2020/08/08

大阪で推奨されてます

 大阪府知事が「コロナに効く」と会見でしゃべってしまったために、全国的にヨウ素系のうがい薬(イソジンなど)が売り切れ続出になっているのだ。
新たな「転売」のターゲットになったみたいだね。
せっかくマスクやハンドソープはまともに変えるようになったのに・・・。
それにしても、今回も動きが速くて、府知事の会見後数時間ですでにプレミア価格になったうがい薬がネットで販売されていたというからすごい機動力だ。
またすぐに転売禁止になるだろうから、さっさと売りきらないといけないから、本物のプロは短期決戦みたい。

で、今回注目したいのはそのうがい薬。
一般には「イソジン」と呼ばれているものだけど、「イソジン」はムンディファーマ社の登録商標。
かつては明治製菓がライセンス販売していたんだけど、2016年からは、明治製菓は「イソジン」ブランドをはずし、中身は同じだけど独自の「うがい薬」として売り出すことになったのだ。
おなじみのカバのキャラクターは明治製菓のものなので、明治製菓の方のうがい薬にそのまま使われているよ。
ま、殺菌成分は同じなんだけど。

その殺菌成分はヨウ素。
ヨウ素をはじめとするハロゲンは酸化作用があるので、その酸化作用によって最近のタンパク質を変性させ、殺菌作用を示すのだ。
具体的にどのタンパク質にどうきいているのかはあだよくわからないみたいだけど、一般にはタンパク質合成を阻害していると考えられているみたい。
水素元素がハロゲン元素に置換されると極性が変わるので、水素結合がうまくできなくなり、タンパク質の高次構造が維持できなくなるのだ。

ハロゲンとしては、原子番号が小さい方が反応性が高いのだけど、塩素や臭素ではちょっと反応性が高すぎるみたいで、殺菌剤として使うにはヨウ素がちょうどよいみたい。
ところが、ヨウ素はほとんど水に溶けないんだよね。
有機溶媒には溶けるので、エタノールに溶かして「ヨードチンキ」として使われていたのだ。
でも、どうしてもアルコールに溶かしたものだと刺激が強いんだよね。
そこで、アルコールフリーで水ベースの溶液になるように開発されたのがポビドンヨード。
これがいわゆる「イソジン」。

「ポビドン」というのは「ポリビニルピロリドン」の略。
これは水によく溶ける高分子なんだけど、遊離ヨウ素と錯体を作ることで、ヨウ素の水への溶解度を上げるのだ。
それで褐色の遊離ヨウ素を含む液体ができるわけだよ。
独特のにおいがあるのと、色がついたら落とせないのが難点だけど、刺激性も低く、殺菌力も即効性があって高いので、広く使われているのだ。
注射や外科手術の前に塗る褐色の消毒液もこれだよ。

で、肝心のコロナにきくかどうかだけど・・・。
タンパク質を変性させるので、きかないとも言えないのだ。
でも、それは石けんで手を洗うのと同じ意味。
このうがい薬でうがいさえすれば防げる、というものでもないわけだよね。
なので、本来は転売されたものを高値で買うようなものでもないはず。
一方で、医療用の消毒薬としては重要で、こういっちゃ一過性のもので医療現場で手に入らなくなる、というのは積極的にまずいんだよね。

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