2021/03/13

オレの屍を越えていけ

もうすぐホワイトデー。
ホワイトデーは感じで白日。
白日と言えば、King Gnu。
というわけで、今回気になったのはヌー。
もちろん、動物の方だよ。

ヌーはウシ科の動物で、アフリカ大陸の南部、ケニアやタンザニアの当たりに生息しているのだ。
牛とカモシカを掛け合わせたような見た目で、顔が大きくて角は立派なんだけど、脚はカモシカのような脚(笑)
ウシというとどちらかと言えばもっさりしたイメージだけど、ヌーは怒濤のごとく走るイメージ。
これは、ヌーは季節ごとに集団で大移動する性質があって、それをよくテレビで見たりするからだと思うんだよね。

ヌーが生息しているあたりは乾季と雨季がはっきりしているので、寒気になると雨が降る方=えさとなる草がある方に草食動物が移動するのだ。
歩奥の場合、天敵である肉食動物に備えるために秀だね異動するんだけど、ヌーはその集団の大きさが半端じゃないんだ。
その数なんと100万頭以上!
まるでナウシカに出てくる王蟲のようだよ。
1年で1600kmを超える距離を移動して、えさを求めてぐるっと異動し続けるのだ。

そのところどころに天敵である肉食獣のライオンやチーター、ヒョウ、ハイエナなんかがいて、むれからはぐれた個体、けがなどで群れの動きについて行けなくなった個体などが捕食されるんだ。
ただし、大集団で移動しているときは、そこに突っ込むと逆に肉食獣の方が踏みつぶされてしまうので、あくまで近くで監視していて、弱ったやつが出てくるとそれをおそう、という構図みたい。
また、ヌーの移動先には必ず水もあるので、ヌーについていくとけっこうくいっぱぐれがないのだ。
さすがに肉食獣には縄張りがあるのでどこまでも追いかけることはないみたいだけど、自分のテリトリーに入ったところから出て行くところまではストーキングするわけだね。

この大移動自体がすごいんだけど、中でもクライマックスは川渡り。
アフリカの川なので日本でイメージする川とは大きく違って過酷なもの。
川幅は広いし、天敵であるワニも生息しているのだ。
そして、川渡りの時期は、繁殖が一段落した頃で、生後半年程度の仔ヌーをつれながらの移動になるんだよね。
もちろん、子供たちを群れの真ん中において大人たちがサポートし、また、天敵から守りながら渡るわけだけど、ぐずぐずしていると天敵に襲われるのでそれなりにスピードが必要。
すると、群れの動きについて行けない子供も出てくるし、もともと体力が弱っていておぼれるような個体も出てくるのだ。
ケニアとタンザニアの国境付近に流れているマラ川を渡るときは、6000頭以上が命を落としていると推定されていて(それでも100万頭の集団とすると0.6%!これが「数の力」だね。)、その死体は1000トン以上になるそうだよ。
シロナガスクジラ10頭分くらいらしい・・・。

これだけの数となるとワニも食べきれなくて、川に死体が残るのだ。
これが徐々に腐敗sい、分解されていくんだけど、実は、これが重要な栄養源として生態系に還元されているんだって。
特に、最後まで残る骨は徐々に分解されていくんだけど(約7年かかるとの推定)、その過程で植物にとって貴重な栄養素である有機リンが出てくるのだ。
これによって、肥沃な草原が生まれ、またそこが草食動物のえさ場になるのだ。
もちろん、途中で朽ちていく肉は魚のえさになって、それはワニや鳥のえさになるのだ。

ところが、最近ではアフリカでも土地開発が進んでいて、農場や牧場が作られてしまうのだ。
そこを大集団で移動してきて荒らされては困るので、フェンスをもうけたり、柵で囲ったりするわけ。
そうなると、移動するヌーの方は移動のルートを変更せざるを得ない。
ルートが変更されると、川を渡る場所が変わるので、その生態系にとってみると、定期的に来るはずだった栄養が来なくなることを意味するのだ。
こうして土地開発をしたところから離れたところでも環境影響が出てくるみたい・・・。
これはかなり難しい課題だよね。
でも、こういう生態系の栄養循環はどこかがほころぶと全体がダメになるんだよなぁ(>_<)

ちなみに、ケニアやタンザニアではサファリツアーとして野生動物を見るのが大きな観光資源になっているけど、このヌーの大移動は人気のツアーみたい。
あまり近づけないだろうけど、100万頭が怒濤のごとく走り抜けていくというのはかなりの壮観だろうね。
テレビなどで映像で見ているだけでもすごいけど、そこに震動なんかもくわわるんだろうなぁ。
それと、ヌーの集団には往々にしてシマウマも混じっているらしいので、ヌーの大移動を見に行くとたいていシマウマもついてくるよ。

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