2019/04/20

浄財

パリのシンボルともなっているノートルダム大聖堂で火災があったのだ!
リアルタイムで尖塔が焼け落ちるのが中継されていたんだよね・・・。
まだ原因は究明中とのことだけど、世界中で文化財の火災対策の総チェックが行われているみたい。
日本でも、戦後すぐに放火で金閣寺(鹿苑寺舎利殿)が焼失したけど、これはひょっとするとそれ以上のショックな出来事なのかも。

ノートルダム大聖堂は12世紀に建設が着工されたもので、所在地であるシテ島はガリア人の街だったルテティアの中心地でもあったところ。
まさにパリの古代以来の中心地に建つシンボリックな教会だったのだ。
パリの大司教座でもあるんだよね。
世界遺産「セーヌ河岸」の重要な構成要素でもあるので、観光にもダメージがあるかも。
でも、すでに再建に向けて莫大な寄付が集まっているんだよね。
「黄色ベスト」の人たちは、自分たちは貧困にあえいでいるのに、なぜこの件ではそんな大金がすぐに集まるのかと憤っているらしいよ。

日本でも、宗教施設の修復や再建のために寄付を集める、というのは伝統的に行われてきているんだよね。
宗教者が布教・伝教しながら寄付を集めて回るのが「勧進(かんじん)」。
人々が自主的に寄付するのが「寄進(きしん)」。
これら2つはそうやって使い分けているらしいよ。
確かに、お寺や神社の修復・再建の費用をまかなうために開催される相撲興行は「勧進相撲」だよね。
「勧進」の場合は「寄付(donation)」というよりも、「資金調達(fund raising)」という意味合いが強いのかも。

同じようにお寺や神社が資金集めに行っていたのは「富くじ」。
東京では、谷中感応寺(現「天王寺」)、目黒瀧泉寺(目黒不動)、湯島神社(湯島天神)の3つが有名だよ。
寺社の大収入源なんだけど、はっきり言えばギャンブルなので、幕府はたびたび禁令を出していたようなのだ。
で、その流れで、官営の宝くじにつながるんだよね。
今でも刑法上は私的に富くじを興業すると罰せられるよ(刑法第187条)。
でも、阪神淡路大震災の後も、東日本大震災の後も、「復興宝くじ」が販売されたから、伝統的な「勧進」の伝統は息づいている気がするね。

すでにフランスでは大金が集まっているから関係ないけど、せっかくだから、売り上げをそのまま寄付するチャリティのオペラやバレエ公演とか、フランスらしいものを考えてみてもよいかもね。
そうすれば、毎土曜日に暴れている「黄色ベスト」の人たちもあまり怒らないかも。
いずれにせよ、この後十数年かけて修復するそうだから先が長い話で、お金があるだけあった方がよいはずなのだ。

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