2023/05/06

虫愛づる

 ものすごい嫌悪感を持って。俺は絶対いやだという人もいるけど、なにやら世の中では昆虫食が注目を集めているのだ。
もとはと言えば、将来的な食糧問題の解決のため、として、国連食糧農業機関(FAO)が昆虫食がその方策のひとつだ、と言い出したから。
その理由は、牛や豚と比べ、少ない飼料で育てられるので、動物性タンパク質がより効率的に肥育できるということ。
それと、昆虫には必須アミノ酸や必須脂肪酸など、人間が必要とする栄養素がだいたい含まれていて、栄養価が高い、というのだ。
そりゃあ、そうだよね、まるごと食べるから。
牛も豚も一頭で見ればそうだけど、普通は切り身の肉しか食べないからそうなるわけで。

そこで増えてきているのが、コオロギ。
まるごとの乾燥コオロギの入ったものもあるけど、多くの場合はコオロギパウダーを使った食品。
低カロリー高タンパクなんだって。
コオロギせんべいなんかはスーパーでよく見かけるになった。
あまり売れないのか、割引されているけど・・・。
コオロギって言われるとやっぱりハードル高いし、何より値段も少しお高めなんだよね。

昆虫食自体を嫌う向きもあるけど、伝統的には、人類はけっこう虫を食べてきているのだ。
日本でも、カイコのさなぎやハチの子、イナゴ、ザザムシなんかを食べるよね。
郷土料理レベルで全国的というわけではないかもしれないけど。
もともとおサルさんは雑食で、昆虫なんかもよく食べるので、人間も食べて不思議ではないのだ。
要は文化的な慣れの問題が大きいのだけど、現代まで来るとあまり昆虫というのが食材として魅力的ではない、ということで、あまり食べなくなっているんだよね。

ます、農業や畜産が発達し、野菜や獣肉が比較的簡単に手に入りやすくなっていること。
昆虫の方が効率的に生産できるのかもしれないけど、牛や豚はすでにシステムとして確立されているからね。
昆虫の場合は、養殖しようと思えばできるけど、基本は捕まえてきたものを食べる、そこにあるものを食べるという感じ。
日本では、養蚕業で繭糸をとった後のカイコガのさなぎはゆでて食べる、イネの害虫となるイナゴは大量にとれれば佃煮にして食べる、ということで、食材として割と多くの量が簡単に手に入るから食べているのだ。

これは他の国も一緒で、よほどおいしいとかではない限り、苦労してまで食べなくてもほかに食べるものがあればそれで済ますわけだよね。
ましてや、昆虫は一般的に可食部が少ないわけだし。
おいしければ、なんとしてでも食べようとするのが人間の業で、日本では田んぼに大量にいるからと言う理由でタニシを食べるけど、フランスはおいしいからという理由でエスカルゴ(リンゴマイマイなど)を養殖して食べているのだ。
もともとはブドウ畑にいるカタツムリを食べていたようだけど、こりゃうまい、となったら養殖するわけ。
昆虫の場合は、おいしさという点でそこまで至るようなものはなかったということなんだろうね。


昆虫は形態が気持ち悪いという人もいるけど、よくよく見てみれば、同じ節足動物のエビやカニもそんなにフォルム的には変わらないんだよね。
外骨格で足がたくさんあってごつごつしていて。
食材として見慣れているからおいしそう、なんて思うけど、形状は大差ないのだ。
ただし、海の節足動物の方が大きいものもいて可食部が多いけど。
それに、日本ではナカモやイソギンチャクなんかも食べるけど、外国の人からするとそれも気持ち悪いみたいだから、やっぱり慣れが重要なのだ。
中国ではカエルの肉は割とごちそうだけど、日本だとどうしてもゲテモノ扱いになるよね。

なので、このままみんながコオロギの有用性を認め、自然に食材として見なしていくようになれば。状況は変わってくるのだ。
とはいっても、パウダーで使っている間は、コオロギを見て「おいしそう」という乾燥を抱くことはないだろうけど(笑)
今コオロギに注目が集まっているのは、育てるのが比較的楽で低コスト・低エネルギーというところ。
とにかく牛や豚は育てるのにエネルギーがかかるんだよね。
だからこそおいしいのかもしれないけど・・・。
よくSF小説の未来世界には、合成食品みあたいなのが出てくるけど、栄養素として動物性タンパク質だけがほしくて、あおは加工技術でそれっぽくできる、ということであれば、牛や豚の純正の肉で亜ある必要はなくて、コオロギでもいいわけだ。
そういう未来が近づいてきているのかも。

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