2019/12/14

自転車操業で借金

年末も押し迫ってきたのだ。
そんな中、目についたニュースが、
それは、政府の補正予算編成で、赤字国債の追加発行が濃厚になった、というもの。
税収予想が下振れしたために国が借金して予算を組まないといけなくなった、ということで、赤字国債発行は3年ぶりだって。
当初は税収増を見込んでいたんだけど、けっきょく予算規模に対して税収が足りなくなる予想になったので、必要な財源を確保するために、赤字国債発行となるわけなのだ。

で、よくよく考えてみると、「赤字国債」っていまいちよくわからないんだよね(笑)
端的に言えば、「財政の赤字を補填するために発行される国債」だって。
個人レベルで言うと、収入に対して生活費をはじめとする支出が多すぎるので、とりあえず借金をしてしのぐ、ということなのだ。
なんか、こう言われるとかなりまずい状況だよね・・・。
実際に赤字国債を発行し続けてきて、国が借金まみれになってしまったので、「プライマリー・バランスの黒字化」なんて話が出てきたんだけど。

我が国の財政は、まずは憲法の第7章、第83条~第91条に定めがあるのだ。
例えば、予算の単年度主義の理念は第86条に「内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。」と定められていて、会計年度ごとに国会の議決を要するとしているのだ。
ただし、これと「会計年度独立の原則」は必ずしも同じではないそうで、複数年度にまたがる予算を否定しているわけではない、と解釈されるそうな。
で、その「会計年度独立の原則」を直接規定しているのは、この憲法の財政に関する規定を受けている財政法なのだ。
例えば、その「会計年度独立の原則」は、財政法第12条に「各会計年度における経費は、その年度の歳入を以て、これを支弁しなければならない。」と規定していて、各会計年度で歳入と歳出をバランスさせなければいけないことになっているのだ。

さらに、財政法第4条第1項では、「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。」となっていて、原則として借金をして予算を組んではいけないことになっているのだ。
一方で、同条同項の「ただし書き」で、「但し、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる。」とも規定していて、「公共事業」などであれば例外的に借金してもいいよ、と言っているんだ。
この場合はよく公共施設の建築に事業に使われるので「建設国債」と呼ばれるよ。
ここで例示されている、「公共事業」であれば、インフラとして「もの」が残るので、国民の利益にもつながる、「出資金」や「貸付金」であればいずれ償還されるべきものなのでキャッシュフローだけの問題、などなど、後世につけを回さないように、という規定なんだ。
それでもどうしても借金しないとクビが回らないときは、「特例公債法」という法律を別に通して、特別に借金をして財源に充てることを国会に認めてもらう必要があるのだ。
逆に、この法律がないと、赤字国債(特例公債)は発行できないんだよ。

もともとは、1965年(昭和40年)の補正予算で赤字国債を発行するために、第一次佐藤内閣が成立させたよ。
次は、1975年(昭和50年)の第一次田中内閣~三木内閣のとき。
ちょうどオイルショックがあって税収が大きく落ち込んだときなんだよね。
その後しばらく、1990年(平成2年)まで赤字国債発行は続くんだけど、原則として「単年度に限り」という建て付けになっていて、毎年度法律を通していたんだ。
その後3年間は好景気で税収増だったので赤字国債は格好されなかったんだけど、その後はまた発行が続くのだ。
これはまさに自転車操業で、借金をして前の借金を返済している状態(>_<)
信用があるからできるわけだけど、個人レベルで考えるとかなりまずい状況だよね・・・。

2012年(平成24年)以降は、複数年にまたがって赤字国債発行を認める内容になっていて、現在は、2016年(平成28年)に成立した、「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法及び財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行の特例に関する法律の一部を改正する法律」によって、2016年度(平成28年度)~2020年度(令和2年度)の5年にわたって赤字国債発行が認められているよ。
ま、発行できるというだけで、昨年も一昨年も発行しなかったんだけど、今年は発行せざるを得ない、ということになったのだ。
今回は補正予算も含めて大型の財政出動が必要と言われておりこともあり、予算規模を抑えきれなかったんだろうなぁ。
ま、先行投資で将来の税収が上がる見込みがあるのであれば、必要なことなんだけどね。

0 件のコメント: