2019/12/21

特別のハニー

冬になって、咳をしている人が多くなってきたのだ!
カゼやインフルエンザが流行しているようだね・・・・。
そのため、コンビニなんかでもマスクやのど飴が目立つところに置かれるようになっているんだけど、そこでよく目にするようになったのが、「マヌカハニー」。
一時期「プロポリス」入りがはやったけど、今は「マヌカハニー」のようなのだ。
って、これはなんだ?

調べてみると、ニュージーランドや豪州南東部原産のギョリュウバイ(現地のマオリ語で「マヌカ」)からとれるハチミツなんだとか。
灌木(丈の低い木)で、ピンク色のかわいらしい花を咲かせるよ。
古くは、豪州新大陸を発見(?)したクック船長が、この木の葉を発行させてから煎じて飲むと、胃の不調が治ることを発見し、そこから「ティー-・ツリー」と呼ばれるようになったよ。
現地のマオリ族も古くから薬用植物として枝や葉を民間療法に使ってきたみたい。
「マヌカ」というのはマオリ語で「復活の木」という意味だと言うから、大事な植物だったんだろうね。

で、今このマヌカのハチミツが着目されているのは、特別な殺菌成分が多く含まれていることがわかったから。
それがメチルグリオキサールという成分で、ピロリ菌駆除力や高い殺菌力があると言われているよ。
それでのど飴にも配合されているのだ。
もともとプロポリスも消毒・抗炎症作用が期待されて入っていたんだよね。
マヌカハニーはそこにカゼの時に処方される抗生物質のような抗菌作用をプラスする、ということのようなのだ。


実は、もともとハチミツ自体に殺菌作用が認められるんだよね。
古代ローマを始め、世界の各地で傷口ややけどの箇所にハチミツを塗る、ということが行われてきているのだ。
ひとつには、は蜜には高い糖分濃度なので、浸透圧により雑菌から水分を奪って繁殖を防ぐ効果があること。
もうひとつは、ハチミツ辞退が石けんなどと同じ弱酸性で低いpHなので、もともと雑菌が繁殖しづらい環境になっているのだ。

そして、さらに、ハチミツに広く一般的に含まれている酵素でグルコースオキシダーゼ、というブドウ糖を酸化させてグルコン酸を作るものがあるのだ。
この反応副産物で過酸化水素が生まれるんだけど、これがまた殺菌作用を示すのだ。
過酸化水素と言えば、いわゆる「オキシドール」だよね。
マヌカハニーの場合は、この過酸化水素に加えて、さらに特別な殺菌成分が入っている、ということなのだ。

でもでも、あくまでも昆虫の八が花の蜜を集めてきたもので、工業的・化学的に生産されているものではないので、その効能にはかなりばらつきがあるよ。
マヌカから採取されたハチミツであっても、ほしいメチルグリオキサールがどれくらい含まれているかはものによるからね。
逆に言うと、質の悪い、というか、殺菌成分の含有量の少ないものもあるわけなのだ。
でも、流通上は、マヌカのハチミツさえ入っていれば、「マヌカハニー入り」なわけで、気をつけないといけないんだよね。

これは生薬全体に言える話なんだけど、どうしても植物などに由来する生薬は、有効成分の量がまちまちなので、医療用途にそのまま使うのは難しいのだ。
クリアに効能を求めるなら、有効成分だけ取り出した方がよいんだよね。
例えば、昔から「麻黄」はぜんそくの薬として使われてきたんだけど、長井長義博士はここから有効成分のエフェドリンを抽出することに成功したのだ。
その後、そのエフェドリンをもとにして、様々なぜんそくの薬が作られることになったよ。
そういう意味では、生薬には効能は確かにあるんだけど、「きき」にはどうしてもばらつきがあるものなので、そういうものだと認識した上で使った方がよいのだ。

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