2021/09/18

空中栽培

100円ショップとかでも売っているんだけど、インテリアとして「エアープランツ」がはやっているんだって。
これって、土や水がいらない観葉植物で、空気中の水分を吸収して成長するというすごいやつなのだ!
にわかには信じがたいけど、根もついてなくて、たまに霧吹きする程度で大丈夫なんだって。
世の中にはすごい生物がいるもんだね。

日本で売られている「エアープランツ」のほとんどはパイナップル科の植物で「ハナアナナス属」の仲間。
属名にもあるように、きちんと花も咲くし、実もなるんだって。
種子はものすごく小さいものらしいけど。
この手の根がついていなくて空気中の水分を吸い取って成長しているものは、南北米大陸の熱帯雨林や砂漠、岩石の多い山地などいろんなところにあるみたい。
熱帯雨林は雨が多いけど、実は土壌が薄く貧困なんだ。
その意味では、下手に土の中に根を張るより、他の植物や岩に「着生」して空気中から水分を吸収した方がよい、という生存戦略をとったわけ。

もちろん、そこまで多くの水分を吸収できるわけではないので、多肉性の植物で、葉っぱが分厚いのだ(アロエのような感じの葉)。
そして、葉の表面には水分を集めやすいように細かい毛が生えていていることが多いよ。
熱帯雨林は雨が降るから表面について水滴を吸えばいいだけだけど、砂漠や山地のものは、朝方冷え込んだ時間に出る霧などから水分を吸収する必要があるので、そういう工夫がいるのだ。
表面積を大きくして、できるだけ水分に触れる部分を多くしているわけ。
そして、自分の中に水分をため込めるように多肉性になっているんだよ。

日本での観葉植物としてのエアープランツの場合、いくら湿度が高いと言ってもそれだけではさすがに足りないので、「ミスティング」といって3~5日に1回は霧吹きで水をかけてあげる必要があるみたい。
そして、月に一度くらいは「ソーキング」といってバケツに張った水の中に植物を浸してあげることもやった方がいいんだって。
サボテンと同じであんまり水をあげすぎてもダメなので、湿度にも気をつけながら適宜「水やり」はする必要があるのだ。

で、ボクが気になったのは、水分はそれでいいとして、その他の養分はどうしているんだろうってこと。
観賞用のエアープランツの場合は、肥料を非常に薄めたものを霧吹きすればいいみたいなんだけど、自然界ではどうなっているのか?
熱帯雨林にあるものは、気を伝って下りてくる水滴の中に養分が少し溶け出しているのでそれを吸収しているんだって。
熱帯雨林の場合、土壌の有機物はすぐに分解されてしまうし、雨で流れ出てしまうので、よほど広めに根を張らないと吸い取れないんだって。
なので、むしろ土壌に落ちる前、気を伝っている間に吸い取ってしまえ、ということらしいよ。
枯れ葉や枯れ枝は地面に落ちる前にもすでに微生物による分解が始まっていて、そこに雨が当たると一部の養分が溶け出すので、それを吸い取るのだ。
つまり、流し素麺のできるだけ上流ですくい取る、みたいな。

砂漠や山地の場合は、そもそも有機物が土壌中にはほとんどないわけだよね、生物も少ないから。
他の動物の排泄物や死骸がちょっとある程度だけど、元が少ないからすぐ拡散してしまうしね。
すると、ここで土の中に根を張ってその養分を吸い取ろうとすると非常に非効率。
こういうところにいる着生植物の場合、葉の付け根とかに「水だまり」があって、そこに昆虫や両生類が生息していることがあるのだ。
そうなると、そいつらから養分をもらえばいいわけだよね。
そうでない場合は、鳥の糞などの上からの落下物を受け止める、という戦略もあって、パラボラアンテナのように広がった形の葉の形状をしているものもあるそうだよ。

いずれにしても、けっこう少ない量の養分で成長できるようなのだ。
かなり省エネ型の植物でもあるんだろうね。
うらやましいような気もするけど(笑)

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