2023/06/10

ごはんがなければパンを食べたらいいじゃない

 日本人の米離れが進んでいるらしい。
学校給食はほとんどが米飯食になって、揚げパンやらコッペパン+マーガリンみたいな昭和の給食の定番は今の若い子には通じないそうなのだ・・・。
それもこれも、備蓄していた古米、古古米の消費を助けるためなんだよね。
でも、逆に家庭では米の消費が減っているようで。
食事の洋食化に伴い、朝食はパンなんて家も多いだろうし、パスタやうどんなどの麺類を食べる機会も多いよね。
ピザもハンバーガーも小麦食だ。
江戸時代までは武士の給料が米で払われていたほどの米中心社会からの大変革だね。

ところが、この小麦って、実は食糧として重要になってきたのはごく最近。
せいぜい江戸時代からなんだって。
その理由は簡単。
小麦はかたすぎて粒のままでは食べられないので、石臼でひいて小麦粉とふすまに分ける必要があるのだ。
ところが、稲作を中心としてきて、そのまま炊けば食べられる米を扱っていた日本では、あんまり石臼が普及していなかったのだ。

基本的に、米と小麦だと、米の方が食べるのが楽なので、十分な水と温暖な気候が確保される地域では稲作がメインになるんだよね。
東南アジアや南インド、中国南部なんかがそう。
逆に、乾燥していて寒冷な気候だと、稲作ができず、麦作になるのだ。
中央アジアや北インド、中国南部がそう。
さらに条件が悪くなるとそばくらいしか作れなくなるよ・・・。
で、そういう小麦しか生産できない地方であれば背に腹は替えられないので、早い段階で石臼も普及し、様々な小麦粉を使った料理が発展するのだ。
麺類や餃子なんかは中国から欧州まで広く似たような料理が広がっていることは有名だよね(中国の餃子、ネパールのモモ、東欧のピエロギ、イタリアのラビオリなど)。

小麦自体は記紀神話で五穀のひとつとして出てくるくらいで、かなり早いタイミングで大陸から伝わってきていたのだ。
で、仏教関係とかでは使われていたのだ。
でも、庶民は石臼がないからあんまり食べなかった、ということみたい。
逆に、大麦の場合は粒のまま食べられるので、むしろ、江戸時代までは麦と言えば大麦なわけ。
麦飯がまさに大麦を混ぜたものだよね。

これが様変わりするのが江戸時代。
農業技術の進歩により、石臼で小麦粉を引くことが普及したのだ。
麦稲の裏作で作れるので、二毛作で麦の生産量も上がったのだ。
で、大麦はそのまま食べられるけど、もの自体は小麦の方がおいしいので、小麦が広まるわけ。
そうしてできていた郷土料理が、うどんやすいとん、おやきなどなど。
天ぷらも小麦粉が使えるようになったから衣ができるわけだよね。
まんじゅうやどら焼、や今川焼きのような小麦粉の皮を使う和菓子もこの頃出てくるのだ。

とはいえ、やはり石臼で小麦粉をひくのはそこまで日常的なものではないので、ハレの日の料理になっていることが多いそうだよ。
米ならそのまま炊けば食べられるし、米が足らない場合は、米の代わりに同じように調理できる大麦やその他の雑穀(ひえ、あわなど)があるしね。
一方で、気候の問題で米がそんなにとれない痴呆ではかなり小麦に力を入れていて、例えば、北関東や埼玉、山梨では小麦食がさかん。
大洗の名物のみつだんごはみたらしあんのかかった小麦粉団子だよね。
群馬や埼玉で食べるおっきりこみ、山梨のほうとう、栃木の耳うどんなんかはうどん系。
同じように、瀬戸内海見面した地方は降水量が少ないのもあって小麦を栽培していて、讃岐のうどん、播州のそうめんなんかも有名だよね。
そして、長野では小麦粉の生地であんを包んでいろりで焼いたお焼きを食べるのだ。

そういう意味では、和菓子は別としても、お米が足りなければみたいなところで小麦食は広まっていくんだけど、現代では洋食も増えてきて、むしり小麦の方が増えているという逆転まで出てきたんだね。
しかしながら、欧米では、小麦粉に含まれるタンパク質のグルテン(麺類のコシのもと)が体に悪いと言って、グルテンフリーの食事が施行され初めてもいるんだよね。
そのため、欧米では米粉パンなんかがはやっているのだ。
ということで、欧米では和食の普及もあるけど、米の消費が増えているみたい。
うまいことバランスとれているのか?

0 件のコメント: