2021/09/04

大人も、子供も

 最近、なぜか「カルパス」が気に入っているのだ。
あの、小さなサラミみたいなおつまみ。
ボクはお酒はほとんど飲まないので、駄菓子で売っている「おやつカルパス」のようにそのまま食べるんだけど、ちょっと口ざみしいとき、あの塩辛さ脂っぽさがなんとも言えないのだ。
そういえば、まえからサラミとかけっこう好きだったなぁ。

「カルパス」は北海道帝大にいた化学者・佐々木酉二さんが道内の食肉加工業者のために考案した名称だったんだって。
国内でドライソーセージを販売するに当たって、最初は北海道とは縁も深いロシア語の「ソーセージ」にあたる「カルパサー」を提案したんだけど、五缶があまりよくないのと、ぱさぱさしているかのような印象を与える音なので、少し変えて「カルパス」にしたんだって。
もともとは商品名だったんだけど、商標登録をお粉わかったために、人気に火がついてからみんなまねするようになり、「カルパス」が一般名称化したようなのだ。
ホッチキスなんかもそうだよね。
英語ではstaplerで、このステープラーというのが本来的な一般名称なんだけど、日本ではホッチキス社のものが圧倒的にメジャーだったのでこれが普通名詞のように扱われているのだ。

一般に販売されている「カルパス」はドライソーセージ又はセミドライソーセージで、細身割と短く切られたものを指すんだよね。
ドライソーセージやセミドライソーセージは日本農林規格(JAS)で定義が決まっていて、畜類の肉を主原料とするソーセージを乾燥させたもので、水分が55%以下のものをセミドライソーセージ、35%以下のものをドライソーセージとしているんだって。
内蔵系のソーセージもあるけど、これはドライソーセージにはならないのだ(おそらく、乾燥させて、という工程が事実上不可能なんじゃないかと思うけど。)。
作り方としては、ブタやトリなどのひき肉に塩と香辛料やつなぎを加えて腸などにつめてケーシングし、これを乾燥させるのだ。
豚肉はそのままでは生で食べられないけど、生ハムと同じで、乾燥させながら熟成させることで食べられるようになるのだ。

イタリアのサラミや、米国式ピザにのっているペパロニなんかが代表的なドライソーセージ。
水分が少なめで硬いので、基本は薄くスライスして食べるのだ。
このため、サラミ=薄くスライスするもの、という図式になっていて、ちょっとずつ切り出していくようなイメージのものにサラミの名称をつけることがあるよ。
例えば、サラミ法というのは、ばれないようにちょっとずつ金銭や物品を窃盗していく手法なんだって。
これと逆なのがパンケーキ。
こっちは積み重ねるので、重層的なものを比喩するときによく使われるのだ。

このサラミやカルパスって、どうしても不健康なイメージがつきまとうよね。
それもそのはずで、塩分や脂肪分がとにかく多いのだ。
サラミなんかは薄切りにして食べるもので、もともとそんなに多く食べるものじゃないのだろうけど。
カルパスもどんぶりいっぱい食べるようなものではないよね(笑)
ただ、この塩と油は重要で、塩をきかせることで腐らせずに乾燥・熟成させることができるわけだし、脂肪分の多いひき肉を材四両とすることで乾燥させても硬くなりすぎないのだ。
脂肪分が少ない赤身でやっちゃうと、棒状にまるめたジャーキーみたいになっちゃうはずなんだよね。
それはそれで削りながら食べたらいいのかもしれないけど、水分を飛ばしてもしっとりしているのはやはり脂肪分のおかげなのだ。
あと、やっぱり人間は塩と脂肪が大好きなんだよね。
これがジャンクフードは体に悪いとわかりつつ、やめられない要因だから。

というわけで、ドライソーセージ自体は西洋世界の先人の知恵なんだけど、それを大人も子供も楽しめるカルパスにしたのは日本だったのだ。
薄くスライスするのって大変だから、細いものを食べやすい長さにあらかじめ切ってあるって便利だよね。
そのままつまめるし。
日本式のこういう食に対する改良はいつ

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