2018/06/02

酸っぱいくき?

日本ではあまりお目にかからないけど、フランスではわりとよく見る食材として、ルバーブがあるのだ。
ジャムやパイのフィリング、デザートのソースなんかに使われるよ。
さわやかな酸味でなかなかおいしいんだよね。
日本で買うと高いから、こっちにいる間に食べないと(笑)

ルバーブの和名は、ショクヨウダイオウ。
ダイオウは生薬の大黄のことで、中国原産の大黄に用いられるタデ科ダイオウ属の食用植物だよ。
主に食用にされている茎のようなところは実は葉柄。
土中に木質の短い地下茎があって、そっから葉っぱが生えている、ということみたい。
この地下茎を乾燥させたのが生薬の大黄だよ。
便秘薬などに使われるのだ。

で、欧州にはまず生薬の大黄としてこの植物が知られるようになったんだって。
古代ギリシアですでに知られていたらしいけど、中国の大黄が交易で運ばれるようになるのは、中世になってから。
シルクロードの重要な交易品の一つだったんだって。
でも、そうやってはるばる東の大陸から運ばれてくるルバーブは高価なので、欧州で栽培できないか、となってきたみたい。
すると、ブルガリアの寒冷地で近縁の種が自制しているのが見つかり、18世紀にはシベリア原産の近縁種も導入されるように。
こうした種が交雑して、今の食用のルバーブができあがったみたい。
でも、最初の目的は、あくまでも生薬だよ。

19世紀の初め、英国で、ルバーブを野菜として売り出す試みが行われたのだ。
もともと薬用植物として知られていたものなので、なかなか売れなかったんだけど、野菜として栽培品種に王室ゆかりの名前をつけたりして認知度を徐々に高めていって、今のように広く食べられるようになったとか。
そのとき重要だったのが、砂糖の低価格化。
ルバーブはそのままではめちゃくちゃ酸っぱいので、基本的には砂糖とともに煮てペースト状にするんだよね。
なので、砂糖が安くなければ広まらなかったのだ。

ルバーブは水分が多めなので、ざく切りにして砂糖をかけておくと、どんどん水がしみ出てくるんだ。
これをそのまま煮ると、わりと簡単にペースト状になるよ。
これにコーンスターチや小麦粉でとろみをつけてパイやタルトのフィリングにしたり、ペクチンで粘性を上げてジャムにしたりするのだ。
このペーストをそのままデザートのソースにつかったりもするよ。
アンズのような香りと酸味があるので、こういうお菓子に使うのにもってこいなんだよね。
特に、果物が乏しい寒冷地でも育てられるルバーブは、北の国では貴重なお菓子材料なのだ!

ルバーブは特に葉にシュウ酸が多く、葉柄にも微量に含まれているので、アクがあるのだ。
なので、食材として使う前には、しばらく水にさらしてあく抜きをする必要があるよ。
スーパーなどで見かける際には葉っぱはついていないけど、仮に葉っぱを食べようとする場合はもっとしっかりとアク抜きをしないと危ないので要注意。
英国ではほうれん草のように葉を食べていた、という記録もあるようだけど、とことん煮込んだあげくに煮汁を捨ててくたくたになったものを食べる文化だから、アク抜きは問題なかったんだろうね(笑)

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