2022/03/12

無酔

最近のことと思うけど、ノンアルとか微アルの飲料がはやっているよね。
もともとノンアルは自動車を運転しないといけない人とかがせめて味だけはビールを楽しみたい、とかいうけっこう限定的なニーズだったと思うのだけど、ここのところは、ビールだけでなく、レモンサワーやワインのノンアルもテレビでよくCMを見るようになったのだ。
それだけ「売れる」ということだよね。
さらに、一時「ストロング」シリーズの、通常よりアルコールが濃いめの缶酎ハイがはやっていたと思ったら、その対極にある、アルコールがかなり低めの飲料、いわゆる微アルの飲料も増えてきているのだ。
ボクも層だけど、日本人は体質的に(遺伝的に)アルコールに弱い人が一定数いるので、お酒の雰囲気と味は楽しみたいけど、絶対量が飲めない、みたいなのはあるから、そういうところに刺さるみたい。
普通に飲める人でも、明日は朝が早いから、とか、最近ずっと飲んでるから、とかで微アルにしとくかみたいな需要もあるし、けっこう売れているようなのだ。

これらは、酒税法上はアルコール飲料に該当せず、扱いは「清涼飲料水」になるのだ。
酒税法では、「酒類」の定義として「アルコール分一度以上の飲料」としているので、アルコール度数が1%未満だとアルコール飲料にはならないのだ。
ノンアルと呼ばれるものは限りなくアルコール度数がゼロに近いもの(通常は0.05%未満)で、ちょっとは入っているけど度数が1%未満のものが微アルと呼ばれるみたい。
それこそ江戸時代より前から親しまれているのは甘酒だよね。
これはデンプンが糖分に分解されたところで飲んでしまっているので、糖分が発酵してアルコールになっていないのだ。
子どもの頃に楽しんだのは「シャンメリー」だよね。
ノンアルコールのシャンパン風味飲料。
そして、おじさんたtにの飲み物のホッピー。
ホッピー自体は微アルのビールテイスト飲料で、通常はそれだけでは飲まず、焼酎の割材に使うのだ。
プリン体が少ないから、通風のおじさんたちには大事なものだよね(笑)

その後に登場してきたのが、いわゆるフリー計のビールテイスト飲料。
いったんビールを造ってからアルコールを除去する製法や、爆中や爆中エキスを元にビール風味の炭酸飲料を作る製法など、いろいろあるみたい。
それぞれ特徴はあるので、ビールの銘柄の好き嫌いがあるように、どれがビールの代替物としてよいかという好みもあるんだろうね。
それこそ最近はいろんなものが売られているから、それだけマーケットも広がったのだろうと思うのだ。

そして、もはやノンアルはビールだけではなく、酎ハイやワインにも広がったのだ。
もともと欧米にはノンアルのビールテイスト飲料やワイン風味のブドウジュースなんてのはあって、アルコールをその場で飲めない人とが楽しむ文化があったんだよね。
日本は下戸が多いこともあるんだろうけど、そこまでの需要が過去にはなく、知る人ぞ知る、みたいな扱いだったのだ。
一方で、レストランとかに行くと、お酒がだめな人用にノンアルコールのカクテルは置かれていたよね。
でも、カクテル自体が甘いものだから、ノンアルのカクテルも甘いもので、食事と一緒に楽しむもの、とはなかなか言えないのだ。
そこで実は需要があったのが、お酒のような風味だけど、アルコールがほとんど入っていない、雰囲気重視の飲料と言うことだったんだね。
甘くないジュースというとうれなさそうだけど、強い甘味で食事の邪魔をしない、むしろ、お酒と同じように食事を引き立てるみたいな存在になったのだ。

そして、重要なのは、ノンアルビールが飲食店で提供されていたときはそこまで爆発的なヒットにはならなかったけど、家庭用の缶飲料が売り出されて浸透が進んだという点。
実際には、売り出してみると意外と売れたから、各社がさらにいろんな商品を展開するとさらにマーケットが広がって、というのがおそらく現在の姿と思われるのだ。
背景には、道路交通法の改正による飲酒運転の厳罰化とかもあるんだろうけど、お酒が苦手な人、その場ではお酒が飲めない人でもお酒の味を楽しみたい、という需要が顕在化したということだろうね。
ニッチな需要だからと思って見逃されていたら、思ったより大きな需要だったということかな。
これまでは、飲めないけどそういう席につきあわないといけない人が消極的に選ぶ、みたいなイメージだったんだけど、自宅用のものが宇売れると言うことは、お酒の味や雰囲気を楽しみたいけどアルコールはそんなに摂取したくないという積極的なノンアル/微アルの需要があったということなのだ。
一人で食事と飲み物を楽しみたいときの選択肢として売れているということだよね。
これはけっこう生活・文化における多様性が拡大した結果なのかも。

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