2020/03/21

デザート感覚で

タピオカドリンクブームが終焉を迎えようとしているのだ。
うちの近所にもできたんだけど・・・。
ほとんど人が入っていない(ToT)
ブームっていうのは一過性のものだからこんなものだよね。
いかに早く乗って、いかに早く次に切り替えるか。
その点で、「タピオカの次に来るもの」というのに注目が集まっているのだ。

その一つが、デザート豆腐である「豆花(トウファ)」。
やっぱり台湾のデザートで、ぷるんとした豆腐に黒蜜をかけたり、フルーツのソースをかけたりして食べるんだ。
実は、今から15年ほど前にも日本に来ていて、そのころはコンビニなんかでも「豆乳花(トールーファ)」なんて名前で売られていたよ。
ボクはハウス食品から出ていたのが好きで、その頃よく食べていたんだけど、いつの間にか見かけなくなったんだよな・・・。
豆乳で作ったゼリーとプリンの間のもので、杏仁豆腐のような堅さや独特の香りがないもの、とでも言えばよいのかな。
現在は都内にもいくつか食べられる店があって、そこそこはやっているみたい。
台湾スイーツブームに乗って次に来るか?、ということらしいのだ。

基本的には豆乳を凝固剤で固めたもので、硫酸カルシウムで固めることが多いようなのだ。
実は、中国の豆腐はもともと硫酸カルシウムで固めることが多いらしく、豆腐とあんまり区別をきちんとしていないんじゃないか、と思えるる節もあるんだよね。
その起源は、紀元前2世紀の前漢時代の淮南王・劉安が豆乳を固める手法を発明した、というもの。
この時点では豆腐と豆花は区別ないんだけど、その後加工法や食べ方で呼び名を変えたんじゃないか、と考えられているのだ。

中国の場合、いわゆる「冷や奴」のように豆腐を食べることはなく、揚げたり似たりして火を通して食べるんだよね。
逆に、日本の「冷や奴」のようにそのまま食べる場合に「豆花」と読んでいて、甘くしてデザートにしたり、塩辛い味付け、辛い味付けにして食べたりするらしいのだ。
つまり、料理の素材として使う場合が豆腐で、そのまま食べるのが豆花のようなのだ。
食べ方が違うので製法も少し異なるようで、豆腐は固めに作るけど、豆花は柔らかめに作る、ということのようだよ。

日本お豆腐は伝統的に「にがり」を使うんだけど、これは海水から塩を作る際の副産物。
塩化マグネシウムは塩化ナトリウムより水への溶解性が高いので、塩化ナトリウムが結晶化して析出した後も水溶液中に残るのだ。
つまり、海水から塩を作る過程で、固体になった塩分を取り除いた起こりの液成分が「にがり」で、その主成分が塩化マグネシウムなのだ。
一方で、中国大陸は広大で、必ずしも海水・塩水が身近にないので、別の凝固剤が使われたようで、それが石膏の主成分である硫酸カルシウム。

日本でも、戦時中には、ジュラルミン(アルミニウムと銅、マグネシウムの合金)を作るために塩化マグネシウムを主成分とする「にがり」は軍に供出しなければいけなくなったので、豆腐の凝固剤として硫酸カルシウムが使われるようになったのだ。
そのときの名称が「さらし粉」。
今でも豆腐を作る際の凝固剤(添加物)として認められているんだけど、塩化マグネシウムや天然「にがり」を使った方が大豆の甘みが引き立って豆腐の味が濃くなると言われていて、再び塩化マグネシウムが主流になっているんだって。

一方で、硫酸カルシウムを使った場合は、より保水力が高く、やわらかく口当たりのよい豆腐ができるそうなのだ。
保水力がよいというのは豆乳が多少薄くても固まる、ということで、かつて某グルメ漫画では「偽物の凝固剤で固められた味の薄い豆腐」みたいな描かれ方をしていたよ。
確かに塩化マグネシウムを使った方が大豆の味は引き立つようなんだけど、ゼリーのようなぷるんとした食感を出せるのは硫酸カルシウムの方で、まさにデザートとして食べる場合にはこっちの方がよいわけ。
使い方次第ってことだよね。

ちなみに、塩化マグネシウムはすぐに凝固反応が始まるので豆腐作りに技術が必要なのだ。
豆乳の温度、凝固剤の入れ方・混ぜ方などなどこつが必要。
逆に、硫酸カルシウムの場合はもともと硫酸カルシウム自体が水にそんなに溶けないものなので反応が遅く、技術がなくても均一に分散させることができ、素人でも豆腐作りに失敗しづらいんだって。
それで戦後豆腐作りの機械化が進む中でもよく使われていたみたいだよ。
今は技術が格段に進歩したので「にがり」でも問題なく機械で豆腐が作れるのだ。

さらにちなみに、凝固剤でメジャーなものとしてはもうひとつ、グルコノデルタラクトンというデンプンを発酵させて作る有機系のものがあるのだ。
水に溶かすと「グルコン酸」というさんが出てきて、その効果で豆乳がゲル化するのだ。
塩化マグネシウムや硫酸カルシウムが「塩析」でゲル化しているのに対し、こっちは酸凝固と言われるもの。
塩析は、タンパク質表面の電気的偏りを帯びた部分にイオンがくっつくことで、水素結合で水分子がくっつくのを邪魔して水への溶解度を下げて起こるのだ。
さらに、マグネシウムやカルシウムのイオンは2価なので、隣り合っているタンパク質同士を結びつけてくっつけて(架橋して)しまうんだよね。
この際、タンパク質は水を抱えたままふんわりと固まるので、水分が多いゲル(豆腐)になるよ。

グルコン酸の場合は、pHを調整することでタンパク質の溶解度を下げるのだ。
タンパク質は、プラスでもマイナスでも、電気的な偏りがあると、そこに水分子が水素結合でくっつくことで水に溶けるんだけど、電気的に中性になるとこの水分子が水素結合でくっつけなくなるので、溶けなくなるのだ。
グルコン酸の場合は、液性を酸性に傾けることで投入中のタンパク質を電気的に中和し、水に溶けづらくするんだ。
この場合、タンパク質同士は正負の電荷が等しいので、(イオンの介在なく)自分たちで勝手に集まって塊になるよ。
それが沈殿するわけ。
でも、この反応は極めて遅く、よりゆっくりとかたまり、かつ、固まった後は賛成なので、少し酸味があるんだって。
それで風味が失われると言われるけど、賛成で雑菌が繁殖しづらいので長持ちもするみたい。
ちなみに、塩化マグネシウムを使ったt語気よりもはるかに薄い豆乳でも固めることができるので、さっきも出てきた某グルメ漫画ではぼろくそに言われている凝固剤だよ。

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