2021/01/02

時間が経っても柔らか

お正月と言えば、なんと言ってもお餅だよね。
ボクが子どもの頃は町内会で餅つき大会とかもあって、つきたてのお餅を食べられたっけ。
そのままきなこや納豆、ダイコンおろしなどをつけて食べるんだけど、あんこ玉を中心に入れて作ってくれたあんころ餅をおみやげでもらえるのがうれしかったのだ。
つきたてのお餅はやわらかで、それだけでもおいしんだよね。
でもでも、早く食べないとすぐにかたくなってしまうのだ!
切り餅なら焼いたり煮たりすればいいんだけど、あんころ餅だとそうもいかないんだよね・・・。
ちょっとつぶしてストーブの上で焼いたりするとおいしいんだけど。

そこで気になるのは、なぜちまたで売られている大福はみなやわらかいのか?
お餅だとどんどんかたくなるはずだよね。
実際に、鏡餅なんかはかっちかちになるので木槌でたたいて「鏡割り」するわけだし。
実は、大福として売られている多くのものは、餅であんをつつんだものではないのだ!
そう、実は求肥で包んでいるんだよ!

お餅は、蒸した餅米をつくことでねばりを出しているんだよね。
このとき、お餅の中のデンプンは糊化されている状態で、デンプンの結晶構造が熱で崩れ、間に水分子が入り込んでゲル化している状態。
この状態だと、やわらかく、ねばりがあるのだ。
でも、時間が経つとデンプンが再結晶化してデンプン分子だけで固まるようになって、「老化」するのだ。
これがかたくなったお餅、冷えてかたくなったごはんの状態。
再び熱を加えて温めてあげると再糊化してやわらかくなるので、お餅の場合は焼いたり煮たり、ごはんの場合は温め直したりするわけ。
さらに放っておくと、乾燥して水分が飛んでいくので、さらにお餅はかたくなるのだ!
これが鏡割り直前の鏡餅や、おせんべいにする生地の状態。
こうなるともう水分がないので、焼くのではあまり柔らかくならないのだ(>_<)
水分が抜けているので、揚げるとおかきになっておいしいんだけどね。

コンビニなんかで売っている大福も、ずうっと放っておくと少しかたくなるけど、お餅に比べるとそれが段違いで遅いのだ。
それは、求肥はお餅とは作り方が違うから。
求肥の場合、餅米をいったん粉にした白玉粉や餅粉に砂糖や水飴を加えて練り上げたもの。
重要なのは、多くの糖分が入っているということなのだ。
この糖分が重要で、糖がデンプンの保水力を上げてくれるので、デンプンが再結晶化して固まりづらくなっているのだ!
このため、お餅に比べて時間が経ってもやわらかいままなんだ。
できたてをすぐ食べられればお餅でよいのだけど、大福はそこそこ時間が経ってから食べることが多いので、柔らかさが持続する求肥を使うというわけ。
あんみつとか冷たい甘味に使われるのも求肥だよね。

一方、その柔らかさは熱には弱いのだ。
少し熱をかけるとお餅以上にとろけてしまうんだ。
ためしに、コンビニで売っている大福をオーブントースターで温めてみると・・・。
少し温めるだけででろ~んと液状になるよ。
なので、あたたかいものには不向き。
つまり、ぜんざいや汁粉には求肥は入れないのだ!
その場合は、水だけで練り上げる白玉を使うわけ。
白玉もあんみつに入るけど、求肥がもっちりしているのに対し、もっと食感がかたいよね。
同じ白玉粉が減量でも食感に違いがあるのは、デンプンの結晶構造の熱に対する応答性の違いなのだ。
ぷっつりとしたかみ応えある食感が好きな人は白玉、ねっとりとした柔らかい食感がほしい人は求肥がいいんだよ。

今後は餅菓子を食べるとき、餅を食べているのか、求肥を食べているのかを気にしてみるとおもしろいかも。
それぞれ時間が経って冷えてからの食感が違うのだ。
なかなか洗練されたもので、適材適所に使われていることがわかるよ。
さらにはうるち米を使った上新粉からできている団子だとさらにまた食感が違うんだよね。
その辺もさらに比べてみると面白いのだ。

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