2018/10/20

甘さを浸透

フランスでの秋の味覚が出てきた!
キノコ類や果物、そして、クリ。
フランスのクリと言えば、マロン・グラッセだよね。
高級だけど、おいしいものはめちゃくちゃおいしいのだ。
あれは、非常に手の込んだ作り方をするから高いんだよね。

マロン・グラッセにするクリは「マロン」。
フランスでは、「マロン」と「シャテーニュ」と2種類を明確に区別していて、「マロン」はいがの中に一粒だけ大きな実の入っているもの。
逆に、「シャテーニュ」はいがの中に3つ実が入っているもので、和栗もこれだよ。
「シャテーニュ」は渋皮が剥きづらいので、ペースト状にしてお菓子に使ったり、冬の名物の「焼き栗」になったりするのだ。
まず、この「マロン」がちょっと高級食材なんだよね。

そのマロンをゆっくりと時間をかけてシロップで煮て、糖液を浸透させていくのがマロン・グラッセ。
軽くゆでて鬼皮・渋皮を剥いたマロンを少し薄めのシロップで煮て、そのまま冷ますのだ。
そこに、更にサトウを加えて糖度を高くし、再び煮て、また冷ます。
こうして、徐々に糖度を上げたシロップで煮ていって、糖を浸透させていくのだ。
表面に砂糖の結晶が浮かび上がって、つやや照りが出てきたら完成。
最後の方の糖液にはブランデーなどを加えて香りをつけることもあるよ。
ちなみに、クリを煮ていくときは煮崩れないように一つ一つガーゼで包むんだって!
そりゃあ手間がかかる。

日本にも同じようなもので、クリの甘露煮っていうのがあるよね。
甘露煮場合は、包丁で皮を剥いてしまって甘い煮汁で煮るだけだけど。
渋皮煮のように渋皮がついたまま煮る場合は、あくが出るので何度もゆでこぼす必要があるんだよね。
なので、甘露煮よりお高いのが普通なのだ。

でも、実はこの「グラッセ」の手法に近いのは、甘納豆なんだよ。
甘納豆の場合は、水でもどしたアズキやインゲンマメを何度かゆでこぼしてあくを取り、それを糖蜜につけるのだ。
糖蜜はちょっとずつ糖度の高いものに順々につけていくんだよ。
ここはマロン・グラッセと同じやり方。
いきなり高いとどのものにつけてしまうと表面にしわが寄ったりするので、ちょっとずつ糖度を上げていくことが大事なのだ。
最後に、砂糖を上から振りかけて乾燥させると甘納豆のできあがり。
しっかり乾燥させるところが「グラッセ」との違いだね。
もともと発酵食品としてあった「浜納豆」に似せて作られたので、乾燥させているみたいだけど、その方が長持ちはするんだよね。

実はこの甘納豆。
発明されたのは幕末で、最初に売り出したのは榮太郎楼だって。
そんなに新しいお菓子だったんだってびっくりだけど、よく考えると、自由に砂糖が料理やお菓子に使えるようになるのはその頃だから当たり前なのかも。
それにしても、世界の西と東で同じような手法でしっかり甘さを染みこませたお菓子がそれぞれできあがっているというのはおもしろいね。

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