2023/02/11

日支センとは呼ばないで

 ここのところ、TVのCMで、「法律関係で困りごとはないですか?」みたいあフレーズが聞こえてきたので、てっきり法律事務所や司法書士事務所のCMかと思ったんだよね。
借入金の過払い金請求やら、B型肝炎給付金やら。
アディ○レなんてよく耳にするよね。
でも、それは違ったのだ!
広告主はなんと、法テラス。
そう、公的団体だったのだ。
そのわりにCMがうさんくさい・・・。

法テラスこと日本司法支援センターは、総合法律支援法に基づき設立される法務省所管の法人。
通常、「特別の法律に基づき設立される法人」というと「特殊法人」になるんだけど、ここは違うのだ。
「独立行政法人に準じる法人」という扱いなんだよね。
でも、いわゆる独法の枠から少しはみ出ているところがあるので、「準じる」となっているんだ。
その要因は業務の中身。
「総合法律支援」という建て付け上、その業務内容が行政にとどまらず一部司法の要素が含まれるので、政府から独立した民間の運営手法を導入した法人で一部の行政事務を担う、という独立行政法人の枠組みを逸脱するわけ。

法テラスの主要業務は、次のようなもの。
まずは法律相談の総合窓口。
これは地方自治体がかつてはよくやっていた「無料法律相談」を常時できるようにしたようなもの。
訴訟対応や和解案の調整などの具体的な法律相談まではしないんだけど、困りごとを聞いた上で弁護士を紹介したり、使えるお役立ち制度を紹介したり、ということをしているのだ。
個別事案の中身の紹介はその後。
で、こういうところに来る人は、あまり裕福でなく、弁護士への相談料をいくらでも払える、という人出はないことが多いので、この先の支援として、弁護士・司法書士へ支払う費用や訴訟費用の立て替えてのも行っているよ。なので、相談した後で、後は個別に弁護士なりに相談してくださいね、といきなり手を引くわけではないのだ。
これは多くの人が法律支援を受けられるという点で重要で、特に、司法過疎地域と言われる、弁護士や司法書士が極めて少ない地域では重要なお仕事になるよ。

ここまでは民事の話だけど、刑事についても役割があるのだ。
金銭的余裕のない被告人・被疑者については国選弁護人制度があるけど、ここにも関わっているんだ。
裁判所が、その被告人・被疑者に国選弁護人をつける、と決めたとき、法テラスに弁護士の候補を指名するよう通知するんだ。
つまり、法テラスが選んでくれるわけ。
で、その国選弁護人tの契約や報酬の支払いも法テラスがやってくれるのだ。
自分がそれを体験することはなかなかないと思うけど、いろんなところで法律に関する手助けをしてくれるわけ。

で、そういう業務なので、当然業務内容について何か判断をするときは、裁判所の意見が反映される仕組みになっているんだ。
ここも普通の独法との違い。
具体的には、
①理事長・監事の任免に当たってはあらかじめ最高裁判所の意見を聞く。
②法テラスの業務実績の評価や中期目標・中期計画に意見を言う役割の評価委員会には必ず最高裁判所の推薦する裁判官を一人入れる。
③法務大臣による中期目標の作成や中期計画の認可に当たってはあらかじめ最高裁判所と評価委員会の意見を聞く。
などなど。
こうしてみると、最高裁判所っていわゆる裁判所的な仕事だけでなく、けっこう事務的な仕事が多そうだよね・・・。

で、なんでCMをやっているのかというと・・・。
霊感商法の被害者救済みたい。
そう、例の「つぼ」案件。
でも、なんだかこのCMがうさんくさいんだよなぁ(笑)
肝いりでやっているのだろうけど。

というわけで、法テラスはいろいろと便利なところなのだ。
何か困ったら、まずは相談して見よう。
ちなみに、都心部では、新宿や上野にあるよ。
全国各地に地方事務所や地域事務所、出張所などを置いているので、相談したい人は公式ウェブサイトをクリッククリック。
https://www.houterasu.or.jp/

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