2022/01/15

冬はぬくぬく丸くなる

新しく始まったドラマを見ていて、新しい言葉を知ったのだ。
それは「こたつ記事」。
なんだ?、と思って調べてみると、10年くらい前に生まれた言葉なんだって。
デジタルガジェット論評を専門にしているジャーナリストの本田雅一さんの造語で、あるときツイッターで、

「こたつ記事というのは、ブログや海外記事、掲示板、他人が書いた記事などを“総合評論”し、こたつの上だけで完結できる記事の事を個人的にそう呼んでます。自分たちでこたつ記事が優れていると宣言している方もいれば、言ってない方も。柔らかな言い方をすると“文献派”の方々」

とつぶやいたことに端を発しているとか。
ようは、直接取材することなく、一次情報のみをもとにして作成されている記事のことのようなのだ。

ネットメディアが隆盛になってくると、これが一気に増えて、そこまで流布していなかったのに、最近はよく使われるようになったんだって。
主に批判的な意味で・・・。
この言葉の生みの親としては必ずしも否定的な意味だけではないということなんだけど、取材すらしないでそっせいらんぞうされた記事、という漢字で使われることが多いみたい。
一方で、いろんな情報を集めたキュレーションサイトとかまとめサイトが便利だと言われることもあり、やはり問題は「質」なんだよね。

直接取材する最大のメリットは、一次情報の真偽の確認、いわゆる「裏取り」ができること。
この「裏取り」ができていない記事は「飛ばし記事」とも呼ばれ、否定的に扱われるんだよね。
おそらく、それが「こたつ記事」という言葉にも影響しているのだ。
「裏取り」ができていないということは、信憑性が疑わしい、憶測に基づく、といったことにつながるからね。
で、むかしながらの記者からすると、「こたつ記事」はそういう風に見えるというわけ。

かつて2ちゃんねるの創設者のひろゆき宇治が言ったように、「うそはうそであると見抜ける人でないと」ということなのかもしれないけど、ネット上は様々な情報にあふれていて、玉石混淆になっているよね。
そして、その中には誤情報もあるし、悪質なデマみたいなのもあるし、というので、不正確な情報、虚偽の情報もあるのだ。
そういうのをきちんと吟味せずに引用してしまうと、「飛ばし」的な「こたつ記事」になるわけ。
なので、すべての「こたつ記事」が悪いというわけではなく、一次情報をそのまま鵜呑みにして右から左に流すようなのがまずいのであって、それがフェイクニュースを拡散する要因にもなるわけ。
中身を吟味して吟味・分析しているようなものであれば、むしろ非常に役立つ情報になるのだ。
それこそがキュレーションサイトやまとめサイトが当初ありがたがられたゆえんだと思うんだけど、質の悪い情報の寄せ集め、さらには、悪質なデマや自分に都合のよい誤情報をあえて集めたようなものが登場するに至って批判されるようになってきたわけだよね。

一次情報をきちんと分析・整理してくれる、というメリットがむしろ好意的にとらえられている典型的な例は、ミステリにおける「安楽椅子探偵」だよね。
自分では現場に赴いて捜査することなく、警察などがもたらす情報を安宅の中で整理して推理していくというタイプ。
日本では「謎解きはディナーのあとで」の執事・影山とかが有名かな。
古畑任三郎でも、鈴木保奈美さんがゲスト出演している「ニューヨークでの出来事」の解は、米国の夜行バスの中で聞いた話だけで推理していくので、このタイプなのだ。
これらは、もたらされた情報を整理するだけで犯人を当てられてすごい!、ということになるわけだよね。
もちろん、現実にそういうことをしようとする人がいた場合、そうそううまくいくわけがなく、かえって判断・推理を誤って別の人を犯人と考えてしまったりするわけで、おそらく否定されるのだ。
あくまでも必ず成功が約束されているフィクションの世界の中だからこそ賞賛されるわけだね(笑)

とはいえ、過去に来るら部手遙かに接する情報量が増えている現代。
加速度的に膨張していく情報量をどう処理していくかは現代人の課題なのだ。
それだからこそ一次情報を整理してくれるサービスは重要なのだけど、それ自体の信用性を見極めないと、ということなんだよね。
今では、一次情報ですらなく、他人から聞いた話のような二次情報に基づく情報、憶測なんかもネット上にはどんどん垂れ流されるから、SNSを中心に情報を収集する場合は特に気をつけないとね。

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