2021/03/20

でべそでもブランドもの

 スーパーで「不知火」という柑橘類を買ってきたのだ。
売り場に張ってあった「あおり」を読むと・・・。
『いわゆる「ポンカン」と同じ柑橘類で、酸味が少なく非常に甘いです。』と書かれていたよ。
その横で、「デコポン」がもう少し高い値段で売られていたんだけど、なんとなく「不知火」の方を買ったのだ。
すでに高級柑橘類の「せとか」を1個買っていたのもあるんだけど(笑)
で、少し気になったので、不知火とデコポンの関係を調べてみたんだ。

基本的には、不知火(シラヌヒ)はミカン科ミカン属の柑橘類の栽培品種で、大陸系の水分が少なめのポンカンと、温州ミカン(いわゆる普通のミカン)とオレンジを掛け合わせたタンゴールである「清美」を荒廃させて作られたもの。
長崎の島原にあった農林水産省の果樹試験場(現在は国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構)で作られたのだ。
独特の「へそ」のような戸田付近の出っ張りが特徴なんだけど、その見た目があまり良くないのと、そのためにどうしても不揃いになってしまうのもあって、栽培品種には不向きと当初は品種登録されなかったそうなのだ。
ところが、その試験栽培の苗木が島原湾を挟んだ反対側の熊本県の不知火町に持ち込まれ、試しに栽培してみると、非常に甘い実ができたのだ。
成熟してくると川がしぼんでくるそうなんだけど、そのくらいが収穫時で、この過程で甘みが増すようなのだ。
こうして、ちょっと見た目は不細工だけど甘い栽培品種の「シラヌヒ」が生まれたわけ。

で、この新しい「シラヌヒ」を売り出すときに工夫をしたのだ。
それが品質保証で、糖度13度以上酸度1度以下の甘みが強くて酸味の少ないもののみ選択し、「デコポン」という名前をつけて流通させたんだ。
つまり、「デコポン」は登録商標(商標の所有者は、熊本県果実農業協同組合連合会)。
当然その名称使用には制限があって、日本園芸農業協同組合連合会傘下の農業団体のみが使用を許諾されているのだ。
生産者個人が販売する場合や、農協を通さずに独自ルートで販売する場合はその名前が使えないわけ(>_<)
つまり、ボクがスーパーで見かけたのは、おそらくスーパーが独自に契約農家から仕入れたもので、農協を通していないので栽培品種の名前である「不知火」で売られていたのだ。

ここで気をつけないといけないのは、「デコポン」であれば甘くて酸味が少ないという基準を満たしているので、確実においしいのだ。
一方、「不知火」はその基準を満たしているかどうかは関係ないので、よいものもあれば、そうでないものもあるわけで・・・。
独自ルートで仕入れた質の良いものならよいのだけど、「デコポン」と名乗れなかった甘みが薄いもの、酸味が強いものの可能性もあるのだ。
そこは見極めないといけないわけだよね。
おそらく、「デコポン」のブランド維持のため、基準を満たさなかったような果実は加工品に回したりして生菓としては流通させないんじゃないかな。
加工品であっても「デコポン」の登録商標の範囲内なので、仮に加工品になっても「デコポン」を名乗ることは許されないんだけど。
みかんの世界も厳しいのだ。

デコポンはハウスものだと年末年始頃から出回るんだけど、ちょうど今くらいの時期に出てくるのが露地栽培のもの。
この後も低温貯蔵されたものが夏前までで回るらしいけど、まさに今が旬なのだ!
ちなみに、不知火は収穫当初ちょっと酸味が強くても、貯蔵しておくと酸味が抑えられるようで、そういうのを後回しに出荷するみたい。
もともと果皮が厚くて日持ちもするのでそういうこともできるのだ。
ちなみに、ボクが買ってきた不知火は酸味はほぼ鳴く、非常に甘くておいしかったよ♪

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