2020/01/18

インペリアル離脱

英国では、チャールズ皇太子の次男であるヘンリー王子とメーガン妃が「主要王族」から抜ける、と発表して大騒ぎになっているよね。
その後にエリザベス女王以下で会議をしたらしいけど、今後どういう形が可能なのか引き続き協議していくとかなんとか。
英国王室というのがどういうシステムになっているのかよくわからないけど、今回の「思いつき」はそういうルールをよく理解した上でのものではないんだな、というのはよくわかるのだ(笑)
しかも、一部報道によれば、どうもメーガン妃発で、王族としての知名度や国庫からのある程度の収入は確保しつつ、王族としての公務の負担は減らしたい、みたいな「いいとこ取り」を狙ったものとか言われているから、そうは問屋が卸さないよね・・・。
で、気になったので、日本のシステムを調べてみたのだ。

日本でも古来から後続を離れて一般人(?)になるということは行われているわけで、特に直径の天皇家と血縁関係が遠くなると、「臣籍降下」という形で姓をいただいた進化に加わる、ということが行われていたのだ。
実は誰もが知っているのは源氏と平氏で、後に鎌倉幕府を開く源頼朝の系列は清和源氏で、文字どおり清和天皇の流れをくむ氏族。
ほかに村上源氏や嵯峨源氏(百人一首でもおなじみの河原左大臣こと源融など)というのがあるよ。
おごる平家の平清盛の系列は桓武平氏で、桓武天皇の皇子からの流れだよ。

明治維新以降は、進級の皇室典範において「皇族」の範囲が明確に定められていて、かつ、皇族を離れる場合についても規定があるのだ。
現行の皇室典範では、第二章(第5条~第15条)で皇族の範囲を明確に定めているんだよね。
そのうち、第11条~第14条が皇族を離れる場合の規定なのだ。
自由意志により皇族を離れられるのは、基本は「女子」に限定されていて、男子皇族は「やむを得ない特別の事由があるとき」に「皇室会議の議により」皇族を離れることができる、とされているよ。
女子皇族の場合は、民間の方と結婚すれば普通に民間人になるけど、結婚をせずとも、自らの意思により皇族を離れることもできるのだ。
これは、我が国の皇室が男系であるため、女子皇族には皇位継承権が一切発生しないからなんだよね。
逆に、男子皇族は順位は別として皇位継承がつきまとうので、勝手に皇族をやめることができないシステムになっているのだ。
英国にはこういうのはないのかなぁ?

そして、お金の関係。
日本の皇室は、皇室経済法に基づき国庫から皇室に国庫から予算が支出されることとなっているのだ。
皇室に支出される経費には大きく分けて3つあって、内廷費、宮廷費、皇族費という区分があるよ。
内廷費は天皇陛下をはじめとする皇族方の「御手元金(ポケットマネー)」となるもので、宮内庁が経理を行う「公金」ではないのだ。
つまり、国家から支出されるけど、皇室の私的活動に使われる性質のお金。
皇室が行う国事行為ではない祭祀やそのために必要な人員(内定職員)に当てられるよ。
宮廷費は、逆に宮内庁が経理を行う「公金」とで、国家機関としての宮内庁及び国事行為を行う公人としての皇室のための予算なのだ。
これはほかの省庁と同じような予算ということだよね。

最後の皇族費というのが、皇族に毎年定期的に支払われる、いわゆる年収的な性質の経費や皇族の身分を離れる際に支払われる「餞別」的な支出に使われるもの。
いったん皇族を離れれば、この皇族費の支出対象からは外れることとなるのだ。
これも内廷費と同様に「公金」ではなく、各皇族のポケットマネーとして使われるものだよ。
皇室経済法施行法という別の法律で定額が定められていて、そこから自動的に計算される額が書く皇族に支出されるのだ。
このほか、行政組織としての宮内庁の運営に必要な経費は部つんいない各府に計上されているよ。

というわけで、日本の皇室の場合は、ヘンリー王子のようなことはなかなか起こらないんだよね。
まず、男子皇族は皇族を離れようとしても「やむを得ない特別の事由」がなければだめだし、さらにそれが皇室会議で認められなければいけないのだ。
さらに、皇族を離れてしまえば皇族費の支出対象ではないので、メーガン妃が狙っていると言われる、王族としての収入をある程度確保する、というのもだめ。
やはり、皇族としての責務をきちんと果たさないでいいとこ取りはさせてもらえないのだ。

0 件のコメント: