来てからびっくりしたのは、雨が降っていても傘を差している人が少ない!
っていうか、傘を持ってなさそうな人もいる・・・。
傘を差しているのはたいてい外国人なんだよね。
特にアジア系が多いような。

最初にこっちの人から聞いた説明では、パリの天気は変わりやすく、雨は降ってもすぐやむので、ちょっと雨宿りすればいいだけなので、傘を持ち歩く人が少ない、というもの。
確かに、雨がざーっと降ってきても、ちょっとカフェでコーヒーでも飲んでいるとやむことが多いのだ。
ま、そういう時間を勝手にとれる余裕があるっていうのがまたフランスらしいんだけど(笑)
でもでも、雨が降ってきたときに、みんながみんな雨宿りをするわけではないんだよね。
っていうか、普通にそのまま歩いている人もいる。
パーカーのフードをかぶったりするのは気を遣っている方なのだ。

で、つい最近知ったのだけど、これは子供の頃からの習慣の影響が多いのではないか、という話。
なんと、フランスの小学校では、傘を校内に持ち込むことが禁止されているんだって。
先がとがっているし、振り回すと危ないからって。
マフラーも首を絞めるおそれがあるという理由で禁止らしいから、とりあえず危険分子は排除する、という思想なんだろうね。
で、どうしているかというと、雨がひどいときはレインコート。
小降りの時はそのままなんだそうで。
これにより、雨にぬれることに慣れてしまい、傘を差さなくても平気になるというのだ!
ちなみに、小学校のうちは保護者が送り迎えをしないといけないので、傘を差してきても保護者が持って帰ればOKだよ。

フランスは空気も乾燥しているし、日本の梅雨のように長雨が続くこともそんなになから、多少ぬれてもすぐ乾く、気にしない、って考えかができあがるんだって。
日本では雨にぬれると風邪引く、って言われて、傘がない婆は、できるだけぬれないように軒下から軒下へ渡るように走って帰ったりするし、少しでもぬれるとすぐにタオルで水気を拭き取るよね。
これは大きな習慣の違いなのだ。
なので、最初はびっくりしたよ。

おそらく、このことは傘の歴史もちょっとは影響しているはずなのだ。
もともと「傘」というものは、日差しをよけるために考案されたもので、「日傘」が基本。
基本は王族・貴族とか偉い人が使うものだったのだ。
ところが、これが雨を防げるとわかって、「雨傘」の用途も出てきたわけ。
ここで洋傘と和傘で道が分かれるんだよね。

和傘の場合、竹と紙で安価に開閉可能な傘を作ることができたので、庶民の間にも広まったのだ。
その昔は蓑や笠を使っていたんだろけど、江戸時代には和傘がかなり使われているんだよね。
そのため、少なくとも都市部では、雨の日には傘をさす、というのが当たり前のことになっていたのだ。
一方で、洋傘の場合、イタリアで開閉可能な傘が開発されたようなんだけど、まだまだ高級品。
でも、最初は日傘で、主に女性が使うものとされていたのだ。
英国において「雨傘」の用途が広まってきて欧米でも雨の日に傘をさす習慣ができはじめるんだけど、工業化されて大量生産されるまでは高級品だったので、庶民にまで広がるようなものではなかったみたい。
なので、今でも欧米では傘はそれなりに値段のするもので、いいものを長く使う、という思想なんだって。

一方で、和傘の時代から傘は安価な道具として扱ってきた日本。
昔こそものを大事に使ったけど、大量消費の時代になると、傘もより安価なものが求められてくるのだ。
そこで出てきたのが、世界にも例を見ない「ビニール傘」。
使い捨てとは言わないけど、長期使用には耐えない代わりに非常にリーズナブル。
これが欧米人には信じられないようなことなんだって。
日本人がパリに来て傘をさす人をあまり見ないことに驚くのと同様に、欧米の人は、日本でビニール傘を見ると驚くらしいのだ。

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