2020/04/04

古来よりおそろしい病気

新型コロナウイルスの世界的な流行で、改めて「肺炎」という病気に注目が集まっているのだ。
でも、実は肺炎は古くから主要な死亡原因の一つなんだよね・・・。
特に、高齢者は感染症による肺炎で亡くなるケースが多くて、医療先進国を自称する日本でも毎年相応の死者を出しているおそろしい病気なのだ。
とはいえ、いまいち「カゼ」との区別もつかないので、少し調べてみたよ。

「肺炎」は字義どおり、肺における炎症のこと。
これは「胃炎」だとか「腸炎」と同じ。
問題なのは、胃や腸のような消化器系は多少臓器の中に機能を失った部分ができても、まわりでなんとかカバーできるのに対し、肺の場合はそうはいかないということ。
十二指腸なんかは最悪全摘しても生きていけるわけだけど、肺は容量が減った分だけ肺活量が減って呼吸が苦しくなるのだ。
肝臓なんかなは見事に際していて機能回復するんだけど、肺は一度ダメになると二度と機能が戻らず、人間の代謝に不可欠なガス交換ができなくなってしまうのだ。
肺は構造的にも難しいので、再生医療でもなかなか手が出ないんだよね。
再生できるとものすごいメリットがあるんだけど。

で、「肺炎」と言う場合には、下気道より先に炎症が起きている状態。
逆に、カゼの場合は上気道までの炎症だよ。
上気道は食道と気道が分岐する喉頭まで。
口腔から声帯のあるあたりまでの炎症なので、お医者さんでのどが腫れているかどうかを確認すればわかるわけ。
下気道は食道と分かれた後、いわゆる気管に入ってから、肺の本体に至る気管支まで。
肺炎がひどくなると肺の本体である肺胞にも炎症が広がって、重篤化すると肺のガス交換機能が失われるのだ・・・。
こうなると呼吸不全になるので、人工呼吸器をつけたりすることになるよ。

「肺炎」かどうかを診断するには、まず、問診と聴診が重要なのだ。
高熱や胸の痛みがあるか、激しい咳や息切れがあるかなどの症状を問診で確認した上で、「肺炎」に特徴的な呼吸音、いわゆる喘鳴(ぜいめい)があるかどうかを聴診で確認するのだ。
肺のガス交換機能に影響が出ている場合、「ぜーぜー」とか「ひゅーひゅー」といった音が呼吸音に混じるのだ。
カゼで医者にかかったときに胸に聴診器を当てられるのはこれを確認しているわけ。

ここまでで「肺炎」の疑いが濃厚な場合は、レントゲン(胸部X線)やCTで画像を撮って肺に白い影がないかを確認したり、血液検査をして白血球が増えていないか(炎症が起きている場合の兆候)、C反応性タンパク質(CRP)の量が増えていないか(炎症が起きると増えることで知られているもの)などを確認し、下気道から肺にかけて炎症があるかないかを調べるのだ。
さらに、「肺炎」というのは炎症が起きている症状であって、原因はいろいろあるので、原因を究明する必要があるんだよね。
そこで行われるのが喀痰検査や血液抗体検査。
痰の中に最近が発見されれば細菌性なので、基本的には抗生物質で対処するのだ。
痰中に最近が確認できない場合、ウイルス性である可能性が高いので、血液中に抗体ができているかどうかで原因ウイルスを特定するよ。
インフルエンザのような抗ウイルス剤がある場合はそれで対処するんだけど、ない場合は安静にするしかないんだよね・・・。
しかも、今回の新型コロナウイルスについては、抗体検査がまだできない状況なので、PCR検査で確かめないといけないんだよね。
新型コロナウイルスと確定したとしても、対症療法以外には治療法がないんだけど、感染拡大を防ぐ観点で確認しているのだ。

抗生物質や抗ウイルス剤が使えない場合は、本人の免疫力に頼るしかないわけで、子供や高齢者がリスクが高いと言われるのはこのため。
ちなみに、細菌性のものでも耐性菌が原因菌の場合は抗生物質ではどうにもならないので怖いのだ。
喫煙のリスクは、また別で、喫煙者がもともと肺のガス交換機能が低くなってしまっているので、そこに肺炎でさらに機能が失われると致命的、ということだよ。
健常な人よりダメージの許容量が少なくなっているのだ。
RPGで言えば、HPが赤字で「瀕死」になっているような状態。
なので、普段から規則正しい生活をして免疫力を保つとともに、喫煙習慣は改めて肺機能にも万全を尽くしておくことが大事なのだ。

0 件のコメント: