2021/06/12

水を減らせ

夏が近づくと、生ものの扱いが怖くなるよね・・・。
どうしても温度・湿度が高いと傷みやすくなるし。
そんなとき、注目されるのが「ヅケ」。
余ったお刺身を翌日に食べるときは、醤油ベースのつけだれに漬け込んで、というのが有効なのだ。
それに、風味が変わるから、違った味も楽しめるよね。

古くから、食材を以下に長期間保存するかは重要な課題だったのだ。
いつでも手に入るわけじゃないし、手に入る時期とそうでない時期もあるから。
魚介類で最初に思い浮かぶのは、干物。
とりあえず天日干しにすることでけっこう長い間保存できるようになるのだ。
日本では魚の干物だけど、古代ローマだと干し肉だよね。
いずれにしても、干している間に腐ってしまわないように、風が当たるところで蒸発した水分がその場に留まらないように気をつける必要があるんだ。
これは洗濯物を干すのと同じ。

そして、最初はちょっと塩をきかせておくも大事。
最初に塩をすると浸透圧で余計な水分を吸い出してくれるから、乾くのが早くなるし、食材に味をつけることもできるのだ。
でもでも、干物の場合、本当に長期間保存しようとすると固くなってしまうので、食べにくくなるよね。
かといって、干しがあまいと腐りやすくなるのだ。
その見極めが長年の経験でちょうど良いあんばいになっているんだよ。
最近は機械乾燥も多いようだけど。

ここで重要なのは、とにかく余計な水分を抜くこと。
雑菌の繁殖には水が必要なんだけど、それは多くの生物の酵素反応は水環境の常温下で起こるものだから。
自由に使える水を奪ってしまえば、雑菌すら繁殖できないのだ。
干すことでその水を徹底的に取り除くわけ。
ただし、これが湿気に触れてふやけたりすると、そこからまたカビたりするよ。
それはずいぶんが戻ってきたから。

干物ほどは持たなくても、そこそこ保存できるのが塩漬け。
これはきれいな海水が周りにたくさんあって、塩には特に困らない日本では採用しやすいものなのだ。
塩漬けの場合は、もともと高塩濃度環境下では最近が繁殖しづらいというのがあるんだけど、これもようは自由に使える水がないから。
浸透圧の関係で、最近の方が塩に水を奪われてしまうのだ。
そこまでじゃなくても、塩分等による浸透圧で細菌の繁殖を防ぐのが、最初に出てきたヅケだよ。
つけだれレシピを見るとわかるけど、基本は醤油+酒又はみりんで、多くの場合、醤油と酒又はみりんは2:1くらいの割合。
酒やみりんには塩と同様に水分を引っ張るアルコールが含まれるし、みりんの場合はそこに浸透圧を上げる糖分もあるのだ。
こうして、浸透圧の高いつけだれに漬け込むことで、雑菌の繁殖を防ぐとともに、食材に味をしみこませるんだ。
このときも、食材中の水分を奪ってから塩分が浸透していくので、アミノ酸等のうまみが濃厚に感じられるようになるよ。
もともと水気の多い魚の場合なんかは、刺身だとぼやけた味でしまりがないけど、ヅケにするとうまみが濃厚になって食感がとくなったりするのだ。
ちなみに、昆布締めなんかはつけだれじゃないけど、乾燥している昆布が魚から水分を奪ってくれて、代わりにコンブのうまみが浸透していくので、身が引き締まって馬m、芋ますのだ。
そして、ちょっと保存期間が延びる。

でも、塩をきかせたりしただけでは、干物ほどは保存期間は延ばせないんだよね。
せいぜいが、海から遠い地域でも中に近い魚が食べられるようになるくらい。
福井と京都の間の鯖街道で傷みやすい鯖を塩漬けにして運ぶとかそういう話。
もっと保存期間を延ばそうとすると、もう一工夫いるのだ。
それが発酵技術の導入。
塩漬けにしていても、食材自体がもともと持っている酵素や付着していた細菌で発酵してしまうことがあるのだ。
それが腐敗ではなく、食べても問題のない方向だと、「塩辛」になるわけ。
イカの塩辛が有名だけど、酒盗やこのわたのようなものもあるよね。
この発酵をもっと積極的に使うのがなれ寿司。
蒸したお米と一緒に漬け込むことで乳酸菌発酵させるのだ。
一度乳酸菌がはびこるとほかの雑菌は繁殖しづらくなるので、腐敗しづらくなるわけ。
これは滋賀の鮒寿司とか福井のへしこが有名だよね。

ちょっと毛色が違うのは北海道のルイベ。
これは凍らせることで雑菌が自由に使える水をなくすんだよ。
液体の状態の水じゃないと生体反応には使えないからね。
ルイベの場合、凍らせて回答する過程で寄生虫が死滅するという利点もあって、生では食べられないサケ・マスを生食に近い状態で食べられるようになるのだ。
今では遠洋漁業の場合はマグロでもカニでも基本は冷凍して持って帰ってくるけど、ルイベと同じ発想だよね。
ただし、ものによっては冷凍して凍すると身が崩れたりしてしまうものもあるので(特に水気の多いもの)、全部に使えるわけじゃないんだけど。

0 件のコメント: