2020/12/26

際立つ塩辛さ

 かつて、お正月用品として、新巻鮭をよく見かけたのだ。
お歳暮の定番でもあったよね。
大家族でもない限りは、もらっても量が多く得消費に困るのだけど・・・。
最近は減塩ブームもあって失敗ものをあまり食べなくなったこともあり、見かけないよね。
お正月にサケを食べる場合も、スモークサーモンとかマリネとかになっているのだ(>_<)
でも、実はお正月に新巻鮭を食べ始めたのは江戸後期で、全国的に流通するようになったのは明治になってから。
平安時代からモノは存在していたようだけど、あくまでも地域の名産品という位置づけだったみたい。
江戸時代も、コンブと並んでアイヌとの貴重な交易品の一つだったみたいだよ。

もともと日本、といっても北海道で漁獲され知多のはシロザケ。
昔は河口付近でとるか、川に遡上してきたのをとったようなのだ。
産卵のために遡上を開始してしまうと、かなり脂が落ちてしまうし、栄養も生殖器(白子と卵)にいってしまって身の味が落ちるので、海でとれたモノが珍重されたようなのだ。
それでも、河口付近に来ているモノはすでに産卵期に入っているので、脂は落ち始めているんだけどね。
現在のようなたっぷりと脂ののったサケは遠洋漁業でとれた、覆う間¥ナバラを事由に回遊しているものか、洋食ででっぷりしているものだよ。
ボクが子供の頃食べていたサケって塩がきつい塩鮭で、そこまで脂がのっていないイメージだったけど、その頃は養殖物なんて出回っていないから、沿岸でとれたのがメインだったんだろうな。

新巻鮭の作り方はわりとシンプルで、えらと内臓を除いてきれいにした後、重量ベースで15%位の量の塩を丁寧にすり込んで数日塩漬けにするのだ。
ほどよいところで真水にさらして塩抜きをし、そこから干して乾燥させればできあがり。
塩抜き工程は入るけど、身の塩分濃度はかなり高く、しょっぱいのだ。
もともとは腐りやすい内臓を外して塩漬け+乾燥で保存食にしていたものだから当たり前なんだけど。
さらに迎え塩をして水で塩抜きしてから食べる場合もあるけど(ちゃんちゃん焼きや三平汁など)、多くはそのまま切り身にして焼いて食べるんだよね。
基本的にかつての日本の食文化は、しょっぱいおかずでたくさんごはんを食べる、というものだったので、塩のきいた鮭はよいおかずだったのだ。

実は、新巻鮭よりさらに塩辛いのがあるんだよね。
それが、新潟の塩引き鮭。
基本的に製法は同じなんだけど、すり込む塩の量が違うのだ!
もっと大量に塩をするんだって。
北海道は亜寒帯で1年を通じて湿度はそこまで高くないけど、豪雪地帯とはいえ温帯に属する新潟はそこそこ湿度勝手腐敗しやすいし、カビも生えやすいので、より塩をきつくしているのかもね。
これもそのまま焼いて食べていたみたいだけど、これはすごいごはんが進みそうだ・・・。

ちなみに、いわゆるスーパーで売っている塩鮭は、「定塩鮭」といわれるもののようで、新巻鮭よりさらに塩分が弱めのもの。
それなのに、今ではさらに減塩になったものがあるんだよね。
ムニエルなどの西洋料理に使えるように塩をきかせていない切り身もあるのだ。
これらは流通が発達したからできるもので、もともと鮭は脂がのっている魚でそのままだと日持ちしないので塩蔵していたわけで、技術の進歩でできるようになったものなのだ。
そこまでの技術がない時代は沿岸地域でのみ食べられるものなんだよね。
その点、塩鮭は昔でも山間部まで運搬できる貴重な魚だったのだ。

ボクが子供の時に食べていたイメージだと、新巻鮭ってしょっぱくて、ぱさぱさしていて、あんまりおいしくないな、というものだったんだよね。
これはお値段のせいかもしれないけど、一般に、塩鮭は保存食なので、脂がそこまでのっていない酒を使っていたようなのだ。
冷凍後に回答したものを食べるサーモンの刺身やスモークサーモンは、たっぷり脂がのったもなので趣が異なるわけ。
それでも、塩鮭にも当然のことながらグレードがあって、川に入ってきてしまったものは加工でとれたものより劣る、メスは卵に栄養をとられる分オスより劣る、ということみたい。
つmり、一番安いやつだと、すでに川を遡上してきたメスの卵(=筋子)をとった後のものを加工していることになるのだ。
そりゃあ、脂なんかのっていないし、身にうまみも少ないだろうなぁ。

お節料理はもともと。正月の間に炊事をせずにすむように日持ちのする料理を集めたものだけど、日持ちがして、切り身にして焼けば食べられる荒巻鮭は重要な食べ物だったわけだよね。
少量がごはんが進むし(笑)
今では正月三が日でも買い物に行けるのであんまりその重要性が認識できないけど。
でも、なんだかたまには、あのめちゃくちゃしょっぱい塩鮭も食べてみたい気もする。
焼くと塩の結晶が浮いてくるくらいのやつ。

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