2020/04/18

ばっちり注射で元気を保つ?

日本では新型コロナウイルス感染で重症化する例が少ないと言われているよね。
で、その理由がいろいろ考察されていて、もともと手洗い・うがいが励行されているから、医療提供体制が充実しているから、神風に守られているから(?)、などなど様々な意見があるんだよね。
そんな中に、まことしやかに提唱されているのが、BCGが抵抗力を上げているのではないか、というもの。
これはつい先日世界保健機関(WHO)から否定する声明が出てしまったけど、その可能性があるということで科学的検証も行われつつあるんだよね。
どうも日本で接種されている株が有効らしいとかで、それが本当に効果があるかを確かめるのだ。
ちなみに、日本医師会からは、未だに科学的根拠が確かめられていない、という見解が示されているのだ。

BCGというと、ボクらの世代は「はんこ注射」を思い出すんだよね。
筋肉注射で痛いツベルクリンをやった後、陽性でないとあんまり痛くないはんこ注射を打たれたのだ。
これは皮下注射で一度にいくつもの針で刺すんだよね。
痛みはないけどきっちりと跡は残って、ボクも上腕部に跡があるのだ。
でも、結核予防法が改正され、今は生後3ヶ月程度の赤ちゃんにツベルクリン反応の有無にかかわらず接種するんだって。
若い子はあの跡がないのか・・・。

ボクは、BCGっていうのは何か英語の頭文字をとったものだと思っていたんだよね。
予防接種の三種混合は、ジフテリア(Diphtheria)、百日咳(Pertussis)、破傷風(Tetanus)の3つなので、俗にDPT注射と呼ばれたのだ。
これと同じような感じ。
でも、BCGって、フランス語で「Bacille de Calmette et Guérin(カルメット・ゲラン桿菌)」の略なんだって!
ウシ型結核菌を実験室で培養を繰り返して確立された弱毒性の結核菌で、これを生ワクチンとして使うので、そのワクチン自体もBCGと呼ばれるようになったとか。
結核といえばかつては死因の大きな部分を占めるほどの脅威だったけど、BCGによる予防でかなりリスクの低減ができたんだよね。
今でも日本では定期接種になっているのだ。

ここで言う「生ワクチン」というのは、生きた菌をそのまま接種し、感染させるタイプのワクチンのこと。
症状の軽い感染状態を作り出して、免疫を作るのだ。
天然痘の対策として考案された牛刀の流れを直接くむもの。
逆に、死滅した細菌やウイルスを用いたワクチンは不活化ワクチンと呼ばれるのだ。
この場合は毒素だけを取り出したり、病原体に特徴的なタンパク質だけを取り出したりして、それに対する抗体を作るよ。
生ワクチンで代表的なのは、BCGのほか、風疹、麻疹、おたふくかぜ、水疱瘡など。
不活化ワクチンは、さっきも出てきた三種混合、インフルエンザ、日本脳炎など。

当然このふたつには違いがあるんだよね。
生ワクチンは実際に感染させるので、細胞性免疫と言われる、感染した細胞をT細胞やNK細胞が除去する免疫システムも活性化させるのだ。
これがひょっとしたら新型コロナウイルスへの耐性を高めている可能性があるといわれているよ。
ただし、感染を引き起こすので、免疫が低下している人やもともと抵抗力の弱い人の場合は症状がひどくなるおそれもあるんだよね。
また、弱毒性の細菌やウイルスが作れないと使えないので、開発にはけっこう時間がかかるよ。

これに対し、不活化ワクチンは病原体の特徴的な部分に対してのみ抗原抗体反応(液性免疫)を惹起するもの。
生ワクチンと違って直接感染させるわけではないので相対的にリスクは低いんだけど、製剤自体の扱いが難しかったり、免疫の持続時間が短いなどのデメリットもあるのだ。
また、一気に免疫が獲得されないので、通常は何度かに分けて接種するよ。
有名なインフルエンザの予防接種だと2回接種が基本だよね。
で、こっちは原則として病原体と免疫が1:1対応になるので、BCGが新型コロナに効く?、みたいな副次効果は期待できないのだ。

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