2019/02/09

オオカミに一番近いイヌ

パリの街中では、雨の日だろうが、風の日だろうが、犬を散歩させているんだよね。
しかも、リードを外して。
そう、ほとんど放し飼い。
でも、イヌの方がおりこうさんで、ちょっと飼い主から離れると後ろを振り返ったりするのだ(笑)
そのまま逃走したりはしないみたい。
で、そんな中、けっこう柴犬を見かけるんだよね。
欧州でも人気なんだって。
こっちで買うと日本以上に高いらしいけど。

柴犬は、言わずとしれた代表的な日本犬。
秋田犬や甲斐犬に並んで6大日本犬種のひとつなのだ。
あまり大きくならないこともあって、一番の人気種で、飼育頭数も多いんだよね。
飼い主にはなれるけど、見慣れぬ人には警戒心を持つので、番犬にも適していると言われるのだ。
日本人が犬と聞くと真っ先に思い浮かべるのは柴犬のイメージだよね。

ところが、あなどるなかれ、実はオオカミに一番近いイヌが柴犬だったのだ!
イヌの起源についてはずっと研究されていて、見た目からオオカミだろうとは思われていたんだけど、なかなか確たる証拠がなかったんだよね。
他に似たようなイヌ属の動物(ジャッカルやコヨーテなど)もいるし、何より、プードルからゴールデンレトリバーまで、イヌと言っても幅広いからね。
で、最近になった、ミトコンドリアのDNAの変異で系統樹のどのあたりで分岐したのかをさかのぼる研究が行われたのだ。
その結果、タイリクオオカミ(ハイイロオオカミ)がおそらく起源で、柴犬はかなり初期の方で分岐した犬種。
かなりオオカミの遺伝子を色濃く残す古代犬種だったのだ!
日本は島国で他と交雑しにくかったのがよかったのかな?

はっきりとしたことはまだわからないようだけど、おそらくイヌの家畜化が始まったのは東アジアで、それが広まっていったみたい。
日本でもすでに縄文時代にはイヌが人と一緒に埋葬されているそうだから、その頃にはもう狩りのお供だったのだ。
今でもイヌはオオカミと交配可能なんだけど、この広がっていく過程で、アラブや欧州に行く際に、その地方のオオカミの血も混ざったりして、さらに複雑に系統樹が分岐していったみたい。
系統樹をまともに作ろうとすると、どうしてもオオカミとイヌが混ざってしまうというのはそういうことなのだ。

その結果、一見一番オオカミに近そうに見えるシベリアンハスキーは、実は柴犬ほどはオオカミに近くはないのだ!
途中で他のオオカミの血とかが入っているのかな。
それでも、かなりオオカミに近い方の犬種ではあるんだけどね。
他にオオカミに近い犬種(=オオカミに近いDNAを持っている犬種)としては、チャウチャウ(赤犬)、アフガン・ハウンド、シャー・ペイ(中国原産のしわしわ犬)、秋田犬、ペキニーズなどなど。
シャー・ペイやチャウチャウのような中国犬種もわりと早い時期に分岐したもののようなので、そのときの古い血(遺伝情報)が残っているのかもね。
その中国犬から派生しているからペキニーズみたいなのもオオカミに近いとされてしまうのだ。
逆に言うと、欧州犬種は途中でいろんな血が混ざっているんだろうね。

最近では豆柴なんてのもあるけど、これは正式な犬種ではないんだよね。
比較的小型の柴犬同士を交配させたもので、小柄な柴犬というだけなのだ。
なので、突然大きくなったりもするんだよ。
豆柴だから大きくならないというのはあまり当てにならないのだ。
まだ小型になるという遺伝的形質が固定化できていないんだよね。
これもオオカミの血のなせるわざか?

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